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2018年8月20日更新
お茶の水女子大学では、国内外でリーダーシップを発揮できる人材を育成することをめざし、その一環として連続講演会「リーダーシップ論」を2009年より開催してきました。10年目を迎える本年は、「少子高齢社会における女性リーダーとリベラルアーツ」をテーマに、基調講演とパネルディスカッションという特別企画で最終回を開催しました。
第一部の基調講演では、白波瀬佐和子氏(東京大学教授、同大学副学長)が、人口構造の変化、女性リーダーの不足、男女間の賃金格差など、国際比較から見た、日本の女性が置かれた現状を、豊富なデータに基づき、多角的、かつ包括的に明らかにしてくださいました。また、多様な価値を生み、その価値を承認する「人間力」を育むリベラルアーツとリーダーシップの関わりについてお話くださいました。
第二部では、これまでの「リーダーシップ論」の講師三名による報告とディスカッションを行いました。シカゴ大学グラハムスクールの教育方針を紹介しながら、リベアルアーツ教育がグローバルなリーダーシップの育成に不可欠であることを説かれた山口一男氏(シカゴ大学ラルフ・ルイス記念特別社会学教授、同大学グラハムスクール理事、経済産業研究所客員研究員)、1975年エベレスト日本女子登山隊に参加した経験に基づいてリーダーシップ論とリベラルアーツ論を展開された北村節子氏(元読売新聞主席研究員、高エネルギー加速器研究機構監事)、働く女性たちのリアルな声から浮かび上がるリーダーへの道についてお話くださった野村浩子氏(ジャーナリスト、淑徳大学教授)、と各パネリストならではのご報告を伺いました。
ディスカッションでは、白波瀬氏にも加わっていただき、リーダーシップの特性とジェンダーの関係、アンコンシャス・バイアスとその克服、ダイバーシティ推進のために大学が果たす機能など、様々な話題が討議されました。
来場者からは、「女性の社会進出にリベラルアーツがいかに重要かよくわかりました。」、「4人の先生それぞれが大変示唆に富んだ説得力のある話で、言葉全てが身体の中に素直に入っていく感じを持ちました。」、「情報量が多く、Rich Intellectualな時間を過ごせました」、「今、日本の社会を動かしていると思い込んでいるであろう自称『リーダー』と、今日語られたリーダー像とが、かなりかけ離れていると思いました。これを変えていくには、やはり女性のグローバルリーダーを増やしていくことが大事だと思います。」といったご感想が寄せられました。
(文責 企画・運営担当所員 谷口幸代)