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2024年度海士町スタディツアー(五女子大学コンソーシアム合同)実施報告

2024年9月30日更新

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西之島からの日本海の眺望

2024年9月2日から7日にかけて、初めての試みである五女子大学コンソーシアム合同国内スタディツアーを実施しました。お茶の水女子大学、東京女子大学、奈良女子大学、日本女子大学から各2名、計8名が参加しました。
訪れたのは、島根県の北方約50kmに位置し本土からフェリーで約3時間離れた隠岐諸島の1つ、海士町(中之島)と西之島です。海士町は「ないものはない」をテーマに①無くてもよい、②大事なものは全てここにある、という考え方で豊かな地域づくりを実践してきた離島の町で、地方創生×国際協力の様々な取り組みがなされています。今回のスタディツアーは、現場で直接触れて理解を深めることや似た関心を持つ他大学生との交流を通じたネットワーク形成の機会を作ることを目的とし、海士町及びJICA(独立行政法人国際協力機構)の支援のもと実施されました。

スタディツアー前半では、JICAの森田さん(海士町に配属)による海士町の案内(町営ホテルEntô、宇受賀命神社、明屋海岸、開発センター)やJICAグローカルプログラムの説明と視察、町役場の濱中さんによる島概要説明、株式会社「風と土と」代表取締役の阿部さんとの意見交流会、西之島にあるみた保育園でのボランティアを行いました。
海士町を初めて訪れてみて、離島ならではの海に囲まれた豊かな地形と自然、道ゆく人の温かさが当たり前のようにあることを実感しました。自然のすぐそばに人の営みが存在し、海や山の自然から恵みをもらって住まう生活を少しでも体験できたことは貴重な経験となりました。保育園を訪れた際は、島の子供達が魚の名前を誇らしげに教えてくれて、島の人たちにとっての海の恵みの大切さを感じる機会となりました。すれ違う人と挨拶をしたり自分で釣った魚を夕食にしたりすることは私たちにとっては新鮮で、同じように都会に住む人を島に惹きつける海士町の魅力の一つだと思います。

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海士町役場の方による
海士町の概要説明

また、地方創生と国際協力を挙げた町おこしに関わる中で「発想の転換」を柔軟にする方が多いことも印象的でした。例えば、人口減少が進む中、離島はアクセスや利便性の面で都市に比べて定住人口を増やしにくい、ということの発想転換について、海士町町役場の濱中さんは、「滞在人口を生みたい」とお話しされていました。海士町で一定の期間を過ごしてもらって、元の場所へ戻っても、海士町のことを応援してくれる人を増やしたい、との思いがひしひしと伝わってきました。

私がこの海士町スタディツアーの中で最も印象に残ったことの一つに、「風と土と」の阿部さんとの交流会で阿部さんがお話ししてくださった、人と関わる時にお互いが相手から何かを得られる関係を築くことで人の輪がつながっていくという考え方があります。海士町に滞在する間、様々な場所でこの関係性を目にしました。例えば、日須賀地区の宮岡さんのお話に、JICAのグローカル生の受け入れについて、グローカル生が地元の人だけで管理しきれない通学路の整備などを実践してくれる一方で、グローカル生側も地元の人から歓迎会など温かく迎え入れてもらえる関係性がある、とおっしゃっていたことが挙げられます。海士町スタディツアーは、海士町の持続性ある地域づくりを学べたと同時に、「ないものはない」の言葉を肌で感じることのできた経験となりました。また、職業や年齢、置かれている環境も異なる人たちとたくさん出会えて多くの刺激をいただく機会となりました。島で関わってくださった全ての方にお礼を申し上げます。ありがとうございました。

(奈良女子大学2年 山本 舞)

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海岸に流れ着いたゴミ

スタディツアー後半では、日須賀地区でのボランティア(旧通学路の草刈り、海岸のゴミ拾い)、役場幹部の中川さん・吉元さんとの面談、JICAの河添さん・森田さん(海士町に配属)とのJICAや海士町に関する質疑、島留学・JICA海外協力隊経験者・スタディツアー受入関係者との懇親会を行いました。

海岸清掃では、それまで知識としては知っていた海洋ごみの現実を目の当たりにしました。10人で拾ったゴミの袋がいっぱいになっても、海岸にはまだゴミが残っており、話を伺った宮岡さんによれば、清掃してもまたゴミが流れ着いてきて一年後には同じ状態になってしまい、きりがない状況であるとのことでした。普段、海水浴などで訪れる海は、手入れによって成り立っていることに気づかされました。状況には無力さを感じるとともに、これまで欠けていた当事者意識が芽生えました。役場幹部の方との面談では、何か楽しいことをしよう、というポジティブな精神を伺いました。仕事以外においても仕事においても、その精神は共通しており、それが町の活性化につながっていることが印象的でした。役場での取り組みに関して、事前学習では仕事を中心に捉えていましたが、幹部の方々のポジティブな姿勢が仕事以外にも共通しており、そこでの取り組みもまた現在の海士町の発展に繋がっているのだということを感じました。直接話を伺う醍醐味や大切さを感じました。

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スタディツアー参加学生たち

今回のスタディツアーで特に印象に残っているのは「意志ある未来」という言葉です。これは濱中さんから町政に取り組む姿勢として伺いました。また、宮岡さんから海洋ごみについて伺った際には、自分はサークルで海洋ごみがテーマとなった際、勉強しつつもやる気を持っていなかったことが思い出され、これは「意志ある未来」とは反対の姿勢であったと反省しました。町政においては、町の改革に取り組む役場の姿勢を町民の方々が目にして共感したこと、自分に置いては海洋ごみを目にして海洋ごみに悩む宮岡さんに共感したこと、そうした直接目にして会って話して知ることで得る実体験は「意志ある未来」の強い原動力になる、と感じました。この度のスタディツアーでは、沢山の方のお世話になり、たくさんの学びを得、海士町の魅力を知りました。帰宅後も、どこかで何らかの形で海士町に関わりたい、また訪れたいと感じています。ありがとうございました。

(奈良女子大学4年 島崎睦巳)

右矢印島根県隠岐郡海士町オフィシャルサイト
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右矢印海士町でのグローカルプログラムの様子

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