責任者の表記

理数系教員養成拠点構築事業
(CST養成コース)
◆平成23年度CST研修活動

 

文京区におけるCST研修

2011年6月2日(火曜)、文京区立千駄木小学校で行われたCST教員研修を視察に伺いました。千駄木小学校は2009年度に創立100周年を迎えた、たいへん歴史のある小学校です。

本日の担当は、平成21年度に養成コースを受講された川浦CST教員です。昨年も研修を行っていただいた先生です。

 

本日の研修

参加者は文京区内の小学校教員18名です。全体の3分の2程度が若手の先生のようです。昨年度のCST研修の参加者は理科部会の部員が中心でしたたが、今年度は理科部会に関係なく、各校の理科主任の先生を中心に参加されているようです。

最初に千駄木小学校の齋藤純校長先生が挨拶されました。齋藤先生は今年度からの赴任です。文京区教育委員会から視察に来られている氣田指導主事も今年度からCST事業をご担当されています。

いよいよ教員研修が始まりました本日の内容は、①実体顕微鏡を用いた観察、②顕微鏡を用いた観察、③ガスコンロを用いた対流実験、の3本立てです。

まず最初に、「実態顕微鏡を用いた観察の実技研修」です。ダンゴムシの脚の関節の具合を見てみたり、チョウの羽を観察したり。ツルグレン装置で採取した虫の観察は、お茶の水女子大学のCST養成コースで紹介したコンテンツですが、そのことを丁寧に紹介してくださいました。また、川浦先生が考案されたコンテンツであるシリコンゴムシートを用いた観察方法も紹介されました。

つぎに、「顕微鏡を用いた観察」です。ここでは、SUMP法(スンプ法)を用いた観察法を紹介して頂きました。SUMP法は、試料そのものを観察するのではなく、試料の形をプラスチック板に写し取り、そのプラスチック板を顕微鏡観察する、という方法です。なんだか難しいようですが方法は簡単で、プラスチック板に溶剤をたらし、溶剤が乾かないうちにプラスチック板を観察したいものに押しつけます。例えば葉の表面であれば、葉に押しつけるわけです。その状態で1分ほど待てば、できあがりです。とても簡単な方法ですが、葉の気孔などを実に綺麗に観察することができます。

さいごに、「ガスコンロを用いた対流実験」です。対流を分かりやすく見せるのはなかなか工夫を要しますが、ここでは、サーモインクを用いた方法と、アルミ粉末を用いた方法が紹介されました。アルミ粉末を水に加え、さらに液体洗剤を少し加えると綺麗な対流が観察できます。ガスコンロはアルコールランプに比べて火力が強いうえ、ランニングコスト面、安全性などでアルコールランプよりも有利な点があることを紹介されました。

本日のCST研修はこれでお終いです。平成23年度はCST研修会を3回行う予定で、次回は11月に実施予定です。

 

川浦先生、どうもありがとうございました!

 

 

品川区におけるCST研修

2011年6月9日(木曜)、品川区の伊藤小学校で開催されたCST研修を視察に伺いました。伊藤小学校は、品川区の西の端に位置し、校舎からの見晴らしがよく緑豊かな環境に恵まれた学校です。

 

本日の研修

今回は、「理科実験実技研修会」として、伊藤小学校の渡邊先生が担当されました。渡邉先生は平成22年度のCST養成コースを受講され、認定を受けたCST教員です。品川区内の小学校(全38校)に、理科が苦手な方の自主参加を呼びかけた結果、若手教員を中心に24名が参加しました。

品川区は小中一貫特区なので、色々な取り組みが他の区市町とは違い、各小学校は中学校と1対1、または1対2でペアを組み、教員研修などを行っています。伊藤小学校は東海中学校と小中一貫教育連携校としてペアを組んでおり、当日は、伊藤小学校の福田昌弘校長先生、東海中学校の細越政道校長先生も参加されました。他に、中学校理科教員が2名加わり、重要なサポートをされていました。

最初に、品川区教育センターの方から全体の流れの説明があり、区教委の水浦指導主事、福田校長先生、垣内の挨拶に続き、各テーブルごとの自己紹介が始まりました。水浦指導主事も平成21年度にCST養成コースを受講されたCST認定教員です。

「水の通り道」では、セロリと食紅を使いました。茎を2つに裂き、赤の着色料を溶かした液と青の着色料を溶かした液につけ、しばらく静置して水の吸い上げを待ちます。

「アルコールランプの使用法」では、まず、コーヒー缶を用いたアルコール爆発の実験をしてから、アルコールランプへの点火や消火の方法を実習しました。マッチの擦り方についての実習の際には、近年よく使われるようになったカセットコンロも紹介されていましたが、こういうのに頼るのではなく、マッチでちゃんと点火できる方法を学ばせるように、と指摘されていました。若手の先生のなかにはマッチが苦手な方も増えているということですから、これはとても良いことだと思います。

「顕微鏡の使い方」では、ケースの持ち運び方から設置の仕方、紙製のプレパラートについても紹介されました。それから校庭に出て、花壇の花から花粉を採取しプレパラートを作成して観察。「水の通り道」でセットしてあったセロリも薄くスライスして切片を作成します。輪切りにしたり、縦に切ったりして構造も観察しました。

「光合成の実験」では、小松菜を使用して実験。この小松菜は、研修が始まる2時間前から渡邊先生がセッティングしていた、植物育成ランプを用いた実験セットで光合成させたものです。これを、チャック付きの袋を使って葉緑素のアルコール煮出しを行い、トレイに上げてヨウ素でんぷん反応を調べました。

研修の最後に、中学校理科教員の牧野先生が、全体を通しての要点やコツなどを解説されました。これは非常に参考になる良いレクチャーでした。

なお、品川区には理科支援員がいないため、理科室などは先生方が自ら整備・管理しています。また、小中一貫特区の特性から、特区独自の学習指導要領があるため、品川区特有の学習指導要領にあわせた副読本も作成して使われていました。特区ならではの工夫を加えながら、理科を楽しく、分かりやすく教えるためのポイントが満載のCST研修でした。

 

渡邊先生、どうもありがとうございました。