センターについて センターの活動 SDGsの取組 刊行物 お問い合わせ・アクセス

ページの本文です。

グローバル対話「地球の未来を守る:持続可能な未来のために大学が果たす役割」実施報告(2023年4月7日開催)

2023年4月28日更新

2023年4月7日(金)、グローバル対話「地球の未来を守る:持続可能な未来のために大学が果たす役割」(主催:お茶の水女子大学、共催:SDGs推進研究所、グローバル協力センター)が、オンラインと会場(本学共通講義棟2号館201室)のハイブリッド形式で開催されました。本講演会では、オンライン・会場を含め約160名の学生・本学教職員・一般の方のご参加のもと、本学とリナカ・カレッジとの交流の一環として、オックスフォード大学における持続可能な未来を守るための取り組みを、同大学のリナカ・カレッジのニック・レイミュ-ブラウン学長(以下、「レイミュ-ブラウン学長」)よりご紹介いただきました。

冒頭、本学の佐々木泰子学長による開会挨拶の後、オックスフォード大学日本事務所のアリソン・ビール代表、東京大学の大久保達也理事・副学長、東北大学の冨永悌二理事・副学長、北海道大学の横田篤理事・副学長よりご挨拶を頂戴しました。
ビール代表からは、コロナ禍の影響で長らく英国本国からの来訪者が少なかったところ、このようにレイミュ-ブラウン学長来日の機会に対面での学術交流の機会を持てることは夢のよう、と喜びと感謝が述べられました。また、国際的な課題である気候変動への取組みをオックスフォード大学が進める中で、大きな行動変容が求められることもあったが、様々な努力の結果、大学構成員の皆が、大学の取組みを肯定的に受け止めるようになったとの経緯を振り返られました。東京大学、東北大学、北海道大学の各理事・副学長からは、本学とのこれまでの交流・連携関係や、各大学が行なってきたSDGs(持続可能な開発目標)に関する取り組みについてご紹介のうえ、本講演会への大きな期待をお話しいただきました。

続いて、司会(佐藤敦子:基幹研究院自然科学系、理学部生物学科准教授)によるレイミュ-ブラウン学長のご紹介の後、レイミュ-ブラウン学長にご講演いただきました。

レイミュ-ブラウン学長は、オックスフォード大学における持続可能な未来を守るための取り組みについて、丁寧かつ熱意をもってお話をされました。
はじめに、久しぶりの来日への大きな喜びを述べられた後、世界をリードするオックスフォード大学としてのリーダーシップの重要性について言及され、2035年のカーボンニュートラル実現のためにオックスフォード大学が示してきた姿勢と取組みの過程について述べられました。
レイミュ-ブラウン学長は、私たちが生物多様性に与える影響として、1. Direct impacts on biodiversity(生物多様性への直接的な影響)、2. Education(教育)、3. Research on biodiversity (生物多様性に関する研究)の三つを挙げられ、それぞれについて具体的にご説明されました。そして、これら三つの影響の中で最も重要なものは教育であるとして、人々を教え、人々の考えを形作るために大学が果たしうる役割を示されました。また、教育は4つの保全のヒエラルキー(Refrain, Reduce, Restore, Renew)に基づくものであるべきとして、Refrain(控える)よりもRenew(新たなものを創造する)が先に求められる現代社会への危惧を示されました。
さらに、3. Research on biodiversity (生物多様性に関する研究)についても、大学が果たすべき役割は大きいと話され、オックスフォード大学の取組み事例として、富山県中央植物園をはじめとする日本の諸研究機関との共同研究である非常に珍しいカバノキ(Betula chichibuensis)保全に関する研究成果について紹介されました。
最後に、生物多様性保護に力を入れてきたオックスフォード大学のネイチャーポジティブな取り組みである、大学の生物多様性フットプリントの調査結果を報告されました。ネイチャーポジティブを実現するためには、まずは自分自身が生物多様性に与える影響について知るべきであることを強調され、その中で、各大学の特徴にあった対策をとる必要性も示されました。そして、会場にいる参加者に対し、共にネイチャーポジティブな大学になってほしいと熱く呼びかけられ、現代のグローバルなムーブメントである生物多様性の保護について、世界の大学が一緒に取り組むことで単独では対処できない問題を解決に導くことができるという期待を述べ、講義を締めくくられました。

ご講演終了後には、約30分間の質疑応答を行いました。会場とオンライン両方から積極的に質問が出され、活発な議論となりました。
ご来賓の先生からは、提案された取り組みを実現する上での難しさと具体策に関する質問が出されました。レイミュ-ブラウン学長は、「普遍的な解決策はない」と話されながらも、まずはこの問題を理解し他分野との連携を図って共に取り組んでいこうと呼びかけられました。
また、本学学生からの「学生としてどのような活動ができるか」という質問に対しては、学生インフルエンサーの存在が大きいと話され、学生自身が行動を起こし、周りにそれを示すことへの期待を示されました。レイミュ-ブラウン学長の温かくかつ真摯な語り口で、会場はなごやかな雰囲気に包まれ、参加者は熱心に講義とその後の質疑応答に聞き入っていました。

最後に、本学SDGs推進研究所の斎藤悦子所長より、閉会挨拶として、本講演会の内容は生物多様性保護や教育の重要性という観点から大変有意義であった旨、また、本学としてもグローバルな視点を持ち、本学の特徴を生かしたネイチャーポジティブな取り組みを、他大学との連携、協力のもと行なっていきたい、との今後の取り組みへの姿勢が述べられ、講演会は盛会のうちに終了しました。

  • photo1ニック・ レイミュ-ブラウン学長
  • photo2会場の様子
  • photo3【来賓挨拶】
    アリソン・ビール オックスフォード大学日本事務所代表
  • photo4【来賓挨拶】
    大久保達也 東京大学理事・副学長
  • photo5【来賓挨拶】
    冨永悌二 東北大学理事・副学長
  • photo6【来賓挨拶】
    横田篤  北海道大学理事・副学長
  • photo7佐々木泰子お茶の水女子大学長
  • photo8斎藤悦子SDGs推進研究所長
  •  
  • このエントリーをはてなブックマークに追加