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第4回SDGsセミナー「市民社会とSDGs:貧困のない持続可能な世界を目指して」実施報告

2018年6月18日更新

2018年6月18日、一般社団法人SDGs市民社会ネットワークの稲場雅紀専務理事をお招きして、第4回持続可能な開発目標(SDGs)セミナー「市民社会とSDGs:貧困のない持続可能な世界を目指して」が多くの参加を得て開催されました。

稲場専務理事からは、SDGsが必要とされる背景、日本における取組みの制度と現状、および、新しい時代の波を受けて変化するSDGsの将来などについて、様々な資料を元に詳しくお話してくださいました。

はじめに、稲場専務理事より、SDGsは「持続可能な開発目標」のことを意味するが、これが必要とされるということは、現代人が今の水準の生活を続けていくと世界そのものが続かない懸念がある、つまり「持続不能」の病により次世代に地球を引き継ぐことができないとの危機感が存在するとの指摘がありました。具体的には、少子高齢化、格差と貧困、大量生産と消費、地球温暖化や災害などが挙げられ、参加学生の身の回りの問題と結び付けながらSDGsの重要性について説明がありました。

SDGsの特色としては、前身のミレニアム開発目標(MDGs)とは異なり、開発途上国だけではなく先進国も含む包括性の高さがあり、また、MDGsの反省を生かして「最も厳しいところから取り組む」姿勢を重視しており、そうしたアプローチによって「誰ひとり取り残さない」ことを目指している点があるとの力強いお話がありました。また、SDGs達成における市民社会の役割については、SDGs推進円卓会議に市民社会からも参画し、積極的な政策提言を行っていることなどが紹介されました。

稲場専務理事からは、2017年に日本でSDGsが広く社会に行き渡った感があるが、まだまだ課題が多いとの指摘がありました。特に、サイバー(仮想)空間とフィジカル(現実)空間を高度に融合させたシステムで経済発展と社会的課題の解決を実現する人間中心の社会を構想する「ソサエティ5.0」という動きに対して、これは格差を助長しないものなのか、過度に電力に依存したり過剰消費に至らないか、人工知能(AI)が人間から知的労働を奪うことは「人間中心の社会」と矛盾しないのか等、多くの議論が求められるとのお話があり、市民社会セクターに課せられた課題は多いことが察せられました。

最後の質疑応答では、SDGsと個人をつなぐものは何かという質問があり、例えば、食品廃棄をしない、ごみを減らすなどの個々人の日常的な心掛けで解決できることもある一方で、経済構造そのものを変えるために努力する必要もあるという側面も紹介がありました。参加学生の多くが、社会変革を起こすためにはどうしたらいいか、そして、そのために必要な市民社会全体、あるいは、構成するひとりひとりの市民に期待されることについて真剣に考えていました。

  • photo1講師の稲場専務理事
  • photo2セミナーの様子
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