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第43回SDGsセミナー「国際協力最前線:カンボジアでの教育スタートアップの取り組み」実施報告

2024年7月4日更新

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ワンダーファイ株式会社カンボジア法人の概要を
説明する渡邉さん

2024年6月19日(水曜日)、ワンダーファイ株式会社カンボジア法人CEOの渡邉大貴さんをお招きし、第43回持続可能な開発目標(SDGs)セミナー「国際協力最前線:カンボジアでの教育スタートアップの取り組み」がオンラインで開催されました。はじめにワンダーファイ株式会社とカンボジアでの教育事業について、その後、ご自身のキャリアについてお話いただきました。

ワンダーファイ株式会社は、花まる学習会を母体に2014年に設立され、世界中の子どもが本来持っている知的なワクワクを生み出し、社会に影響を与えることを使命として教材やコンテンツを開発・運営しています。そのコンテンツの1つに「シンクシンク」アプリがあり、世界150ヵ国で300万人もの人々が利用しており、子どもの属性や親の収入、学歴などに関係なく、偏差値、IQ、非認知能力の向上に効果があることが分かっています。

カンボジアでは、ポル・ポト政権時に多くの人が虐殺され、教育システムが崩壊しました。その後、小学校の就学率はほぼ100%にまで達するほどに大幅な改善が見られたものの、家庭や仕事の事情で中退率が高くなっています。また、OECD加盟国を中心に実施される国際的な学力テストでは最下位となり、教育の質の向上も喫緊に取り組むべき課題です。そのような教育状況の中、シンクシンクなどワンダーファイの持つ教育的な知見は、カンボジアの抱える教育課題の解決に大いに期待され、カンボジア政府の全面的な協力のもと、渡邉さんは2017年からカンボジアでの事業に関わられています。

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カンボジアでのバックパッカー時代の経験を語る渡邉さん

渡邉さんらワンダーファイ株式会社カンボジア法人は、まず、カンボジアの公立学校に「シンクシンク」を導入することから始め、現在はオンライン授業、塾などさまざまな事業を手がけています。特に興味深かったのが2024年から始まった幼児教育スタートアップの取り組みです。渡邉さんは、塾授業を進め、現地の子どもたちと関わっている中で、比較的裕福な家庭の子どもたちが、甘やかされて育ち、生活の自立ができていないこと、さらには母親も子育てについての知識がないことに気づいたと言います。そこで渡邉さんは、幼児教育のアプローチを根本的に変えていく必要があると考え、日系インターナショナル幼稚園を開設されました。日系インターナショナル幼稚園で学んだ子どもたち、先生たちが、その経験を生かしてカンボジアの未来を変えていくことが夢だ、と渡邉さんは語ります。私は、国際協力の現場において、現地の人々の生活をよく観察しながら、真のニーズに気づける力、多様な関係者と協働して、真のニーズに応えられる新たな制度や事業を自ら考えて創りだしていく力が大切だと感じました。国際協力の最前線で活躍される渡邉さんのお話を聞いて、国際協力の在り方について考えを深めることができたように思います。

キャリアについてのお話では、ご自身の人生を変えるきっかけとなった苦悩や出来事を「○○事件」と表し、楽しくお話していただきました。私は、渡邉さんの行動力に息をのむほど圧倒されました。その場その場で感じた気持ちを原動力にして行動し、他人の視点に左右されず、自分軸で生きる姿は本当にかっこよく、感銘を受けました。講演の中で、渡邉さんが何度も「ワクワク楽しんでやっている」と語っておられことが印象的でした。渡邉さんのように目の前の問題にポジティブに対処しながら、常にワクワク精神で様々なことにチャレンジしていきたいと思いました。

今回は、カンボジアで行われている教育事業を通して国際協力の在り方を学ぶとともに、実際に国際協力の最前線で活躍されている渡邉さんの生き方から、私自身が大切にしていきたい人生訓も得ることができました。私自身、この夏にカンボジアでのフィールドワークを予定しており、今回のお話で得られた知見を生かしていきたいと思います。

(文教育学部人文科学科1年 酒井友里)

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