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第32回SDGsセミナー「ブータンの開発課題と日本の国際協力」実施報告

2023年7月21日更新

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講師の須藤氏

7月19日(水曜日)13時20分〜14時50分、本学のグローバル協力センターが主催する第32回持続可能な開発目標(SDGs)セミナーが開かれました。今回のセミナーでは、JICAブータン事務所企画調査員の須藤さんを講師にお招きし、ブータンの開発課題と日本の国際協力の現状について伺い、ブータンの発展について理解を深めました。

まず、ブータンの一般事情についてお話を伺いました。ブータンは国民総幸福量(GNH)という独自の開発指針を掲げています。この指標を政策立案や予算配分にも利用し、JICAも2015年から調査に協力しているとのことでした。そうした指針のもと、ブータンは経済・社会・ガバナンスといった観点から、高い成長を遂げてきたことがわかりました。

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セミナーの様子

次に、ブータンの開発課題についてお話を伺いました。5月に公表されたGNH調査の結果からは幸福感やその上昇率に都市・農村間や男女間の差が生じていることがわかりました。そして、若者の海外流出が深刻になっているようです。高い若年失業率のもと、不安感を抱き、ブータンでの生活に将来性を描けなくなっている若者が増えつつあるようで、昨年(2022年)だけで1万6,973名も海外へ移住していて、人口の多くないブータンでは大きな打撃になっています。

こうした中、日本は「農村と都市のバランスの取れた自立的かつ持続可能な国づくりの支援」という基本方針を掲げ、OECDに加盟する2国間援助国の中で最大のパートナーとして様々な協力を行っています。JICAは農業・インフラ整備・保健の3つの柱に重点を置いて協力をしており、ブータンに整備された26もの橋梁や建設予定の王立感染症センターもJICAの協力によるものです。

最後に、日本はなぜブータンに協力するのかといった国際協力の意義についてお話を伺いました。東日本大震災の際に受けたブータンからの恩返しの説明から「国際協力は国家間・国民間の友好関係の基盤」だということを学び、国際協力の意義はとてもシンプルなものだと気付かされました。

これらの講義内容を踏まえて、ブータンにおける発展について考えました。高い経済成長を達成しつつあるものの、都市・農村間の格差や若者の海外流出問題が生じています。GDPやGNHといった指標からでは見えない、生活の豊かさや心の幸福があることがわかり、現地で暮らしている人々の声に耳を傾ける重要性がわかりました。そもそも発展とは何か、ブータンには今後どのような協力が必要となるのかについて、改めて考えさせられる講演会でした。この度は貴重なお話を本当にありがとうございました。

(文教育学部人間社会科学科2年 吉村紫織)

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