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2024年11月20日更新
2024年11月13日(水曜日)、株式会社コーエイリサーチ&コンサルティング主席コンサルタントの太田美穂さんを講師にお招きし、第46回SDGsセミナー「モザンビーク国新しい学校教育制度に対応したカリキュラム普及プロジェクト−JICAによる開発途上国の現場での具体的な取り組み−」が開催されました。はじめにこれまでに経験されたJICA教育協力について、その後モザンビーク国での教育支援プロジェクトにフォーカスして、活動の現状や成果、困難など多岐にわたって詳しくお話しいただきました。
まず太田さんは私たち受講生全員に、どのようなことに疑問や関心があるのかということをお聞きくださり、講演の端々でその疑問にお答えくださいました。お茶の水女子大学のご出身ということもあり、受講生からはキャリア選択に関する質問も多く挙がりました。
モザンビーク国での教育支援プロジェクトとは、初等算数・理科のカリキュラム改訂とそれに合わせた教科書の改訂、教師教育等を成果に掲げたプロジェクトであり、モザンビーク国教育省と連携しながら、2021年3月〜2027年4月を協力期間として活動しています。それまでのモザンビーク国では理科を読み物で教えるなど、実質的な教育環境が整っていない状態であったため、観察や実験といった教育が出来るよう、教材の改訂とそれを教える教員の養成・研修が進められたそうです。プロジェクトに従事する中での困難として、プログラム開始当初はコロナ禍真っ只中であったこともあり、オンラインでの打ち合わせのみで計画を立てなければならなかったことなどをお話しいただきました。
今回の講演の中で最も興味深かったのは、太田さんが「自分は教科専門家ではない」ということを常に意識しながら仕事に取り組んでいるとお話しされていたことです。理科や算数教育の専門家と調査や業務調整役のコンサルタントが、チームとしてプロジェクトに取り組む中で、教科専門家にしか分からない部分とコンサルタントの立場からできることの棲み分けを行なっているというお話しでした。現在参加されているプロジェクトではメンバー間のトラブルなどがないとおっしゃられており、そういったメンバーそれぞれのフィールドを尊重し合う姿勢が円滑なチーム運営に繋がっているのではないかと感じました。
今回のお話を聞き、一つのプロジェクトを遂行するために、計画から実行までにいかに多くの人が関わり、緻密な計画が練られ、試行錯誤が繰り返されているのかを知ることができました。金銭的援助のみの支援ではなく、現地に入っての中身に踏み込んだ援助を重要視するJICAの支援の形とそれを可能にするコンサルタントの仕事の重要性を感じました。貴重なご講演ありがとうございました。
(文教育学部言語文化学科3年 今野春子)
【関連リンク】
JICAグローバル・アジェンダ「教育」
モザンビーク 新しい学校教育制度に対応したカリキュラム普及プロジェクト