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先駆者として働きたい

2017年5月17日更新

秦野るり子
秦野 るり子さん
読売新聞社 東京外国語大学卒業。82年読売新聞社入社。読売新聞社女性初の特派員として、ワシントンへ。ジャカルタ、ローマ支局長などを歴任。
現在、調査研究本部主任研究員。米国テネシー州チャタヌガ市名誉市民。
著書に、「バチカン」(中央公論新社)。

なぜ記者という仕事を?

85年に男女雇用機会均等法ができたけれど、私が卒業した頃はまだなかった。
マスコミなら男女平等じゃないかなと思って、マスコミに決めました。特に読売新聞社は、その年、女性枠を設けてまで女性を採ろうとしていたので受けました。
子供の頃から映画に登場する戦争特派員に憧れていたこともあります。大した動機ではなかったけれど、今では自分に合っていたという気がしています。

入社してすぐに経済部に配属されたそうですが。

全国紙の場合、新人は地方支局に配属されて、記者の「いろは」を学ぶ。けれども、私の場合は最初から、霞が関の官庁の記者クラブに配属されました。周囲は5年以上先輩の男性記者ばかりだったので、必死に食らいついていったという記憶があります。また、当時は女性記者が珍しい時代で、個室を持つ局長を取材したら、局長が、慌てて個室の扉を開けに行くということもありました。女性記者と二人きりになることに慣れていなかったんでしょうね。(笑)

女性初の海外特派員として支局長も経験されています。

国際部に配属されたことは、大きな転機でした。自分がずっと行きたいと思っていた部署だったし、本当に良い経験をさせてもらいました。海外に出てみて分かったことなんですけど、自分の国の政治経済や文化を知っておくことは大切です。聞かれて答えられなければ相手にされません。その意味で、経済部にいたことは役に立った気がします。
また、ワシントン・ジャカルタ・ローマという歴史も文化も違う3カ国に赴任したことから、複合的に世界を見る眼が少しは培われたかなとも思う。海外に対する思い込みや常識が、違うことが多いこともわかった。

海外で印象的だった情景などはありますか?

89年の天安門事件では、取材してきた学生が目の前で弾圧されたり、イラク戦争後にバグダットで取材していた時には国連の現地本部が爆破されました。また、アフガニスタンのタリバン政権が崩壊した後、「あなたたちは自由に教育が受けられていいわ」と、同政権下で教育を受けることを禁じられていた女性に指摘されたとき、何気なく謳歌している自由の有り難さを教えられました。抑圧された人や戦争や紛争というものはやはり心に残ります。

秦野さんにとってのジャーナリズムとは?

基本は、「面白がる」ということ。あらゆることに興味を持って、怒る、泣く、感動すること。けれども、その感情をそのまま記事にしてしまうのは、プロじゃない。読者に押しつけてはいけないと思う。私がするのは、事実を集めて、これを示すこと。私と同じように感じるかは読者次第なのではないでしょうか。

これからのビジョンについてお聞かせください。

ずっと「書いていたい」ですね。記者は、書いたものが評価されてナンボの世界です。現場に出て、実際に人に会って、今までの経験を武器に、自分にしか書けないものを書ければうれしい。キャリアアップって、役職とか肩書きとかを指すのかもしれないけど、私にとってのキャリアアップは、「より良いものを書く」ということかと思う。

大学時代についてお聞きします。頑張ったことは何ですか?

アルバイトで稼いだお金で百万円貯めて、二年を終えた時に1年間、休学してニュージーランドを放浪していました。現地では、大学で授業を聴講したり、観光ガイドのお手伝いやホームステイをしていました。
東南アジアにもお金を貯めては行っていましたよ。おかげでどこでもサバイバルできるという自信がつきました。

今私たち学生がしておいた方が良いと思うことは?

いろんな分野の本をたくさん読むことではないでしょうか。特に古典は、何百年たっても廃れないというのはそれだけ力があるということだと思うし、社会人になると時間がなくなるからね。
それと、もちろん、新聞は毎日読みましょう。

最後にお茶大生にメッセージをお願いします。

特定の分野に決めている人以外は、何でも見て、聞いて、読んで、体験してみると良いと思う。また、自分がやりたいことを主張するのも大事。無理だと思っていることでも努力して背伸びしていればいつかは届くはずだし、門は叩きつづけていれば必ず開くと思う。
最初からあきらめないで、まずは行動してみよう。たとえ失敗したとしても、恐れて何もしないで後悔するよりはいい。前につんのめってしたことに挫折感はない。だから、好奇心と積極性をもって、大学生活を送ってください。

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