ページの本文です。
2022年1月19日更新
2021年12月13日、第16回SDGsセミナー「民間企業とSDGs:住友化学の事業を通じた社会への貢献」では、本学卒業生でもある住友化学株式会社 サステナビリティ推進部 主席部員の山本恭子氏をお招きし、化学会社という立場でのSDGs関連取り組みや、民間企業が国際協力に取り組む姿勢などについてお話しいただきました。
住友化学では、トップダウンでサステナブルを推進されています。しかし、ただ上層部が主導となって、経営にサステナブルを反映するだけではありません。「サステナブルツリー」と呼ばれるグローバルプロジェクトを社内で企画し、社員全員がSDGsへの認識を高め、十分な知識を身につけることができるといった教育活動も同時に行なっています。このような活動を行うことで、トップだけでなく、会社に関わる多くの人が、サステナブルに関する知識や高い関心を持つことができ、社内全体でSDGsに対する良い緊張感が保たれるのではないかと思いました。
また、セミナーでは、マラリア感染症による死亡者がアフリカ地域に集中していることから開発されたオリセットネットの効果や現地社会への影響についても学びました。オリセットネットは、感染症予防の効果はもちろんのこと、他にも現地での雇用創出や、女性の就業促進、子どもたちへの教育支援など、途上国の様々な社会問題に貢献しており、製品の開発が結果として国際協力になっているということに驚きました。以前、国際協力分野における道の駅事業の活用に関する授業で、講師の方から、「ハイテクなものよりもローテクなもののほうが途上国では役立つ」というお話を伺いました。今回、住友化学が開発したオリセットネットは最新技術が盛り込まれたハイテクな製品ではありますが、元の発想は「蚊帳」という日本で伝統的に使われてきたものであり、オリセットネットは、ハイテクとローテクが融合した製品であると考えられます。実際、オリセットネットの使い方は簡単で、途上国の人々の生活にも馴染みやすく、国際協力に向いた製品であると感じました。オリセットネットの開発によって、感染症のリスクにさらされていた多くの途上国の人々の命が救われ、生活も改善されたという結果から、その影響力は非常に大きかったと言えます。
今回のセミナーを通して、公的機関が行う支援プロジェクト以外にも、民間企業が化学等技術の力で国際協力に貢献できるということが分かりました。
(文教育学部言語文化学科2年 大嶋 布貴)