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実施報告「被災者の尊厳の視点から考える紛争・災害時の人道・緊急支援~スフィア・スタンダード、教育ミニマムスタンダードに学ぶ~」

2019年6月29日更新

日本では、地震、豪雨、土砂災害といった災害が頻発しており、私たちもいつ、被災者になるかもしれないし、また支援者となることもあるでしょう。世界に目を向けると、多発する紛争により、生活の場を追われ、難民キャンプ等での生活を余儀なくされる人々について、報道等を通じて目にします。

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講師の五十嵐氏(写真左)

2019年6月29日、自然災害や紛争から避難した人々への人道・緊急支援についての国際基準である「スフィア・スタンダード」について学ぶワークショップが、「支援の質とアカウンタビリティ向上ネットワーク(JQAN)」の五十嵐豪さん(AAR Japan所属)、福田紀子さん(清瀬市男女共同参画センター所属)を講師にお迎えし、お茶の水女子大学学生、奈良女子大学の学生が参加し開催されました。

ワークショップは、架空の支援の事例を読んで、問題点を見つけることから始まりました。事例は、地震の被害を受けた地域への支援でしたが、村長の話だけで支援の対象地域を決めてしまう、支援の情報へのアクセスが限られる女性たちが支援物資を受け取れない、そうした結果、被災者から不満がでてくる、等々、私たちから見ても問題点が満載の内容でした。

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講師の福田氏

この事例を読んで、人道・緊急支援の現場の問題点を洗い出したあと、1994年のルワンダ虐殺後の人道支援の失敗への反省から、スフィア・スタンダードが開発され、人道・緊急支援の質の向上のため、世界中の現場で使われるようになったという紹介がありました。災害が頻発する日本においても、避難所の問題をはじめ、災害支援における課題が明らかになってきている中、同スタンダードは自治体やマスコミからも注目されているということでした。

スフィア・スタンダードの根源にある人道支援の考え方や、支援の質を高めるために必要な9つの基準(ニーズにあった支援、被災した人々が支援内容の決定に参加し、また、正当な要望や苦情を訴えることができる、等)について学びました。

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架空の支援事例の改善策の検討(寸劇と議論)

最後に、冒頭の問題の多い支援の事例を題材に、支援の質に関する9つの基準に基づき、改善策を考えました。考えた改善策は、寸劇にし、グループ毎に発表、議論を行いました。自分たちが支援者、あるいは、被災者を演じることで、様々な支援の現場の問題に気づくことができました。

参加者からは以下のような感想が寄せられています。
「災害時の支援は、被災者の役にたつ一方で、被災者の間に争いを生み出す可能性もあることがわかった。」
「講師の方の人道緊急支援の現場での実際のご苦労や失敗に基づくお話は、なかなか知ることができない貴重なお話だった。また、参加者との議論を通じて、学ぶことも多かった。」
「今後、自分が支援する側になるかもしれないし、支援を受ける側になるかもしれない。今回のワークショップでは、そうした場面で考える必要があることについて、学ぶことができた。」

*本イベントは、「グローバル社会における平和構築のための大学間ネットワークの創成~女性の役割を見据えた知の国際連携」事業の一環の大学間連携イベントとして実施されたものです。

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