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「2021年度第7回ブータン連続セミナー」実施報告

2022年1月11日更新

今回視聴した映像では、ブータン東部の中心都市であるタシガンからコトカ、ガサ、パロ(タクツァン僧院)を経てプナカ(チミ・ラカン)、そして首都のティンプーを巡る旅が映し出されました。

映像の中では、チベット仏教の寺院・僧院が紹介される場面が多くありました。タシガン・ゾンもその一つです。県庁と僧院を兼ねたこの建物は、周りの家屋よりも高い位置にそびえたっていました。建物の所々に施された緻密で色彩豊かな装飾はブータンの建築物によく見られるものですが、周りの景色とも相まってタシガン・ゾンをより神秘的なものに見せていました。映像の中には僧の姿も見られ、仏教がブータンの人々の心に根差していることが良く分かりました。

コトカでは、他の地域へ物資や人を運ぶためにケーブルカーが使われています。映像では雄大な自然の中をゆっくりと進む木製のケーブルカーを見ることができました。歴史を感じさせるケーブルカーは安全面で少し心配な部分もありますが、コトカの人々からは大切な交通手段として重宝されています。途中に停車駅は無く、乗客が降りたいところで止まるというおおらかさからも、ブータンの国柄がうかがえました。

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画面1:サブジ・バザールに関する説明

映像の後半で紹介された首都ティンプーのサブジ・バザールは、正式名称を王制百周年記念市場といい、生鮮食品以外の食品も幅広く取り扱う大きな市場です。そこでは、商品の呼び方の違いからブータンの多言語社会の一面がうかがえました。また、ヤクの乾燥チーズなども紹介されました。食の視点からブータンの諸相について知ることができた新鮮な時間でした。

コメンテーターの石内さんにはまず、ブータンにチベット仏教を伝えた聖者グル・リンポチェを称える祭りであるツェチュについて、次にブータン社会の多言語状況についてお話しいただきました。

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画面2:石内氏による解説

最初にツェチュに関して、ご自身がブータンに滞在されていたときに撮られた写真や資料を用いて分かりやすく説明してくださいました。ツェチュはブータン各地で毎年行われていますが、地方では踊り手不足が深刻で人口が多い都市の方に助っ人を頼むところも少なくないそうです。思わぬところからブータンの地方都市の過疎化問題が浮き彫りになりました。

またブータン社会の多言語状況については、ブータンの人々は基本的に英語、ゾンカ語、ツァンラ語の3言語を話せる前提で生活基盤が作られていることをお話しいただきました。地域ごとに話されている言語が違い、改めてブータンが多言語社会であることを認識させられました。

今回も多くの質問・コメントが寄せられ、1つ1つの質問に丁寧に答えていただきました。中でもブータンにおけるジェンダー観については様々な歴史的因子が関係しているようで、非常に興味深い議論が展開されました。

(文教育学部言語文化学科1年 山本 愛理)

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