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2023年12月25日更新
パルマ教授は、「ソフトスキル」というと何か目新しいことのように聞こえるが、わたしたちは実際には初等教育や家族生活のなかでの幼いころからソフトスキルと言われるものを段階的に学んできており、クラスメイトとの円滑なコミュニケーション、時間管理、整理整頓、宿題への取組などがその例であると指摘しました。中等教育に進むとソフトスキルはより複雑化し、進学という目標も重なってタスク管理という意味合いが強くなることを言及するとともに、これらのソフトスキルの修得はカリキュラムとして明確に存在しているわけではないため、学生の汎用的能力(ソフトスキル)を重視する産業界と専門性を重視する高等教育との間のギャップが存在していると問題提起しました。パルマ教授は、ハードスキルは「何をするか」であり、ソフトスキルは「何をするか」を考えた際に、それを「どうやるか」であると強調しました。また、特に近年においてはグローバル化が進展し、異なる背景を持つ多様な人々と協働することが重視されるようなったため、文化差への理解ということもソフトスキルの重要な要素のひとつとなりつつあることが示されました。ソフトスキルが乏しければ、人と人との間で摩擦や誤解、精神的な消耗などが生じやすくなり、これは職場全体でみれば多大なコストであると指摘しました。最後にパルマ教授はソフトスキルの修得は自己の成長とも重なり、大人になってからも日々の学びや仕事のなかで意識して伸ばしていくことが必要であると述べ、発表後の質疑応答でも参加者からの熱心な質問に丁寧に答えてくださいました。
文責:岡村利恵 (グローバルリーダーシップ研究所 客員研究員)