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第12回SDGsセミナー「茨城県における外国人材の受入れ促進に向けた取り組み等について」実施報告

2021年7月26日更新

2021年6月29日、第12回SDGsセミナー「茨城県における外国人材の受入れ促進に向けた取り組み等について」では、茨城県産業戦略部労働政策課 雇用促進対策室主任の高野弘毅さんをお迎えし、地方自治体での外国人材支援の取り組みについてお話しいただきました。

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講師の高野弘毅氏

現代の日本において、人口減少と少子高齢化は全国的に重要な課題となっています。茨城県でも2000年から2015年の間に約7万人人口が減少しており、市町村によっては2040年までに70%以上人口が減少することが予想されています。人口減少と少子高齢化が起こることで、消費活動だけでなく生活関連サービス業の衰退、税収減少によるインフラの劣化、祭り等の地域行事が開催できず地域コミュニティの崩壊など、様々な問題が引き起こされます。このような状況を改善するため、茨城県は海外需要に注目しました。

日本とは異なり世界全体やアジアの人口は増加傾向にあります。そこから生まれる海外需要を取り込み、輸出の拡大や海外進出、訪日外国人によるインバウンド消費の拡大を図ることが問題解決のために必要だと考えられています。そのため、茨城県では対日投資セミナーでの知事トップセールスや海外での試食販売、観光パンフレット作成などを行い、海外へのプロモーションを進めています。

また、茨城県では労働力不足解決のため外国人材受入れ促進のための活動を行っています。茨城県の現在の外国人労働者は39,479人で、コロナ禍でも増加しています。隔離措置や個別での移動の負担を負ってでも受け入れる必要があり、高野さんの「外国人材なしには成り立たない社会構造」という言葉から日本の労働力不足問題の深刻さを感じました。

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オンラインセミナーの様子

平成31年に創設された茨城県外国人材支援センターでは、県内企業に向けて外国人雇用セミナーや受入れ準備のための研修、県内企業に就職希望の外国人に向けて無料相談会や日本語教育支援を開催しています。また、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、モンゴルと連携し、各国の政府機関や教育機関、JICAと締結した協力覚書に基づいて就職マッチングも行っています。

ベトナム・ロンアン省において育成した介護技能実習生を県内介護施設が受け入れる「茨城県コース」は、県内における介護従事者の不足解消だけでなく、県内での実習を通して高齢化先進国における日本の介護ノウハウを学んでもらうことも狙いとしています。そのため、技能実習修了後も、「特定技能(介護)」や「介護福祉士」などの資格取得をサポートし、茨城県やロンアン省における介護産業を支える人材を育成するプログラムとなっています。

外国人材受入れに反対する意見も少なからず見受けられますが、今回のセミナーを通して私は、「受け入れる/受け入れない」よりも「どのように受け入れるか」の議論をより活発に行っていくべきだと感じました。外国人材が必要不可欠な日本は外国人材を選ぶだけでなく選ばれる立場なのだという視点を持つことで、行政や企業、地域住民が外国人材とどう向き合うかが変わるのではないでしょうか。

(文教育学部言語文化学科グローバル文化学環3年 廣田 華子)

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