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2022年3月1日更新
国際教育センター長 森山 新
最初に、ウクライナを含む世界から多くの留学生を受け入れてきたセンターの長として、平和と人権が脅かされているウクライナをはじめとした世界の人々に、一日も早く平和と安全が訪れることを祈ります。
いうまでもなく大学は高等教育機関です。大学では、社会のニーズにあった人材を育成すべく、高等教育機関にふさわしい高度な教育を行なっています。そこでは既存の知識をクリティカルに見つめ、新たな知を創造することはいうまでもなく、自己や社会に対してもクリティカルに見つめながら、よりよい自己、よりよい社会を築く担い 手としての人材を育成しています。
グローバル時代を迎えた今日、世界には戦争、人権の抑圧など、様々な困難が出現しています。大学にはこのような課題多きグローバルな社会をよりよいものとし、そこで暮らす多様な人々が平和に生きることを可能にするための知恵と視点、さらにはそれらをもって社会を変革できる行動力を持った人材を必要としています。
そのような人材は一体どのようにしたら育むことができるでしょうか。自身の経験から考えますと、それは教室で学ぶだけでは限界があり、自らが教室を飛び出し、グローバル化した社会において様々な異なる他者と出会い、ともに生きるための経験を積むことが何よりも有効であると考えます。
ではそのような異なる他者との出会いの場はどこにあるのでしょうか。第一に、この大学生時代を活用し、海外へ留学することです。それは、住み慣れた世界を離れ、自らをマイノリティの立場におくことで、今まで当たり前としていた言語、文化、価値観などを相対化し、またマイノリティが置かれた立場を理解することで、グローバル時代に最も必要とされる多様性の受容や、自国や自文化を中心とした価値観やアイデンティティを、よりインターナショナル、インターカルチュラルな価値観やアイデンティティへと高めてくれると思うからです。また親元を離れ、親しい友人のもとを離れ、多様な価値観を持った他者と協働しながら一人暮らす経験は、将来、世界を舞台に、能動的、かつ協調性を持って活躍するリーダーシップを育んでくれるでしょう。
第二に、異なる文化、背景を持つ他者との出会いは私たちの周囲にも当たり前のように存在しています。世界は急速度にグローバル化しており、東京にも海外から多くの人が訪れ、生活するようになりましたし、本学にも世界各国から留学生が学びに訪れています。残念ながらコロナ禍ゆえに、その訪れは滞ってしまいましたが、しかしコロナ禍ゆえに急ピッチでオンライン化が進み、国際合同授業は以前にも増して広範囲に行なわれるようにもなっています。このように我々の周囲にユビキタスに存在するグローバルな環境をも有効に活用しない手はないと思います。
そのような観点から、本学では、国際化を重要な課題の一つと位置づけ、毎年多様な国際交流イベントやプログラムを実施しています。本学は現在、海外の84大学と国際学術交流協定を結び、学生・研究者の派遣、受入れを積極的に行なっています。本学に留学し、大きく成長して母国に帰国する留学生の姿、そして海外留学を経て大きく成長して帰国する本学学生の姿は、グローバル化時代に求められる人材育成にグローバルな体験が重要なことを教えてくれます。
本センターでは様々な海外大学との交流プログラム、本学に留学している留学生との交流プログラム、そして海外派遣プログラムを準備しています。感受性豊かなこの学生時代に、このようなプログラムに一人でも多く参加し、時代のニーズにあったグローバルな人材へと成長していくことを心から祈っています。
2022年3月1日