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2024年12月18日更新
グローバル協力センターでは、(1)南アジアに位置するブータン王国を巡る諸相に触れること、(2)それらから開発政策や国・地域の在りかたを考えることを目的とした地域研究型セミナーを2021年度から2023年度にかけて45回開催しました(合計参加者:約2,300名)。毎回ブータンを扱った国内外の新旧映像作品を取り上げ、映像作品の視聴、発表者(コメンテーター)からの簡単な解説、質疑応答という流れで実施しており、今年度は全15回の開催を予定しています。
12月13日(金曜日)にオンラインにて、2024年度第11回ブータン連続セミナーが開催されました。第11回(通算56回目)となる今回は、アルジャジーラのニュース映像とドキュメンタリー番組を取り上げ、1990年代に発生したブータンの難民問題に迫りました。内容の理解を高めるため、コメンテーターの平山講師より、映像視聴前に、難民問題の発生背景の解説がありました。映像を視聴した後の解説では、難民が多く発生したブータン南部地域の風景と関連文献が紹介されるとともに、ネパール系住民のブータン移住の歴史と国籍法の変遷、1980年代の国民統合政策に関して取り上げられました。
当日は30名ほどの参加がありました。参加者からは、「このようなブータン負の歴史も有する国だということで、ブータンにより興味を持ちました。」「映像の紹介、平山先生の背景情報の解説、映像の視聴を通してこれまであまり着目されてこなかったブータンの難民問題について理解を深めることができました。特にブータン南部の写真を通して、その宗教や地形や民族的背景を知ることができ勉強になりました。」 「『国民総幸福度(GNH)によるブータンの国づくり』を進める中での難民問題があることに驚かされた(今回のセミナーで初めて知った)。 」「今回の話を聞いていて、ミャンマー国のロヒンギャ問題やスリランカのタミル人問題との類似点があると感じた。国家とか国境とかの概念が輸入される前の土地定着の問題であったり、単に少数派である人の集団に対する支配集団の行動の問題だと受け止めた。さらにこれからは南部の肥沃な(たぶん)土地を、国の中でどう位置付けていくのか、興味は尽きません。」 などのコメントが寄せられました。