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「2021年度第8回ブータン連続セミナー」実施報告

2022年2月16日更新

第8回ブータン連続セミナーでは、国際共同制作による『HAPPINESS ブータン・幸せの国の少年』を視聴しました。これは、ブータン北部でヤクを放牧して生活を営む少数民族ラヤッパとして育つ少年ペヤンキの成長物語です。

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画面1:ラヤの学校

8歳のペヤンキは家族とヤクと共に暮らすことを望みますが、家が貧しく学校にも通わせられないという理由で村の僧院に入れられ、修行に勤しむ日々が始まります。しかし、修業は厳しくまだ幼いペヤンキはしばしば僧院から抜け出し、自分は通えない学校の様子を見に行ったり、家族に会いに行っては僧院に戻ることを繰り返していました。

そうしているうちに村に電気が通り、ペヤンキはブータンの首都・ティンプーにテレビを買いに行く伯父について行くことになりました。自動車が走り、見たことのないお菓子やおもちゃに溢れた都会は、ペヤンキにとってすべてが新鮮でした。村の生活とはかけ離れた都会での暮らしぶりを目にし、ペヤンキはただただ驚くばかりでした。

ペヤンキの姉に会うこともティンプーへの旅の目的でしたが、役所で働いているはずの姉はいくら探しても見つかりませんでした。姉の友人を伝ってようやく探し当てた姉の居場所は、ナイトクラブでした。

映像の最後は、村に戻ったペヤンキが家族や近所の人たちと暗がりでテレビを観るシーンで締めくくられています。テレビを観るペヤンキの表情には子どもらしいあどけなさや喜びはなく、ただその瞳にテレビが流す映像が映し出されていました。

ペヤンキに起こる数々の出来事を通して、「幸せとは何か」という問いをこの作品は視聴者に投げかけます。情報化が進んで便利になること、家族に迷惑をかけないこと、お金を稼ぐこと……。幸せの国で、ペヤンキはどんな人生を歩むのか。ブータンについて、幸せについて深く考えさせられる作品でした。

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画面2:瀧原氏による解説

コメンテーターの瀧原早紀子さんには、ブータンに留学した経験をもとに、コロナ禍での人々の暮らしやご自身の留学生活についてお話しいただきました。

人々の暮らしについては、ロックダウン前と後のブータンの様子の変化や街での感染対策など、人々がどのようにコロナに向き合ってきたかを事細かにお話しいただきました。また、ご自身の留学生活についても寮での生活やホームステイ先の様子を写真とともに分かりやすく説明していただきました。住む場所や所得の違いによってブータンの人々の暮らしも様々であることが良く分かりました。参加者にとって非常に興味深い内容で、たくさんの質問・コメントにも丁寧に回答いただきました。

ブータンについて深く思いを馳せることができたセミナーでした。

(文教育学部言語文化学科1年 山本 愛理)

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