理科好きの子供たちが増えることを願って |
(注 3年生「こん虫をしらべよう」の授業もおおむね同じ展開です。ただし4年生は、脚、口、目などの部位の機能に注目するのに対して、3年生は、大まかな体の構造(頭・胸・腹の3部位)に注目する点が異なります。
事前打ち合わせでは、できるだけ多くの昆虫を実体顕微鏡で観察しようということになりました。死んだ昆虫と生きた昆虫の両方を用意しました。
死んだ昆虫は、王子小の観察用のチョウ、トンボなどを使用しました。死んだ昆虫は動かないため、観察しやすいのがメリットです。
生きた昆虫は、授業当日の早朝に、お茶大講師が採取したものを使用しました。生きた昆虫のメリットは、昆虫の動きのダイナミックさを感じることができる点です。
授業の前半は、死んだ昆虫の観察です。観察は、肉眼と実体顕微鏡の2つで行います。実体顕微鏡は10~20倍の世界です。顕微鏡をのぞく前は、肉眼と大差ないと思っていた子供たちは、顕微鏡を覗いてみてびっくり。肉眼では見ることができない、チョウの羽の燐粉の美しさや、トンボの翅の模様の繊細さ、昆虫の顔の迫力に感動したり、怖がったりしていました。死んだ昆虫の観察が終わったら、いよいよ生きた昆虫の観察です。5cm角サイズの小さなジップロックに入ったアリ、カ、ハエ、ハチ、チョウ、ツマグロヨコバイ(バナナムシと子供たちは呼びます)などの昆虫を実体顕微鏡で観察し始めると、教室のあちらこちらから、「うぉ~」とか「キャー」とか「すごい」といった元気な声が聞こえてきました。実体顕微鏡の世界で見る昆虫は、怪獣のような迫力です。
子どもたちは、実体顕微鏡を使って、昆虫の様子を観察し、クラス全体で発表しました。口の形が昆虫によって大きく異なることに気がついた子供もいました。花の蜜を吸う、チョウはクルクルと丸まったストローの形、血を吸う蚊はまっすぐなストロー、色々な食べ物を噛むアリはハサミのような形。他にも、ハエの眼が頭のほとんどを覆っていることや、ハチの体から毛が生えていることに気付いた子供もいました。
そして最後は、電子顕微鏡の登場です。プロジェクターでスクリーンに写されたハエの様子を、クラス全体で観察しました。
複眼の様子が、25倍から徐々に拡大されてくると、その規則正しい並び方と複眼の数の多さに多くの子どもたちはびっくりしていました。
また、脚の観察では、トゲや毛が数多く生えていることに驚いていました。
子どもにとっては、顕微鏡という道具を使って観察することで、肉眼ではわからなかった昆虫の新たな発見が数多くあり、充実した授業になりました。