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第22回SDGsセミナー「SDGsとインフラ支援」実施報告

2022年12月14日更新

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講師の小中鉄雄氏

2022年12月13日(火曜日)、第22回持続可能な開発目標(SDGs)セミナー「SDGsとインフラ支援」では、埼玉大学研究機構研究推進室レジリエント社会研究センター教授で本学のSDGs推進研究所客員教授でもいらっしゃる小中鉄雄先生が講師を務めて下さいました。

本セミナーでは、インフラとは何か、インフラ支援の重要性やその実態について学ぶことができました。インフラと一言にいっても、実際には社会インフラや経済インフラなど多様な種類のインフラが存在し、幅広いものです。インフラを作る際にはただ作るだけでなく、いかに長く持続し価値を高めるかが重要です。インフラといった言葉はよく使われるものの、先進国で暮らす私たちにとっては当たり前すぎて考える機会がなかなかないため、インフラの存在を改めて実感することができる大変貴重な機会でした。

そんな本セミナーの中で印象的だったのが、インフラ支援の重要性とその難しさについてです。

インフラは道路の整備や女性専用車両の設置、排水処理など多様な分野でSDGsと関わっています。インフラの整備を行うと生産性が向上し、投資や貿易拡大へとつながるため、ビジネスの発展を導きます。ビジネスの発展は経済成長をもたらし、貧困削減へとつながることから、SDGsはリスクではなくチャンスである、と話してくださいました。そのため、インフラ需要は年々増加しており、成長を維持しながら貧困を撲滅しさらに気候変動へも対応するとなると、2030年までに26兆ドルもの資金が必要であり、インフラ投資への需要と供給では、年間8190億ドルものギャップが生じている状況です。さらに、インフラ支援を行う際には多額の資金が必要であるだけでなく、作った後の維持管理が大変、といったことが特に印象的でした。インフラ整備を行う土地を確保し、現地住民への理解も得て維持していくなど長期的な計画となり、現地の既存制度との連続性や長期的な信頼関係がなければ支援の継続は難しいなど、様々な問題があることが分かりました。インフラがもたらす経済発展など様々な影響力が魅力的な一方で、実現する難しさを感じました。

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PPPスキームの基本構造についてお話を伺う

また、小中先生のお話の中では、インフラ支援の良い面だけでなく批判的な意見も紹介してくださり、様々な角度からインフラ支援について考えることができました。インフラには巨額の資金が必要であり、その資金は融資により提供されるため、開発途上国にとっては融資額が増え、返済が負担になってしまう懸念があります。また、現地に見合ったインフラになっているのかどうか、という観点も重要です。そのような様々な問題も学ぶことができ、インフラ支援についてより深く考えることができました。

今回のセミナーでは、インフラについての基本的な知識から成功例・失敗例までを学ぶことで、ただインフラ支援を行えばいいわけではなく、様々な問題点を捉えることが重要、ということを考えることができ、とても勉強になりました。貴重なお話をありがとうございました。

(文教育学部グローバル文化学環2年 齊藤 美瑛)

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