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第5回SDGsセミナー「SDGs(持続可能な開発目標)に向けた取り組み:開発途上国の母子保健改善」開催報告

2019年1月16日更新

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ゴール3 すべての人に健康と福祉を

2019年1月7日、第5回SDGsセミナー「SDGs(持続可能な開発目標)に向けた取り組み:開発途上国の母子保健改善」が開催されました。母子保健は、ゴール3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。」の中で、「妊産婦の死亡率の減少」「新生児死亡率、乳幼児死亡率の減少」が掲げられています。

講師の萩原明子JICA国際協力専門員(保健)は、これまで、ヨルダン、パレスチナ、ガーナ等で母子保健の改善に取り組んでこられていますが、特に日本の母子健康手帳のこれらの国々での活用についてお話を聞くことができました。

パレスチナのような紛争やテロが続く地域での母子保健改善の意義として、生まれたときからの様々な格差が不公正な社会に対する反感の根っこにあると考え、生まれてきた子供一人ひとりが大事にされて成長することは、平和で安定した社会を築くことの基盤にあるというお話には、強い印象を受けました。

成長してから、お母さんから母子健康手帳を手渡されて、自分も大事に育ててもらったんだなあ、と思ったことがある方もいると思いますが、パレスチナのような紛争が続く地域でもそれは同じことなのだと思います。身近なところから、平和で安定した社会という問題へと視野が広がるお話でした。

また、中東のような男性優位の社会で母子保健の改善に取り組むことの難しさについても興味深いお話を聞くことができました。2008年に初めてパレスチナで母子健康手帳を作成・配布する、という協力が行われました。当時は、父親の育児への参加は稀でしたが、父親の理解も大事だというメッセージを伝えるために、手帳に父親のイラストを加えたそうです。そうしたところ、10年後には、育児に参加する父親が現れ、「育児への参加は父親の権利」という考え方も聞かれるようになっているということでした。

もちろん、母子健康手帳だけが要因ではないでしょうが、伝統や文化は不変ではないということについて考えさせられるお話でした。

萩原さんは、お茶の水女子大学文教育学部の卒業生で、アメリカでPh.D.取得後、母子保健分野の国際協力に取り組んでこられたということでした。卒業生のキャリアという意味でも、刺激になるお話を伺うことができました。

  • photo1講師の萩原明子氏
  • photo2パレスチナの母子健康手帳
  • photo3会場の様子
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