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言葉で伝えるスキル

2017年5月17日更新

青山 聖子さん
青山 聖子さん
サイエンスライター 77年お茶の水女子大学理学部化学科卒業。79年同大学大学院理学研究科修士課程(化学専攻)修了。新技術開発事業団(現 科学技術振興機構)を経て84年フリーランスで科学記事の翻訳・執筆を始める。 93年株式会社東京化学同人「現代化学」編集室に入り、インタビュー記事執筆、コラム執筆および編集を担当。97年フリーランス活動に戻る。埼玉大学、早稲田大学の講師などを経て2008年から早稲田大学客員教授、お茶の水女子大学、東京工業大学非常勤講師も務める。著書訳書多数。

サイエンスライターの仕事について教えて下さい。

現在、大学の研究雑誌や学会誌、文部科学省のプロジェクト研究のパンフレットなどで、最新の科学研究を紹介する記事を執筆しています。サイエンスライターにもいろいろありますが、私は主にアカデミックな研究の記事を担当しています。ノーベル賞受賞者や最新のインフルエンザ研究の第一人者にお話を聞くという機会もあります。

なぜこの仕事に就こうと思われたのですか?

実は私、大学院卒業後に就いた新技術開発事業団(現科学技術振興機関)を退職してから、家庭に入って主婦をしていた時期があったんです。今と違って、女性は子供ができたらかなりがんばらないと仕事を続けにくかったので。そんな時に、「現代化学」という雑誌の顧問をしていらした大学の恩師から、雑誌の記事を書いてみないか?とお誘いがあったんです。そのことがきっかけで、この仕事に就きました。

サイエンスライターをやっていて、よかったなと思うことは?

「サイエンスライター」以前に、「仕事をすることができる」ことは嬉しいですね。私の場合、仕事を辞めてからの再スタートでしたから、「書く」ことはもち ろんそうですが、それ以上に、「何かできる」ことが嬉しかった。この仕事をしていてよかったなと思うことは、「ものの見方」が身に付いたこと。科学は日常生活とかけ離れていると思われがちだけど、本当に大きな影響をもたらしている。進化という過程に化学反応が関わっているというお話や脳の働き方の違いで個 性が出るというお話を聞いた時は驚きました。「科学的なものの見方」は大事ですよ。

最近、理科離れが深刻になっているといわれますが。

それに関しては国が取り組みを始めています。私自身もその一環で、お茶大や早稲田大学などで、「科学を伝える」ことの醍醐味を教えています。取材方法やプレゼンテーション方法、執筆方法などを教えていますが、その分野に興味がない人を振り向かせることはやはり難しい。でも、何事も努力次第でしょう。精力的に活動を続けていきます。

女性が社会で活躍するために必要なことは何だと思われますか?

女性を取り巻く環境を整えることでしょうか。今、制度がどんどんよくなって、会社を辞めずに子育てなどをする女性が多いと思うけれど、やはり無理をしている女性が多いのも事実。私も仕事を一度辞めていますが、仕事を一度辞めてしまっても、再び社会復帰できる仕組みが整っていればいいなと思います。女性自身ができることとしては、「後輩を育てていく」ことかな。自分がしっかり自分の仕事をやって、評価されれば、後に続く人たちは仕事がしやすい。前の世代が頑張っていたことっていうのは、次の世代にとっては「道」になります。その意味で、これから女性が社会で活躍できるかどうかは、いまの女性たちの頑張り次第じゃないかな。

青山さんのこれからのビジョンをお聞かせください。

私が今この仕事を続けていられるのは、「人の縁」があったから。縦のつながり、横のつながり、いろんなつながりがあって、今がある。目の前にある仕事を一つひとつ丁寧にこなしていれば、次のつながりがあって、また輪が広がる。出会いやつながりをこれからも大切にして仕事をしていきたいですね。あと、今までの経験を、次の世代を育成することにいかしていきたい。自分がこれまで受けたたくさんの恩恵を、次の世代の人たちにつなぐことで恩返しができればいいと思います。

最後に、お茶大生にメッセージをお願いします。

女性同士のネットワークを大切にしてください。私自身もそうだけど、女性同士のつながりは、一生もの。これって女子の特権だったりしますよね。だから、クラスや研究室などでできた友達や先輩との時間は、大いに楽しんでください。将来にわたっても、きっと彼女たちが自分の人生を楽しくしてくれるはずです。

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