科学技術振興調整費「女性研究者支援モデル育成」事業を終えるにあたって

女性研究者支援プログラム推進室 特任教授 藤枝修子


科学技術振興調整費「女性研究者支援モデル育成」事業は、平成18年8月からスタートし、本学は「女性研究者に適合した雇用環境モデルの構築」の課題名で平成18年度〜20年度に採択されました。学長のリーダーシップのもとに、このプログラムは学内外の皆様方にご指導とご協力をいただきながら、3月31日をもって終了いたします。ご支援下さいました皆様方に、心から感謝申し上げます。私どもの進めてまいりましたことを、簡単にご報告したいと思います。

本学の課題内容は、おもに下記の3項目からなり、
(1) 女性研究者を取り巻く研究環境の質的・量的整備:
1) 女性研究者への研究支援メニューの提供
2) 勤務時間9時から5時の徹底化
3) 隣接する学内保育所と連携して、子育て中の女性研究者に研究時間を確保させるための独身寮の整備

(2) 女性研究者支援のための情報環境の整備:女性研究者支援「情報バンク」の設置

(3) 女性研究者育成のための人的交流:ロールモデルによる若い理工農系女性院生・学部生への啓発活動

にそって事業を推進しました。(1)では、小学生以下のお子さんを育てる実験系女性研究者5名をモデル研究者とし、研究補助者を2名(アカデミックアシスタントAAまたはリサーチフェローRF)を配置しました。1)〜3)の推進状況を検証しました。詳細な生活時間調査から、研究者の仕事と生活の時間配分、補助者による支援が可能な内容の検討を行いました。論文や学会発表数と補助者配置の効果なども検討しました。各補助者がスキルアップし、常勤職などのポジションを得て転出する例も多数見られたことはうれしい成果でした。2)では、全学的に公的会議は5時までに終了し、時間の概念を念頭におくような意識改革・システム改革を実現する努力を行ってきました。徐々に実現され、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)が図られるようになり、心おきなく定時に帰宅することができるようになりました。

推進室では打合せ会を通算84回実施して情報共有に心がけ、昼食をともにして意見交換の機会を増やしました。シンポジウム、交流会、勉強会などに加え、他機関と共催イベントなども多数開催しました。本学を含め、平成20年度までに33機関が採択されています。ポスター発表や他機関で開催されたシンポジウムなどにも積極的に出席し、情報交換も進めてきました。学長の学内外での基調講演・招待講演も多数にのぼりました。

本プログラムでの成果を「女性研究者支援モデル育成DVD」、女性研究者支援状況を評価する「お茶大インデックス」、より明確に評価するための「ワークブック」を作成しました。これらは本学での検証成果を研究教育機関だけでなく、広く社会への波及効果を願って発信するものです。はやくも、学内での意識改革の手段として、「お茶大インデックス」をみんなで試みる大学も出現しています。

今後は、推進室を発展的に解消しながら、本プログラムの内容は形を変えて継承していくとのことです。3年間の活動の中から見えてきたことや学んだことなどを今後の本学の発展に役立てていただきたいと切に願うものです。長い間のご芳情に感謝しております。



***************
2009年3月30日、本館1階120号室にて、本プログラムとしての最後の「第85回コスモス連絡会」を開催しました。
モデル研究者、補助者をはじめとして、これまでこのプログラムに関わってきたメンバーが顔をそろえ、これまでのこと、今後のこと、などなど、忌憚のない意見の交換を行いました。それぞれ、今後の活躍・発展を誓い合い、会は終了しました。

中庭の桜(八部咲きくらいでしょうか?)↑と、連絡会の様子↓ は写真でご覧ください。



女性研究者支援プロジェクトについて


RSS 女性研究者支援プロジェクト推進室・情報バンク [お問合せ]
Copyright COSMOS 2007 Ochanomizu University. All rights reserved.
お茶の水女子大学