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理数系教員養成拠点構築事業
(CST養成コース)
◆講座紹介レポート
<1.CST理科教育法Ⅰ>

講座紹介レポート



A群

1日目のA群では、単元として「風やゴムのはたらき(小学校第三学年)」・「振り子の運動(小学校第五学年)」・「てこの規則性(小学校第六学年)」を扱います。これらは、エネルギー分野のうち学習の柱「エネルギーの見方」にあたります。それぞれの単元について、実習とグループディスカッションを通して、学習指導要領における位置付け・中学校への連結・生活との関わり・安全管理などに関して理解を深めます。そして、準備物・実施の際の留意点などにも具体的にふれ、CSTとして教員研修を実施する力を養成します。


「風やゴムのはたらき(小学校第三学年)」

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送風機の風力測定や、プロペラカー作成などの実習を通して、教員研修を実施する力の向上を図りました。それぞれの内容と印象について、受講者のコメントから紹介します。

  • 『送風機をスタンドの上に固定し、その下に電子ばかりを置いて、風の力をグラム数として量りました。電子ばかりの上には、数種類の大きさの工作用紙を置いて比較もしました。実習を通して、送風機の「弱」「中」「強」を数値化できること、研修を実施するときには教員に事前準備の大切さを伝えられる例であることを知りました。(狛江市立小学校の先生)』

  • cst1_A_02.jpg『単に質的にとらえるだけでなく、量的にとらえられることがわかり、生活科からの脱却もかねて展開できる単元であることを学べました。研修を実施するときには教員にいろいろな実験方法を考えさせることで、よりよい理科授業につなげてもらうことができると思いました。(羽村市立小学校の先生)』

  • 『工作用紙で車体を作り、市販のプロペラキットを使って、プロペラカーを作りました。同じ条件でも車体の設計によってかなり結果が違ってくることがわかり参考になりました。(小金井市立小学校の先生)』

  • cst1_A_03.jpg『まず自分の頭で考えて予想したことを、形にして、そしてそれがどういう風に動くかということを試行錯誤して実習しましたが、そのサイクルがどれだけ大事なことかということがよくわかりました。(ポスドク)』



「振り子の運動(小学校第五学年)」

振り子の運動の実習を通して、教員研修を実施する力の向上を図りました。内容と印象について、受講者のコメントから紹介します。

  • 『振り子の実験装置を設置するうえで、おもりのつけ方、糸の結び方、分度器のつけ方など、細かい点を工夫することで、実験の精度を上げられることがよく分かりました。また、そのことで、条件を変えたその後の実験もやりやすくなることが分かりました。(中野区立小学校の先生)』

  • cst1_A_04.jpg『大きい振れ幅40度50度だとばらつきが出てしまい、30度以下という適切な振れ幅があることを実際に体験することができました。(お茶大の大学院生)』

  • 『個々のデータを全体でグラフにして見るときに、対応するデータ同士の傾きという点に着目するやり方は、研修を実施するときにはとても役立つと思いました。(荒川区立小学校の先生)』

「てこの規則性(小学校第六学年)」

cst1_A_06.jpg目盛りのない板を用いた実習や、ゲームを取り入れた実習などを通して、教員研修を実施する力の向上を図りました。それぞれの内容と印象について、受講者のコメントから紹介します。

  • 『これまでは、てこを用いたダイナミックな導入をした後に、てこ実験機につなぐところをいつも悩んでいました。ここを埋めるための、木の板と目玉クリップだけでできる方法を教えていただいたので、研修を実施するときにもぜひ活用したいと思います。(品川区立小学校の先生)』

  • cst1_A_07.jpg『目盛りのない板に目玉クリップをつけていき、支点からの距離を測る実験は、手軽でしかも児童の学習意欲を損なわないので、とてもよい方法だと思いました。(あきる野市立小学校の先生)』

  • 『てこの規則を盛り込んだゲームのルールをグループごとに決め、問題を出し合い、勝ち負けを競いました。定着を図るためにゲーム形式をつかってやっていく手法は、すごく参考になりました。(品川区立小学校の先生)』

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B群

2日目のB群では、単元として主に「電流の働き(小学校第五学年)」・「電気の利用(小学校第六学年)」を扱います。これらは、エネルギー分野のうち学習の柱「エネルギーの変換と保存」・「エネルギー資源の有効利用」にあたります。


「電流の働き(小学校第五学年)」

cst1_B_010.jpg条件を細かく変えた電磁石の強さ測定や、コイルモーター作成などの実習を通して、教員研修を実施する力の向上を図りました。それぞれの内容と印象について、受講者のコメントから紹介します。

  • 『実際に電磁石を作る過程で、コイルの巻き数だけでなく巻き方やエナメル線の太さなどを変えて実習しました。どのような条件で電磁石の力が変わってしまうのかを深く勉強できました。さらに、電磁石の力を調べる際、単につけるだけでなくつなげたクリップの個数を数えたり重さをはかったりすることなどの方法を学べたので、非常によかったです。(墨田区立小学校の先生)』

  • 『いままでいろいろな研究授業で、電磁石の強さを調べるときのいろいろな実践を見てきましたが、今日の実習でデータのブレになるいろいろな要因がわかり、ベストな方法を得ることができてよかったです。研修を実施するときには、それらの理由を含めて説明していけたらと思います。(台東区立小学校の先生)』

  • 『エナメル線でコイルを作り、乾電池を使ってそれを回す実習をしました。非常によかったです。(墨田区立小学校の先生)』私は小学生の時には、キットを使ってしか電磁石やモーターを学んでいなかったのですが、実際にものをつくり動かす面白さを知ることができました。それと同時に、条件を統一して児童に実験してもらう難しさをも知ることができました。(お茶大の大学院生)』

 

「電気の利用(小学校第六学年)」

異なる回路でのニクロム線を用いた発熱や、地磁気を用いた発電などの実習を通して、教員研修を実施する力の向上を図りました。それぞれの内容と印象について、受講者のコメントから紹介します。

  • 『太さの異なるニクロム線を直列につなげた場合と、並列につなげた場合とで、発熱の違いをみる実験を行いました。電流計と電圧計を用い、ニクロム線に流れる電流、かかる電圧をそれぞれ測定しました。電流・電圧・抵抗・仕事量の関係が目に見えるようにわかりました。頭の中でもやもやしていた分野でしたが、実際に数値になって出てくるとわかりやすいので、この実験はとてもよかったです。(お茶大の大学院生)』

  • 『電流計電圧計を使って数値化することで、どちらがどのように熱くなるかがしっかりわかりました。児童にも他の教員にも、自信をもって教えられることだと思いました。(羽村市立小学校の先生)』

  • 『長い導線に電流計を組み込んだ回路を作り、長い導線部分を縄跳びの縄のように回して発電するという実験をしました。理科室でこぢんまりと実験をするのとは違い、地球全体に関わるダイナミックな実験で、教員向けの研修にも役立つと思いました。この実験にはいろいろな要素があるのですが、条件を「導線を回すふたりが東西に立って、北に向かって振り下ろすように回すとき、電流計の針がふれるのはプラス側?マイナス側?」と限定することで、グループごとの結果が揃い、原理につながる大事なところがわかりやすかったので、自分が実際にやる時もそのように指示をしてやりたいと思いました。(小平市立小学校の先生)』

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C群

3日目のC群では、単元として主に「空気と水の性質(小学校第四学年)」「金属、水、空気と温度(小学校第四学年)」「物の溶け方(小学校第五学年)」「水溶液の性質(小学校第六学年)」「燃焼の仕組み(小学校第六学年)」を扱います。


「空気と水の性質(小学校第四学年)」「金属、水、空気と温度(小学校第四学年)」

cst1_C_01.jpgポンポン船作成や、異なる金属針金を用いた熱伝導などの実習を通して、教員研修を実施する力の向上を図りました。それぞれの内容と印象について、受講者のコメントから紹介します。

  • 『30cmの銅パイプと1本のロウソクと発泡トレーを使って、ポンポン船工作の実習をしました。他の教員へ研修を実施するときには、参加者に原理を考えながらやってもらうことで、4年生の学習内容の理解を深めることができると思いました。(国立市立小学校の先生)』

  • 『銅と鉄とアルミそれぞれの針金に、ロウソクを輪切りにしたものを通し、熱の伝わり方を調べる実習をしました。自分たちが楽しんで出来たということから、他の先生にも実際にやってもらうことで同じように理解を深めてもらえるということに気付き、有意義でした。研修を実施するときには、わかりやすい方法を参加者たちで考え工夫してもらうことも、やっていきたいと思います。(台東区立小学校の先生)』

 

 

「水溶液の性質(小学校第六学年)」

濃塩酸の希釈や水酸化ナトリウム水溶液の調製、重曹を用いた中和処理の実習を通して、教員研修を実施する力の向上を図りました。内容と印象について、受講者のコメントから紹介します。

  • cst1_C_02.jpg『分注して残った濃塩酸で全廃液を酸性にし、重曹を少しずつ加えて中和する方法を実習しました。自分の所属する学校には支援員が多く、塩酸などの調整はぜんぶやってくれますが、楽をしていた先生が他校へ異動したときに困るだろうなと思っていました。ですので、今日のような調整の仕方や中和の仕方を研修でやりたいと思いました。(町田市立小学校の先生)』

  • 『手順を明確にすることによって洗い物を減らせるという部分もありましたので、教員の負担を軽減する意味でも勉強になりました。(中野区立小学校の先生)』

  • 『わりと慣れ親しんだ作業なだけに安全への配慮というところをうっかり忘れがちですが、そういうところも喚起していただけました。(ポスドク)』

「燃焼の仕組み(小学校第六学年)」

制御下でアルコールを爆発させる実習を通して、教員研修を実施する力の向上を図りました。内容と印象について、受講者のコメントから紹介します。

  • cst1_C_03.jpg『空き缶にスプレーでアルコールをごく少量入れ紙コップでフタをし、空き缶の側面に開けた穴から点火する実習をしました。教員研修の際にアルコールランプの正しい使い方と危険性を伝えるところでは非常に有用だと思い、使っていきたいと思いました。(北区立小学校の先生)』

  • 『大変インパクトのある実験だったので、つい楽しいと思ってしまいそうなのですが、楽しいというイメージを持たせるのではなく、危険性を伝えるという意味で効果的に実施したいと思いました。(中野区立小学校の先生)』

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