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2024年8月23日更新
SSH指定女子高校等研究交流会がお茶の水女子大学で開催されました。この交流会には、埼玉県立浦和第一女子高等学校、埼玉県立川越女子高等学校、埼玉県立熊谷女子高等学校、群馬県立前橋女子高等学校、茨城県立水戸第二高等学校、栃木県立宇都宮女子高等学校、そしてお茶の水女子大学附属高等学校の計93名の生徒が参加しました。
開会式は、佐々木泰子学長の挨拶から始まり、学長は理工系の女性リーダーの育成支援が本学の重要なミッションなっており、本イベントによって生徒同士、そして本学の大学院生や教員とのつながりを得ることが可能となり、課題研究にとっても役立つものとなることなど、述べられました。
次に高校を代表して水戸第二高等学校の椎名英史教頭に引き続き、本学教員の実習・演習の講座1~8が始まりました。講座担当教員と内容は以下の通りです。
脊椎動物の骨格は、基本構造が共通していますが、生物種はそれぞれに特殊化しているため、ヒトという生物も進化の結果、それ特有の身体構造を持つに至っています。粘土などの材料を用いて工作してみることにより、ヒトの身体構造の特徴を詳しく勉強してみましょう。また、私たちヒトは、衣・食・住の生活のあらゆる面で、常に「物」を利用しています。ヒトが使う物は、どのように設計されているか、身の回りの物を例に挙げ、人間工学的な視点で見てみましょう。
素数と結び目の類似性を初めに文献中で指摘したのはBarry Mazurであったと言われるが,その発想の萌芽は,近代数学(+物理学・天文学)の祖であるGaussの研究の中にも見て取れる.午前の講義では, 高校1年生程度の予備知識を仮定して, 「平方剰余の相互法則」と「絡み数の対称性」の類似性を観察し, 素数たちは実は孤独な数 ``ではない’’ ことの片鱗に触れる. 午後にはまず, 結び目や絡み目の模型に「膜」を貼るグループ活動を行う. その後, 少しだけ発展的な講義を行う. 素数が無限個あることは紀元前から知られていたが, その神秘性は「絡み方に関する均一分布性」に着目すると際立ってくる. 同様の性質をもつ無限絡み目である「惑星絡み目」「モジュラー結び目」などを通じて, 数学の中にある様々な研究分野が交錯する様子を紹介する.
水道の蛇口からしたたり落ちる滴も、よく伸びる切り紙も、クモの巣の丈夫さも、「印象派物理学」を使うと、美しくてシンプルな物理法則に支配されていることが分かります。さらに、その背景を探ると、そこには現代物理学の最先端にある深遠な世界が広がっていることが分かってきます。皆さんも、身近な現象に潜むシンプルで奥深い物理学のフロンティアを覗き込んで、一緒にワクワクしてみませんか。
ビュレットを使い中和滴定で塩酸や水酸化ナトリウム水溶液の濃度を決める。中学校や高等学校でよく出てくる話です。ビュレット滴定法はその簡単な操作、電気も不要であるにも関わらず分析方法として社会的に不動の地位を維持しています。このビュレット滴定法の「正式さ」「正確さ」「精密さ」を、令和三年厚労省告示第18改正日本薬局法をもとに実習してみようと思います。
金属イオンは、有機物を含む様々な分子と金属配位結合をして金属錯体を形成します。金属錯体は、皆さんの身の回りに意外とたくさん存在しており、いろんな役割を果たしています。その中の一つに、金属配位結合の構造変化が色の変化として見えることが挙げられます。例えば、青色のシリカゲルが、湿ってくるとピンク色になることや、静脈の血は黒っぽいのに、動脈の血は赤い色をしていることも、金属配位結合の構造変化と関係しています。実際に、金属配位結合の変化を伴う反応を行い、その色の変化を観察してみましょう。また、その色の変化がなぜ起こるのか、そして、どうやって明らかにするのか?最先端の研究事情の紹介もしたいと思います。
細胞内には特殊な機能を持った膜区画である細胞小器官(オルガネラ)が存在します。これらの細胞小器官を生きたまま観察するために緑色蛍光タンパク質(GFP)で細胞小器官を標識し、蛍光顕微鏡で観察します。実習では、植物の様々な細胞小器官を生きたまま蛍光顕微鏡で観察し、その細胞内のダイナミックな振る舞いを観察します。「動けない植物のダイナミックに動く細胞小器官」を観てみませんか?
動植物に限らず、菌類や藻類なども含めて、全ての「野生生物」には「分布」が存在します。図鑑では「関東に分布」といったようにざっくりと書かれていることが多いですが、実際の生物は寒い環境が好きだったり、多雪環境が好きだったりと、環境に対する好み(ニッチ)を持っており、それによって分布は制限されています。実習では地理データを扱う地理情報システム(GIS)について学んだ後、全世界の生物分布データベースからデータをダウンロードする方法を学びます。さらに、コンピュータを用いて生物の分布と環境の関係をモデリングする「生態ニッチモデリング」に取り組みます。この方法は現在気候での分布の予測だけでなく、約2万年前の寒冷な氷期における古分布や、地球温暖化した将来における分布変化を推定することにも役立ちます。一味違う、生物+地理の研究を体験してみませんか?
本講座では、皆さん自身でごく簡単なゲームのプログラムを作ります。何も出てこない真っ白な画面から始めて、少しずついろいろな機能を加えていきます。最後には、自分で楽しめるちょっとしたゲームに仕上がる予定です。少しずつ複雑になっていくゲームを楽しみながら、ゲームの奥に潜む情報科学の基本的な考え方を垣間見ます。この講座の後、普段、何気なく遊んでいるゲームの裏が少し見えるようになったら成功です。
これらの講座は、15時まで続き、生徒さんたちがとても楽しんでいる様子が感じられました。
15時10分~16時 には、7校課題研究交流会 (生徒同士・各班5名)が行われ、生徒同士の自己紹介や課題研究についての意見交換などが行われました。
閉会式では、恒例の集合写真撮影がありました。