平成20年度 現代GP講義
キャリアプランニングI(シンクタンク:冨田 稔先生)

2008年 10月 29日(水)から 3週間にわたり、冨田 稔先生(株式会社三菱総合研究所 経営コンサルティング本部 リソース戦略グループ 主席研究員)を講師に迎え、キャリアプランニングI(シンクタンク)の講義が行われました。

冨田先生は早稲田大学大学院理工学研究科生物物理専修修了の後、三菱総合研究所に入社されました。三菱総合研究所において、ライフサイエンス、ヘルスケア、食品関係、バイオ関係などの民間企業と官公庁へ対してのコンサルティング(※)や産業戦略策定などを行っています。また 業務とは別に著書(「バイオ業界」「全予測2030年のニッポン」等)を出版されるなど、活動は会社だけにとどまりません。この講義では、シンクタンクとはどのようなものなのかを実際の案件を題材にして学んでいきました。

※コンサルティング:専門家の立場から相談に乗ったり指導したりすること。また、企画立案を手伝うこと。


10月29日:講義1日目

『シンクタンク』とは何か

三菱総合研究所はいわゆるシンクタンクと呼ばれる会社ですが、「シンクタンク」とは何か、みなさんはご存知でしょうか? 簡単にシンクタンクの意味を説明するところから始めましょう。シンクタンクでは「未来予測」、将来ある事柄がどのようになっていくかを予測する情報を取り扱っています。「未来予測」を多方面から、例えば調査分析的、コンサルティング、システム開発などからアプローチしていきます。今回の講義では、皆さんにシンクタンクのことを知って、興味を持ってもらうことを目的としています。それでは、実際に私が扱ってきた案件を題材に、具体的に未来予測について考えていきましょう。

『未来予測』をしてみよう

それではこれから、実際にインターンシップで使用したこちらの課題について考えていきましょう。


1)次代の食品、飲料の提案
・食品、飲料メーカーに対し、「次代のヒット食品、飲料」を提案することを想定し、以下の点についてあなたの考えを示してください。

  1. 現在の食品、飲料業界の課題(例えば人口減少、商品価格低下、輸入原料の高騰等)
  2. 次代の食品、飲料に求められる要件(消費者ニーズ、社会的視点、政策的視点等から)
  3. 次代のヒット食品、飲料のコンセプト(誰に、何を、どのように売るか。その対象者に対する訴求点、既存食品、飲料との相違はどこにあるか)
  4. 次代のヒット食品、飲料の導入効果(当該企業にとって、社会にとって)

いかがでしょう。いきなり一人でこの課題を考えるのは大変だと思うので、ヒントも一緒に載せておきますね。



<ヒント>
  • 自分が消費者の立場として欲しい食品、飲料は何でしょうか。
  • 製品コンセプトのみでなく、以下のような内容を含んでいただいたほうが具体的な提案につながります。

    1. 飲まれ方:飲まれる場面、季節や時間帯
    2. 売り方:販売店、CVS、自販機、通販、キャッシュレス販売等
    3. 容器・包装(リサイクルの視点等も含みます)


  • 海外の食品・飲料を日本に導入したり、逆に日本の飲料を海外で展開することでもかまいません。ただ、なぜそれが有望か、誰に売るのかといった点は明確にしてください。

ではこの課題について一人一人考えをまとめて、次の時間に発表してもらいましょう。


11月5日、11月12日:講義2日目、3日目

考えてきた新商品をプレゼンテーション

さて、前回の課題についてなにか考えてきたでしょうか? シンクタンクを行う上で重要なスキルの一つに、プレゼンテーションスキルがあります。いかにいい考えを持っていても、それをお客様に上手く伝えることが出来なければ意味がありませんからね。それではさっそく一人ずつ発表していただきましょうか。

受講生の案

  1. エコの面から、飲料をペットボトル・缶ではなくタンブラー(繰り返し使える入れ物)に入れて販売するのはどうか。例えば自動販売機で売られている商品をタンブラーで販売するのはどうか。他にも、コンビニなどにドリンクバーで使用されているような機械を設置し、タンブラーを持ってきた人には通常価格よりも安く販売したら、利用者が増えるのではないだろうか。
  2. お年寄りや子供に対して薬を飲みやすくする飲料を開発するのはどうか。利用者は病院で薬をもらう人が主なので、病院でお医者さんに勧めてもらって販売したり、病院の近くにあるコンビニで販売するといいと思う。

冨田先生の総評

みなさん商品をどこで利用する、販売する等場面設定はしっかり行われていますね。とてもいいと思いますよ。あとはこれを実際企業で開発、販売する場合、どのようにしたらうまくいくのかを詳細につめていく必要がありますね。

みなさんおもしろい発想をお持ちですね。それぞれによい点、改善点がありますので、そこをもっと詰めていけばよりよい案になると思います。この課題を実際にやって分かったと思うのですが、シンクタンクで取り扱っている課題には、「答えが一つしかない」「これが答えだ」といえる課題はあまりありません。これがシンクタンクの特徴です。実際社内では、このような案件をみんなで考え、様々な方面から意見を出して将来を予測しています。

多岐にわたる未来予測の事象

シンクタンクでは、今挙げた課題のような案件のほかにも、様々な案件を取り扱っています。興味のある方のために、いくつか例を挙げてみますね。

  • 飲料等の自動販売機の方向性
  • オリンピック後の施設の有効利用
  • メタボリックシンドローム対応食品の市場性
  • 少子化の問題点、要因、対応策

まとめ

以上がシンクタンクの概要です。いかがでしょう、みなさん興味を持っていただけたでしょうか? 三菱総合研究所ではこのような課題を考えることが好きな人を求めております。今回の講義を聞いて三菱総合研究所に興味をもたれた方は、是非インターンシップに参加してみてくださいね。


記者の感想

私はシンクタンクというものを全く知らない状況でこの講義に参加しましたが、全三回の講義を通して、シンクタンクに関する知識がとても深まりました。講師の冨田先生はとても親切で優しい先生なので、これ大丈夫かな?と思うような意見に対しても、とても親切に答えてくださいます例えば先ほどの課題に対する案の中ので、私は風邪予防になる飲料の開発の意見を出したのですが、内心こんな飲料かどうかよく分からない商品を案として出してしまって大丈夫だろうか・・・と思っていましたが、冨田先生からは興味深い案だというご意見をいただけました)。この記事を読んで、少しでも興味を持った方がいらっしゃったら、是非この講義に参加してみてください。有意義な時間をすごせることは間違いありません。

文責 / 学生記者:坂下あい

受講者の声

  • 「シンクタンク」の仕事は今まで自分とは無縁のものだと思っていましたが、講義、そしてなにより演習によってずっと身近に感じられるようになりました。
  • ぼんやりとしたイメージしかなかったシンクタンクという機関のことを知る良い機会になった。
  • 企業の方の話を聞くことができ、実際に自分で調べたり考えたりしたことについて コメントしていただいたのでためになった。
  • 今まで考えていなかったキャリアの道が増えたと共に、もっと自分のよく知らない仕事について調べてみたいと思うきっかけを持つようになりました。