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仕事はeasyじゃないでも、すべてのプロセスを楽しんでいます

2017年5月17日更新

干場 弓子さん
干場 弓子さん
出版社ディスカヴァー
・トゥエンティワン取締役社長
文教育学部卒業。世界文化社入社後、「家庭画報」編集部を経て、1984年ディスカヴァー・トゥエンティワン設立。約4000店もの書店と直取引を展開するなど、独自の経営スタイルを確立。取締役社長。

知らない世界を知りたいという好奇心

学生時代に夢中になったのは、学校以外のことですね。「早く親から自立したい」そんな思いで東京にある国立大学のお茶大を選びました。東大の女性の先輩に影響を受けて、大学を飛び出し、ジャズ、ロック、ディスコ、お芝居などの前衛的な文化にたくさん触れました。家庭教師に加え、エキストラやモデルなどのアルバイトをして、オシャレも楽しんでいました。広い意味での好奇心や探究心を燃やすというか、はじけるというか、はみ出るというか。知らない世界に夢中でした。 社会に出たら、言われたことを卒なくこなすのは当たり前。ビジネスは課題発見、問題解決の連続。学校で言われたことをやっているだけではダメ。頭でわかるのではなく、自分でいろいろなことを体験して、そこから本質を掴み、応用していく。この習慣を学生時代に得ることができてよかったと思っています。

進路決定のテーマは「経済的・精神的自立

高校生の頃から早く自立したい、と思っていて、大学卒業の年に結婚もしました。とにかく働き続けたい、という思いが強く、入り口が平等な公務員、教員、マスコミを志望していました。マスコミの中でも雑誌を志望したのは、あこがれの東大の先輩が雑誌会社に就職したのが大きかったですね。 専門が心理だったので家庭裁判所の調査官も受け合格をいただきましたが、唯一受けた雑誌社の世界文化社が受かり、当時お茶大でマスコミに内定をもらった数少ないうちの1人になりました。でも、夫の仕事の都合で1年で辞めて、アメリカへ。帰国後、雑誌の道に戻りました。 一直線ではありませんでしたが、私にとって、働くとは生きること。だから、「働けるのはありがたいこと」という思いは今も変わっていません。求められれば、おばあさんになっても、掃除でも、ボランティアでも良いから働き続けたいです。

会社の成長=自分の成長=社員の成長

今の仕事についたきっかけは、今で言う起業家の知人に誘われたこと。資金や社員の面では彼の力添えが大きかったけれど、実務の面ではゼロからのスタートでした。何もない、何も知らないところから、販路を開拓し、著者を説得してきました。会計も独学で学びました。社員が辞めてしまったこともありましたね。でも、その一つ一つから学んだことがたくさんあったので、苦労したな、とは思っていません。人をマネジメントする中で「人はこういう時にこういうところで動くんだ」とか、新たな発見があったり。今では、社員一人一人の成長が会社の成長であり、私自身の成長でもあると、実感しています。

自分以外に意識を向ける

仕事をしてきて、まず思うのは、人は、自分のためではなく、人のため、チームのため、皆のためと思って行動する時に、力を発揮するということです。利己で はなく、利他。特に若いうちは、自分がどう思われるか、自分のやりたい仕事を任せてもらえるかなどと、自分のことで頭がいっぱいになってしまいがちですが、彼らもチームリーダーにしたり、プロジェクトを任せたりすると伸びます。プロジェクトを成功させるためには、一人ではできないことを知るからでしょう。クリエイティビティについても同様です。まずは、いろいろなことに関心をもつ好奇心が大切。人や、物事、社会の変化に気づくかどうか。自分のこと以外にどれだけ関心をもてるかです。つらいと思う時には、自我(エゴやプライド)にとらわれていないか、内省してみるとよいと思います。

問題を明確にすると、不安は無くなる

社長として孤独に感じること?ありますよ。社員には希望を見せなきゃいけないので、不安を言えない。周りに弱みを見せることもできない。でも、不安はあまり感じません。不安になるのは、その問題の原因や、どこから手を付ければ良いのかが明確になっていないから。問題解決の基本は、事態と直面し、問題を洗い出し、仮説を立て、手を打ってみることです。問題が明確になれば、不安ではなく、皆で乗り越えるべき課題になる。だから、会社がピンチの時こそ、一致団結するんですよ。会社にとって一番の問題は皆が希望・やる気を失うこと。どんなにひどい状況になっても、皆が問題と直面し、希望をもっていれば、持ち直して、伸びていけます。

何でも楽しめることが人間の大きさ、能力

私は、どちらかというと引っ張っていくタイプのリーダーかな。ミッションとビジョンを示して。リーダーシップとはビジョンを見せられることにあると思っています。これは、個人の人生においても同じ。ミッションを持つことが大切だと思います。今やっていることが、社会や世界、地球に対してどのような価値をもたらすのか。私自身が世の中に貢献できることはなんなのか、を考えるんです。それから、今目の前にある仕事に集中することも大切ですね。これが自分のキャリアにとってどうなるか、などは考えないで。プロセスを楽しみつつ、本質を掴むまで最大限の努力をする。ここで大事なのは、「楽しむ」というところ。でも、「楽しい」は「楽」ではない。楽しい仕事はあるけれど、楽な仕事はありません。 楽しもうと思わなければ何も楽しめないでしょう?何でも楽しめることは人間の大きさであり、能力だと思います。私は、大変なことですらも楽しんでいたいですね。

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