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ペルシア語 فارسی

2023年4月7日更新

ペルシア語の世界へようこそ

お茶の水女子大学で学ぶことができるペルシア語は、現在のイラン(イラン・イスラーム共和国)の公用語であるファールスィー(فارسى)です。しかし、パシュトゥ語とともにアフガニスタンの公用語であるダリー語(درى 文字はファールスィーと同じアラビア文字)、タジキスタンの公用語で、ウズベキスタンでもタジク人の母語として話されているタジク語(تاجيكى 文字はキリル文字)も、同系の言語としてファールスィーと密接な関係・共通性を持ち、これらの言語を総じて「ペルシア語」ととらえることもあります(つまり、ファールスィーを学ぶことは、さらにダリー語やタジク語を学ぶ入り口にもなります)。

テヘランの映画博物館
テヘランの映画博物館

 このようなペルシア語系言語の広がりの背景には、ペルシア語が持つ長い歴史があります。インド・ヨーロッパ語族インド・イラン語派イラン諸語に属するペルシア語の歴史は、アケメネス朝ペルシア帝国(前550年~前330年)の王碑に刻まれた古代ペルシア語(文字は古代西アジアで広く用いられた楔形文字)に遡ります。サーサーン朝時代(226~651年)には、中世ペルシア語(文字は古代西アジアの国際共通語アラム語のアラム文字から作られたパフラヴィー文字)が公用語、ゾロアスター教教典の言語として用いられ、大きな役割を帯びてきました。そして7世紀、イラン高原のペルシア語世界がアラブ・イスラーム勢力に征服され、イスラームが主要な宗教として浸透していくなか、9世紀ごろから登場したアラビア文字表記のペルシア語が、現在のペルシア語、近世ペルシア語です。近世ペルシア語は、イラン高原のみならず、トルコ語文語発展以前のアナトリア(現在のトルコ)、中央アジア、南アジアなどユーラシア・イスラーム文化圏の広大な領域の行政、文学の言語として、広く用いられました。前近代の中央アジア・南アジアでは、長い間、公文書や法文書、文学作品・歴史書などを書くための主な言語はペルシア語であり、これらの地域の歴史や伝統文化・文学について知るためには、実はペルシア語の知識が不可欠なのです。フェルドゥースィーの『王書(シャーナーメ)』やサアディーの『薔薇園(ゴレスターン)』、ハーフェズの叙情詩(ガザル)、日本語にも翻訳されているペルシア語の古典文学の名作は、広い地域で愛誦されてきました。現代のトルコ語をはじめとする中東〜中央アジアのトルコ語系言語、パキスタンの公用語ウルドゥー語にもペルシア語は影響を与えており(またペルシア語も、アラビア語やトルコ語の影響を受けています)、これらの言語に関心がある人は、いっしょにペルシア語を学んでおくと、さまざまな発見があるでしょう。現代のイラン、アフガニスタン、タジキスタンで使われている言葉というだけでなく、広くユーラシア・イスラーム圏の歴史や文化を知ろうとするとき、重要な鍵となるといってよい言葉、それがペルシア語なのです。

アラビア文字
ダーロル・フォヌーン跡のアラビア文字

 さて、そのペルシア語、お茶の水女子大学で学ぶイランのファールスィーですが、文法的には驚くほど簡潔で学びやすい言葉です。日本語と同じSOV型(主語・目的語・動詞の語順)で、例えば「これは本です」は「イーン(これ)・ケターブ(本)・アスト(です=be動詞3人称単数現在形)」、「私はイランへ行きました」は「マン(私は)・ベ・イーラーン(イランへ)・ラフタム(行きました=1人称単数過去形)」と、語順の感覚が似ているところもあります。また、インド・ヨーロッパ語族に属するため、大学で学ぶ人が多いヨーロッパ諸言語ともつながりがあります。「お母さん」はマーダル、「お父さん」はペダル、「兄弟」はバラーダル、「娘、少女」はドフタル。おや、英語やスペイン語、イタリア語などと似ている、と思いませんか?英語でよく知っている身近な言葉、ジャングル(「森」、ジャンギャル)カーキ色(「土」、ハークの形容詞、ハーキー「土色の」)が、実はペルシア語、ということもあったりします。シンプルで覚えやすい言葉でありつつ、様々な言語とつながりを持ち、言語文化の広がりの面白さに気づかせてくれるのも、ペルシア語を学ぶ楽しさです。

古都アルダビールの伝統的なバーザール(市場)
古都アルダビールのバーザール(市場)

 お茶の水女子大学の授業では、ファールスィーの文字と基礎文法をしっかりと学びつつ、初歩の文法知識で読むことができるペルシア詩やことわざ、有名なイラン映画やインターネットニュースまで、古典から現代までのさまざまなペルシア語世界を探究していきたいと思います。

ペルシア語 料理

ペルシア語に触れるおすすめサイト

 現在、ペルシア語に触れる・見る・聴く機会はネットでいくらでも見つけることができます。ここでは、ペルシア語への関心を深める探究の入り口となるオンライン・リソースを紹介しましょう。

オンラインでアクセスできるペルシア語教材

東京外国語大学言語モジュール ペルシア語

 http://www.coelang.tufs.ac.jp/mt/fa/

東京外国語大学ペルシア語専攻が作成したオンライン・ペルシア語教材。ビデオと音声・テキスト教材で日常会話表現を聞く・読む・書く練習が可能です。授業では基礎文法を中心に学んでいくことになりますので、ペルシア語会話に関心がある人は、とても良い教材です。

Persian Language Online

 https://www.persianlanguageonline.com/

2012年設立の英国のペルシア語教育推進組織Persian Language Foundationが公開している英語によるペルシア語学習サイトです。授業で基本文法を学んだのち、さらに練習を重ねていくのに適したさまざまなレベルの教材があります。

最初のAlphabetは、第1〜3回で学ぶ文字と発音、基本の単語の復習・練習に役立つでしょう。

https://persianlanguageonline.com/alphabet/

ペルシア語の古典・現代文に触れる

ペルシア語文学データベースGanjoor

https://ganjoor.net/

  古典〜近代の主な詩人の作品が閲覧できるペルシア語文学データベース。オマル・ハイヤームの『ルバイヤート(四行詩集)』https://ganjoor.net/khayyamなど、有名な作品は朗読も聴くことができます。

イラン教育省・教育出版局教科書頒布サイト http://www.chap.sch.ir/

 イランの小学校〜高校の教科書が全科目すべてPDFでダウンロード可能です。ペルシア語サイトですが、イランではどのような教科書で学んでいるのか?関心がある人はぜひ訪れてみてください(閲覧方法を知りたい人は、教師に訊いてください)。

ペルシア語を聴く

NHKペルシア語放送

https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/fa/

 NHKのペルシア語ニュースです。ペルシア語による日本文化の紹介なども聴くことができます。

BBC Persian

https://www.bbc.com/persian

 英国BBCのペルシア語チャンネル。日々のニュースとともに、文化や芸術に関する番組も豊富です。

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