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第42回SDGsセミナー「ちいさな声に耳をすます世界を―“よりそうとは何か”を問い続ける―」実施報告

2024年6月24日更新

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冒頭のワークショップ

2024年6月10日(月曜日)、対話の場「あわいろ」を主宰する石川歩さんをお招きし、「ちいさな声に耳をすます世界を―“よりそうとは何か”を問い続ける―」をテーマにご講演いただきました。「あわいろ」をはじめとした石川さんのご活動、そして自分自身や周りの人の声とは何なのか、寄り添うことの難しさとは何なのかということに関してお話しいただき、また、参加者からの疑問・質問への石川さんの回答をいただきました。

講演の冒頭では、「いまのあなたの心の声はどんな声ですか?」という問いとともに、紙にクレヨンで心の色を表してみるというワークショップが行われました。これは、言葉では表現できない感情を色によって表現しようというものです。参加者それぞれが描いたものを見合い、皆違って当たり前だということが再確認できました。

石川さんは、例えば「悲しい」という感情は、その裏にその人にとって大切なものがあるということを教えてくれるため、人の感情は負の感情も含めすべて大切にしたいとお話しになりました。負の感情は、自分への気づきにとって重要な役割を担っていたのだと感じました。

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セミナーの様子

今回のセミナーのタイトルにもある「寄り添うとは何か」についても触れられました。ここでは、「相手への願い≠相手の願い」だという話がありました。相手に対し、幸せになってほしいという思いであっても、それが相手にとって幸せかは分かりません。ただし、相手に幸せになってほしいというその思いはとても尊いものです。寄り添うことは簡単なものではないと痛感し、そのうえで相手への温かい想いは大切にしようと思いました。それに加え石川さんは、「本質的な支援とは、自分の価値観を押し付けないことなのではないか」と指摘されました。これは、寄り添うことに限らず、人と関わるうえで意識すべき点であると感じました。

「あわいろ」の活動は、「一人ひとりがありたいあり方に寄り添う、その人がその人らしく居られる居場所」をテーマにしているそうです。お話の中で、石川さんは「話すときには沈黙も大切にしている」とおっしゃっていました。それは、沈黙はその人がその人の言葉を探している時間だからです。私は、沈黙は少し気まずい時間としか捉えたことがなかったのですが、このお話を聞いて、その人をより理解をするためにも大切な時間なのだと解釈が変わりました。ゴールを目指す場所や提供する場ではなく、ただ心を紡いでいく、互いの心が解れていく。自分の身近にあるようでない空間で、今回お話を聞いただけで行ったこともないのにどこか安心感を覚えました。

石川さんの、任意団体comarchや認定NPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークなどでの活動について、そしてボランティアを始めた経緯についてもお話しいただきました。「ボランティアは共に生きること、100%誰かのためでも自分のためでもない」という言葉が印象的でした。私たちは単に問題解決のために動いているのではなく、答えのない心の奥を大切にしていたのだと改めて感じました。そして、答えがないからこそ、自分なりに問い続けてみようと思います。石川さんが実際に体験し、時に苦悩を味わったからこそ紡ぎだされた言葉で、どの話題のときも、ハッと新たに気づきがあったり、自分の心のモヤモヤが軽くなったり、お話の中に自分にとってのヒントがたくさん散りばめられていました。石川さんの優しさや謙虚さが滲み出てくる、そして想いが伝わってくる講演でした。素敵なご講演をありがとうございました。

(生活科学部心理学科1年 曾根有利)

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