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理科実験支援事業
【平成21年度 小学3年 蚕授業報告】

理科好きの子供たちが増えることを願って 
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小学校3年 滝野川第二小学校 こん虫のからだのつくり  90分×3クラス

 

蚕を使って昆虫の授業を行いました。授業のテーマは次の2つです。

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授業の最初は昆虫の一生について復習します。昆虫には、さなぎにならずに成虫になる「不完全変態(たまご→幼虫→成虫)」タイプとさなぎを経由して成虫になる「完全変態(たまご→幼虫→さなぎ→成虫)」タイプの2種類があります。トンボ(不完全変態)とチョウ(完全変態)を例に出しながら、先生が子どもたちに説明します。

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つづいて、今回の授業の主役「蚕」が登場します。といっても、最初に子どもに配られたのは「たまご」。大きさは1mmくらいの小さくて白くて丸く物体です。

もっとよく見るために、子どもたちに双眼実体顕微鏡(倍率10倍)が配られます。覗いてみてびっくり、何とたまごにはギザギザの穴が開いています。そう、それは幼虫がたまごから出てくる時に、口で噛んで開けた穴なのです。子どもたちが観察していたのは、正確に言うと、「たまご」ではなくて「たまごの殻」だったのです。

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たまご観察が終わったところで、次に配られたのが幼虫です。まだ、2齢の小さな幼虫なので、肉眼ではあまりよく見ることができません。そこで、顕微鏡で観察しました。脚の数や、節があること、模様があることなどを子どもたちはしっかりと観察していました。

 

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その次に配られたものは、さなぎです。蚕の場合、繭(まゆ)を作って、その中でさなぎになります。子どもたちは、においをかいだり、手触りを確かめたり、顕微鏡で観察しながら、その状態を記録用紙に書いていきます。

 

本当は、この次は蚕の成虫(カイコガ)を登場させたいところですが、授業の時点では幼虫しかいなかったため、今回は断念しました。しかし、その代わりに学校で蚕を成虫になるまで育てることにしたのです。

たまご、幼虫、さなぎと蚕の一生を順に追いかけるという流れで、授業の前半部分は終了。

 

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続いて、蚕と人間社会のつながりを知る、後半部分に突入です。各班に1つずつ、お湯でゆでた繭(まゆ)が配られると、先生から糸を取りだすように指示が与えられます。最初は、どうすればいいのかわからずに戸惑っていた子どもたちでしたが、コツをつかむと、繭からどんどんと長い糸を取りだせるようになってきました。最後には教室の端から端まで10mほどの糸を作れた班もありました。

 

繭から長い糸が取れることを、体験を通して学んだ子どもたちに、大学の講師から「蚕は糸を作るために飼われている昆虫です。今の日本では、ほとんど見なくなったけれど、みんなのおじいちゃんやおばあちゃんが子どもの頃は、多くの家で蚕を飼っていました。」と説明がありました。その後に、絹糸や、絹の布が各班に配られて「蚕の糸からできたものだ」という説明をうけるとびっくりしていました。

後日、担任の先生から子どもたちが授業後に飼っていた幼虫が大きくなり、無事に成虫になったという報告を受けました。今回の授業がきっかけで、昆虫の面白さを知った子供もおり、とても有意義な授業となりました。

 

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