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2024年12月2日更新
お茶の水女子大学グローバル協力センターでは、国際開発や平和構築に関心を持ち「共に生きる」社会について自主的に学習・活動する学生を様々な形で支援しています。11月9~10日の第75回お茶大大学祭「徽音祭」では、学術企画として、お茶大生が国際協力活動の報告(発表・展示)を行いました。
以下はそれぞれの学生による発表・展示の報告です。
11月9日(土曜日)徽音祭にて、海士町スタディツアーに参加したメンバーのうち、お茶の水女子大学の2名が発表を行いました。まず海士町の基本情報やスタディツアーの概要を説明し、6日間で行ったことを具体的に紹介した後、それぞれが感じたことや学んだことを話しました。隣の部屋ではポスターも掲示していましたが、そこには収まらない学びや感動を、たくさんの写真も交えてお話しました。
2人が共通して感じたことは、海士町の居心地の良さと前向きさでした。海士町は海に囲まれ稲作も盛んな自然豊かな土地で、風景の美しさをスライドの写真からも感じていただけたかと思います。また、すれ違った人誰とでも気軽にあいさつできる人の温かさも感じました。そして海士町には、マイナスなことも発想の転換でプラスにかえて生きる「ないものはない」精神があります。海岸清掃でゴミの中から貝を見つける楽しさを見いだしていたエピソードや、町役場の幹部の方の「何もないなら面白いことをみんなでしよう」という考え方も紹介しました。
スタディツアー参加後、海士町の魅力を多くに人に知ってもらいたいと思っていたため、徽音祭で発表の機会をいただくことができ光栄でした。会場の方から鋭いご質問があり、回答に少々困る場面もありましたが、発表を聞いて興味を持っていただけて嬉しかったです。スタディツアーを通して考えた「豊かさとは何か」は、今後の学生生活でも、社会人になってからも追究していきたいと思います。
(生活科学部人間生活学科生活文化学講座3年 山田有紗)
2024年度海士町スタディツアー(五女子大学コンソーシアム合同)実施報告
徽音祭にて、カンボジアの女性が作った縫製品の展示と活動報告を行いました。ここでは、私が活動を始めたきっかけを中心に、徽音祭に出展・発表した感想について書かせていただきます。
カンボジアは、個人的に思い入れのある国でした。中学生の時、人生で初めての海外旅行として行った場所がカンボジアだったからです。その時、カルチャーショックという言葉で片付けることができないほどの衝撃を受けたことを今でも覚えています。小さな女の子が一生懸命にマグネットを売り続けてきたこと、至るところで聞こえる若者たちの笑い声、バイクで溢れかえる活気に満ちた街並みと歴史を感じさせる静謐な遺跡群、その全てに圧倒され、目にした光景が脳裏に焼きついて離れませんでした。
大学に入った私は「もう一度カンボジアを訪れ、その現状を自分の目で見たい」と思うようになりました。そこで、グローバル協力センター企画のカンボジアスタディツアーに参加し、調査テーマを携えてカンボジアに再訪することになりました。私は普段ジェンダーについて学んでいることもあり、「カンボジアにおける女性活躍」をテーマに選びました。調査を通して、現地の女性たちが仕事と家庭の両立に奮闘しながらも、仕事でスキルを身につける機会の少なさに苦しんでいる現状を目の当たりにし、帰国後もインタビューした女性たちの姿が頭から離れませんでした。
この経験をきっかけに、私は香川県の公益社団法人「セカンドハンド」の活動に参加することにしました。この団体は、カンボジアの女性たちに縫製技術を教えたり、女性が作った縫製品を日本で販売したりすることで、女性の経済的自立を支援しています。私は今回、徽音祭でその縫製品を展示・紹介するとともに活動報告を行いました。
イベントでは、多くの方が足を止め、普段目にしない製品に興味を持ってくださいました。会話を通じて、お客様一人ひとりが考える国際協力や、カンボジアに対する印象を知ることができ、参加したことの意義を強く感じました。また、同じブースではパレスチナ支援やスタディツアーの展示も行われており、さまざまな形で国際協力に取り組む学生たちが交流する場としても本当に素敵な機会だったと思っています。
カンボジアへのスタディツアーをきっかけに自分の毎日がこんなにも変わるとは、正直想像もしていませんでした。視野を広げてくれる機会を提供してくださったこと、今でもずっと感謝しています。この場を借りて、関わってくださったすべての方に心よりお礼を申し上げます。また、これからもスタディツアーや徽音祭の出店が続き、多くの人の交流の場があり続けることを願っています。
(生活科学部人間生活学科3年 三枝馨)
公益社団法人セカンドハンド
2023年度カンボジア現地調査(スタディツアー)実施報告
日本政府の国際協力機関であるJICA(独立行政法人国際協力機構)は、開発途上国のSDGs(持続可能な開発目標)の達成を支援する様々な事業を行っており、日本国内でも、15の事務所で開発途上国の人材育成、国際理解教育支援などを実施しています。そのうち、東京(渋谷区西原)にある事務所「JICA東京」が夏休み時期に募集した短期インターンシッププログラムに、お茶大生3名(博士前期課程2年・人間文化創成科学研究科理学専攻 平野理子さん、理学部生物学科4年 小東未佳さん、文教育学部人間社会科学科2年 片倉心響さん)が参加しました。
3人は8月下旬の約1週間、JICA東京でJICA事業の説明を受けるとともに、開発途上国から来た行政官の方々との交流やこれらの方々向けの研修プログラム視察、国際理解教育を実施する先生方の議論への参加などに取り組みました。以下は片倉さんのインターンシッププログラム参加と徽音祭での発表の感想です。
夏休みに開催されたJICA東京の特設インターンシッププログラムに参加させていただきました。5日間のインターンシッププログラムは、JICA事業を説明していただいたり、職員さんとの座談会に参加させてもらったり、開発途上国から来日した研修員向けの福利厚生プログラムで日本文化を一緒に楽しんだり、短期研修の場に同席させてもらったり、海外に派遣された教師の方々が行う授業の検討会に参加させてもらったりするなど、実践的で有意義な内容となっていました。
インターンシッププログラムを通して、JICAは国際協力に関わる人のつなぎ役になっていることを強く感じました。研修員を、企業を、教員を、個人をつなぎ、国際協力の輪をつくる先頭を走るのがJICAであると思います。このような「つなぐ」役割は、長きにわたる研修や質の高い事業を通して多くの人や組織からの信頼を得てきたJICAであるからこそできる国際協力の形であるとも思います。国際協力は様々な強みを持ったアクターがそれぞれに活動することで成り立っているものであるため、他のアクターはどんな活動をしているかも興味が湧きました。また、私の専攻分野である教育と国際協力についての専門性を高めていきたいと思います。
また、インターンシップでの活動について、徽音祭で発表をしました。徽音祭での発表を通して、5日間で学んだことを整理したり言語化したりすることができました。ただ体験するだけではなく、振り返って伝えることで自分ごとの経験として残るものだと気付きました。また、発表後の質疑応答で答えられないものがあったため、知識不足を実感しさらに学んでいかなければと身が引き締まる思いでした。発表を聞いた友人からは、「具体的過ぎて少しついていけなかった」という反応をもらいましたが、様々なことを経験し学んだからこそ何を切り取って伝えるのか、どう伝えるのかは少し難しく思います。
至らない点が多く見つかった時間でもありましたが、この気づきや難しさを大学生活や課外活動に活かしていきます。
(文教育学部人間社会科学2年 片倉心響)