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2026年8月5日更新
*所属は研究助成を行った当時のものです。
食べられるにもかかわらず廃棄されているものの中に、きのこ類の石づきや柄、規格外のものがあげられる。えのきたけは、廃棄される石づき部分をステーキ様に焼くことで再利用される取り組みがなされている。生しいたけは、規格外のしいたけと全体の5%程度廃棄される柄について、過熱蒸煎機によってパウダー化することで、低コストでの加工を実現している会社がある。このように廃棄する部分を適切に加工することにより付加価値のついた食品の開発につながると考えられる。
一方、日本の子どもの7人に1人が貧困状態にあることから、近年、子ども食堂での食事が増えてきている。子ども食堂は、子どもの成長に必要な栄養を補う場であると同時に、子どもたちが人と関わり、食を通じた楽しみや安心感、コミュニケーションを経験していく「育ちの場所」としても大切な役割を担っている。環境に配慮した食品、特定の品質特徴をもった食品が、次世代を担う子どもたちの「育ち」にどのように貢献できるかは重要である。
本研究では、1)きのこ類の廃棄部分の加熱調理により付加価値のついた食品の開発のための基礎研究として、ゼリー素材の抽出に取り組み、2)テクスチャーに特徴のあるゼリー類がどの程度子どもに受容されるかを確認するための、子ども対象の新しい官能評価法の開発を行うことを目的とした。

1) きのこからのゼリー素材の抽出
所属研究室の先行研究において、食用きのこのハナビラタケについて、水をともにブレンダーで攪拌して得たピューレを加熱することにより、ゼリー素材が抽出されることを既に確認している。これは新規の成分によるゼリー素材であるため、新食感が予想され、付加価値のついた食品を開発できる可能性が高い。

ゼリー素材のうち、冷やすことで固まり、熱すると融解する素材は限られており、一般に知られているものは寒天とゼラチンのみである。寒天は海藻由来、ゼラチンは動物由来であり、きのこ由来のゼリー素材は、所属研究室で研究発表している以外にはまだ知られていない。冷やして固まるゲルは、デザートゼリーだけでなく、ムースなど、最近では介護食において均一に固まったゲル状食品の需要が高まっており、様々な用途が考えられる。
本研究では、圧力鍋を用いた抽出法によって、先行研究よりもゼリー素材の抽出効率が大幅に改善した。本研究で得られたゼリー素材を用いてショ糖を添加したゼリーを作成し試食したところ、口腔内で融けたため寒天とは異なる食感であった。今後ゼリー素材の添加濃度やショ糖の添加濃度を変えたゼリーを作成し、さらに食感の特徴づけを行う予定である。
2) 子ども対象の非言語官能評価手法の開発のための予備調査
子どもにとって好ましいゼリー素材の品質特性を把握するため、絵文字を使った質問紙調査の有効性について調査を行った。小学校高学年の子ども100名を対象に、市販のゼリー類を試食せず、画像のみを用いて好ましさを絵文字で回答する調査を予備的に実施した。
絵文字などの非言語情報を用いた受容性評価手法を構築することで、今後開発される環境配慮商品や各種代替食品の品質目標を明確にすることができるだけでなく、言語表現が難しい子どもや外国人(難民を含む)の嗜好や食に関わる情動の理解が進み、相互理解やパートナーシップの推進に繋げることができる。また、非言語情報を用いた情動の表現方法が広がることで、子どもたちが自分自身や互いの気持ちを理解する可能性を広げることができ、情操教育にも繋がると考える。
【SDGs推進事務局より】
本研究は、新田陽子先生ならびに笠松千夏先生、山下郁美先生の共同研究です。
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令和5年度 SDGs研究助成 成果報告会ポスター(PDF形式 635キロバイト)
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