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【開催報告】第55回SDGsセミナー「紛争地、被災地に生きる人々の声~取材から見えてきたこと~」(2026年3月5日)

2026年3月11日更新

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講師の安田さん

2026年3月6日、認定NPO法人Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)フォトジャーナリストであり、同団体の副代表である安田菜津紀さんをお招きし、「紛争地、被災地に生きる人々の声~取材から見えてきたこと~」をテーマとしたセミナーが開催されました。

最初に安田さんが「フォトジャーナリスト」がどういうお仕事なのかに触れられた後、パレスチナ・ガザ地区の概要や、軍事侵攻に至った経緯を説明されました。最初に見せていただいたガザの海岸線の写真はどこか温かく、地中海を臨む普通の町に見えたことが意外でした。これらの海岸線の建物は現在ほぼ全て砲撃により崩壊しているそうです。現在のイスラエルによる軍事侵攻以前からガザの生活は厳しかったのですが、だからこそ、2011年3月11日に発生した東日本大震災で被災した人々の厳しい状況に、ガザの人たちが深い想いを寄せてくれていることを知りました。そして、現地の子供たちが中心となって被災者の皆様に手紙を書いたり凧揚げ大会を開催している状況を、写真を通じてリアルに感じることができました。ガザでお友達や家族と楽しく過ごしていたシャヘドちゃんに、2023年10月の軍事侵攻以降連絡が取れないことに、深く胸が痛みました。

続いてシリアです。少し前まではとても美しく、優しい人たちが沢山いる国だったということを、写真を通じて鮮明に感じることができました。特にカシオン山から見えるダマスカスの夜景の美しさが印象に残りました。しかし、日本で東日本大震災が起きていた2011年3月、中東各国で吹き荒れたアラブの春(民主化運動)を押さえつけるためのシリア政府の行動により、世界中にシリア人が難民として逃げざるを得なくなりました。安田さんは、サラという名前の少女のストーリーを話してくれました。直撃を受けた爆弾によりお兄さんが即死、兄弟や自分も大きな怪我を負ったサラちゃんが、「子どもは悪いことをしていない。こんなことは止めてほしいと「大きい人たち」に伝えてほしい」と安田さんに伝えたそうです。子どもにとって誰と誰がどういう理由で戦争をしているかは分かりません。でも「大きい人たち(大人)」がいがみ合い、子どもが殺されてしまうことをもうやめてほしいんだという願いが込められていると、サラちゃんのお母さんが説明してくれたそうです。写真では当時受けた爆撃の近くの写真がありました。コンクリートや石でできた家の壁に無数の穴が開いていて、その爆弾が人々の身体にどんなダメージを与えるのか、考えるだけで恐ろしく感じました。

最後に東日本大震災、陸前高田についてお話をしてくれました。安田さんはこの震災で義理のお母さまを亡くされたそうです。義理のお父様が県立高田病院から撮影された津波の写真はその威力と大きさが身に染みて分かるもので、今、なお、恐怖を感じました。安田さんは陸前高田市でずっと取材されている方々にシリアの話をされたそうです。そうしたところ、被災者の皆さんも苦しい生活が続いているのに、同じ苦しい生活が続いているシリアの人々を想い、募金活動や物資の支援を開始されたそうです。住民の一人の方は「これまで3度避難生活をしたことがある、大変だったし今も大変だけど、それでも国を追い出されたことは無い。国を出ざるを得なかったシリアの人々の方がもっと大変だ、これは恩送りだ」とお話されたそうです。

安田さんの今回のセミナーをお聞きして、そして沢山の写真を見て、ニュースで語られる「○○人が犠牲になりました」という裏に、何千、何万、何十万という一人一人のストーリーがあることを改めて思い知らされました。夢と希望に溢れた将来を楽しみにしていた多くの子供や、そんな子供を支える親たちが一瞬にして命を奪われたり、生涯にわたってケアが必要な大きな怪我を負ったり、精神的なトラウマを抱えてしまいます。改めて、ニュースの表には出てこない人々の苦しみに思いを馳せ、まずは知ること、そして知ったことを周りの人に伝えることの大切さを噛みしめました。写真には多くの人たちの人生が、色々な表情と共に詰まっていました。安田さんのように写真を通じて伝えることは私には難しいですが、「不条理のそばを黙々と通り過ぎない」、「私たちが語り続ける」ことの重要性を改めて感じる時間となりました。

(グローバル協力センター 宮原千絵)

  • photo2会場の様子1
  • photo3会場の様子2

【関連リンク】
認定NPO法人Dialogue for People

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