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2019年12月20日更新
令和元年度グローバル協力センター「途上国開発・国際協力分野海外調査支援」を受けた永井萌子さん(大学院人間文化創成科学研究科比較社会文化学専攻)が、フランスでの調査結果をもとに2019年11月16日~18日に開催された人文地理学会大会において研究発表を行いました。
題目 | フランスにおけるクィアマイグレーションと「黒人LGBT」の日常実践 ―サハラ以南アフリカ諸国出身者を事例に― |
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抄録 | 今回の人文地理学会では、3月と8月から9月にかけてフランス、パリで行なった調査を踏まえ、フランスにおけるクィアマイグレーションの現状と考察についての報告を行った。8月から9月の調査は、グローバル協力センターの助成をいただいて行うことができた。ライフストーリーを聞き取ったのは、サハラ以南アフリカからフランスへと移動し、そこで難民申請を行う者たちであるが、中でも彼らの特殊性は、申請が性自認や性的指向に向かった差別、抑圧、迫害、処罰を理由とした(LGBT難民)ものであるということだ。 アフリカ系・性的少数者・難民といったアイデンティティの複数性によって展開されるそれぞれの領域における日常実践と、それがつなげる支援までの道筋といった諸要素によって、彼らは〈わたしたち〉を作り出すことを可能にしていた。「アフリカ人であり続けながら、いかに私の同性愛を生きるのか」。調査中に何度も出くわしたこの問いかけを、今回の報告の中心に据えながら、彼らが日常的に越境する複数の境界線と、その中で行われる実践に着目した考察を行うことで、クィアマイグレーションに関する議論の足がかりとすることができた。 |