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第13回グローバルリーダーシップ研究所オンラインセミナー 「DX時代における女性リーダーの働き方」開催報告

2021年11月12日更新

志済氏セミナー資料トップ

2021年10月29日(金)16:40より第13回グローバルリーダーシップ研究所オンラインセミナーを開催しました。講演者は志済聡子氏(中外製薬株式会社 執行役員デジタル・IT統轄部門長)であり、「DX時代における女性リーダーの働き方」のタイトルでお話しいただきました。

志済氏は、北海道大学 法学部を卒業後、日本アイ・ビー・エム株式会社に入社され、セールスとしてキャリアを積み、営業部長、事業部長を経て2008年IBMコーポレーション(NY)出向されました。帰国後には執行役員として官公庁担当営業部門、セキュリティ事業部門等の責任者を歴任され、2019年5月に中外製薬株式会社に転職されました。現在は、IT担当部門に加え、全社のDXを推進する専門組織を率いていらっしゃいます。社外活動として、北海道大学新渡戸カレッジフェローとしてグローバル人材の育成に携わり、内閣サイバーセキュリティ戦略本部専門調査会委員を務められるなど、幅広く活躍されています。

グローバルリーダーシップ研究所 副研究所長の本林響子准教授による開催挨拶の後、志済氏には「1.私のキャリア」、「2.デジタルトランスフォーメーション(DX)とは」、「3.中外製薬のDX戦略」の3部構成で講演いただきました。

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「1.私のキャリア」では、大学時代にESS(English Speaking Society)に所属して英語を使った表現力やコミュニケーション力などを学んだこと、スピーチコンテストで優勝し初めて交換留学したこと、これらの経験が卒業後の仕事選びや入社後の仕事(英語にかかわる仕事や海外勤務など)につながった、など大学時代の学びや経験がその後の社会人生活に大きく影響したとお話いただきました。志済氏は大学卒業後の自身のキャリアについて、20歳代は仕事ができない自分と闘いつつ結婚・出産・休職による人生の転機を迎え、30歳代は大型案件に携わり成果を上げつつ子育てを通じて人間としても大きく成長し、40歳代以降は管理職としてリーダーシップを発揮しつつ部下や組織全体の育成に注力した、と振り返り、これまでの経験を活かしつつ50歳代に入り新たな世界に飛び込んだ、と紹介されました。

このような経験をもとに、志済氏はビジネスパーソンとして成功するためには、経営の一部を担い会社の経営資源である部下をいかに幸福に成長させるかを考える「マネージャー」を経験することが重要であると説明され、経営に携わるリーダーには「専門力(スキル=(知識+経験)×応用力)」・「人間力(挑戦力、課題発見・解決力など)」・「社会力(リベラル・アーツ)」の3つのスキルと事実に基づく理論的思考を英語で的確に伝える力を身に着ける必要があるとお話しされました。また、「グローバルな環境で働く」ためにはグローバル・コミュニティにおいて正しく効果的にコミュニケーションする、目標達成に向けたコミットメント、チームリーダーシップの3点が大切であることも示されました。

「2.デジタルトランスフォーメーション(DX)とは」では、いくつかの事例を挙げながらこれまで夢や理想でしかなかったコトやモノが現代におけるデジタル技術によりいくつも実現されており、30年後には今とは全く新たな生活様式となる、との話から始まりました。「デジタルトランスフォーメーション(DX)」には、様々な技術を用いて既存事業のビジネスモデルを変革することで新規事業を創出する「ビジネスのトランスフォーメーション」、業務の生産性や付加価値を向上させる「業務のトランスフォーメーション」、ビジネスや業務を変革するために人や組織を強化して企業文化を変革する「企業文化のトランスフォーメーション」があり、現在これらが戦略的に行われていることを図表で示しつつ説明いただきました。

最後に現在志済氏が携わる「3.中外製薬のDX戦略」についてお話しいただきました。これまでの創薬開発はアイデア着想から実際に販売されるまでに10~15年の時間と莫大な費用を必要としていましたが、新薬創出にAIを活用し、DXを実践することで期間短縮、費用削減、成功確率の向上を実現したとの説明がなされ、デジタル技術を活用した創薬が必然となり、これまでの産業構造の枠を超えた動きが加速している様子をうかがい知ることができました。

  • 本林先生
  • 内藤先生

講演終了後には、多様な質問・感想が途切れることなく寄せられ、大いに盛り上がりました。講演会終了後のアンケートでは「非常に良かった」との感想が大半を占め、「女性リーダーとしてのありかた、外資系での働きかた、ご自身のご経験からの仕事と家事育児の両立のしかた、などお話が多岐にわたり、とても興味深く勉強になるご講演でした。拝聴できましてほんとうによかったです。」、「新薬開発やヘルスケアなどにおいてDXの期待が高い業界であることを、具体的な取り組みも含めてご紹介いただき、医療分野でDXがすすむことへの期待感が高まりました。」などの感想をいただきました。

このたびの講演会はオンライン会議ツールZoom Webinarを用いてのオンライン開催となりましたが、本学学生・教職員、高校生、一般を含め65名にご参加いただきました。セミナーにご参加いただきました皆様に心よりお礼を申し上げます。

講演者である志済氏には、大学時代の学びや経験が「働くこと」や「働き方」を考えるきっかけとなること、仕事と家庭における試練やチャンスなどを通じて人間性を育み、「人」や「組織」を育てることで様々な関係性が構築されること、管理職としてこれまでに育んだ人間性と多様な経験を生かすことで活躍できること、そしてDXを実践することで新たな世界を切り開くことができること、などDX時代における女性リーダーのキャリアモデルを提示していただきました。また、ソリューションを創出し、新たな時代を切り開くためにDXは不可欠であり、それを実現するためには、経営トップのコミットメントと多様なタレント・プレイヤーの力を融合することがカギとなることを学ぶことができました。
このセミナーをきっかけに、これまでの経験が自分自身や組織を育てていることに気づき、次なるキャリアを考え行動する力につなげる人が増え、各分野で変革をもたらすDXが実践されることを心から期待しています。

文責 内藤 章江(グローバルリーダーシップ研究所 特任講師、セミナー司会)

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