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2026年7月13日更新
[目的]
緑藻マリモは、環境省レッドリストでは絶滅危惧I類に指定され、そのうち阿寒湖のマリモは国の特別天然記念物に指定されている。しかし、阿寒湖の⼀部調査地点で、⼤型球状マリモの激減が確認され、⼤型球状マリモを復活させ保全するために、⼤型球状マリモを復活させ保全するために、⼤型球状マリモの増殖と、⼤型球状マリモ形成プロセスの解明が急務である。また、科学探究活動や SDGs活動は⼤学や⾼校SSHなどで進められているが、「やらされている」感も強く、探究活動に意欲的な⽣徒を増やし、SDGsを⾃分ごととして捉えてもらうために⼩中学⽣の頃からの探究意欲の向上が求められている。
そこで本研究では、まず、阿寒湖の⼤型球状マリモに関して、A: 胞⼦形成を⼈⼯誘導できないか、B: どれほど「回転」が⽣存に重要なのか、を解析した。次に、連続的でスムーズな科学研究教育システムの構築を⽬指し、お茶⼤附属⼩学校⾼学年への「ワークシートを使⽤して、仮説を⽴てて検証する」マリモ実習で、⼩学⽣でも探求意欲が向上するのか、事前・事後アンケート等により調査した。

図1 本研究課題
[⽅法・結果]
1 保全研究
A: 胞⼦形成の⼈⼯誘導
⾃然界の⽔温および光量を模した環境で⽷状体を栽培し、実験室内で胞⼦形成を⼈⼯誘導できないか調査した。阿寒湖から採集した球状マリモを、まず4ヶ⽉間、4度_暗所で保存し(冬)、その後、1ヶ⽉間、10度_250 PPFDで栽培し(春)、その後、1ヶ⽉間、30度_800 PPFD(夏)で栽培し、胞⼦形成を確認した。その結果、いくつかの細胞で、胞⼦の形成が確認できた(図2)。

図2 胞⼦形成細胞
B: 光阻害
どれほど光阻害があり、どれほど「回転」が⽣存に重要なのかを明らかにするため、光量、⽔温、光照射⽇を変えてマリモを栽培し、Imaging-PAMでの光合成活性を測定した。その結果、光量が⼤きいほど光合成活性は減少し(図3左)、⽔温の違いは影響ないことが⽰された(図3右)。光照射⽇は、1⽇照射で光合成活性は減少し、照射を辞めると1⽇で回復した(図4左)。1週間や25⽇間の照射では(図4中央、右)、回復に時間がかかった。
2 附属⼩学校児童へのマリモ実習の効果検証
附属⼩学校の児童14名、保護者14名の合計28名に、マリモに関する90分の実習を⾏い、⼼理測定尺度集を考慮した質問項⽬による事前・事後に質問紙調査を実施し、さらに、講座終了後、参加した保護者を対象にオンラインで質問紙調査をおこなった。その結果、例えば「将来、理科や科学に関する仕事をしたい」という質問では、実習の前後で肯定回答が 54%から77%に向上した。また、「好きなことをもっと知りたい、もっと調べてみたい」が事後で 100%になり、探究したいという思いにつながったと推察できる。さらに、「講座での驚き・感動を家族や友⼈に伝えたいと感じていた」という児童が多く、講座で芽⽣えた興味・関⼼がその場限りにならず⾃宅に帰ってもそこから⾃分の興味も広がり、家族や友⼈との話題にもなることが⽰された。⼀度きりの短時間イベントでも、科学への興味や探究⼼の向上に繋げることができると考えられる。
[今後の課題]
一昨度は、お茶⾼⽣との紅藻カギケノリの⽜メタン減少研究で、共同研究における教員とTAの仕事の役割に関する知⾒を習得できた。昨年度は、お茶中⽣とのマリモ実習で、探究活動に意欲的な⽣徒を増やし、SDGs を⾃分ごととして捉えてもらうためのテーマ設定や資料作成の重要性が理解できた。そして今年度は、お茶⼩⽣とのマリモ実習で、⼀度きりの短時間イベントでも、科学への興味や探究⼼の向上に繋がることが⽰唆できた。
将来的には、附属学校園が揃う本校ならではの、⼤学⽣が⾼校⽣に、⾼校⽣が中学⽣に、中学⽣が⼩学⽣に、⼩学⽣が幼稚園児に、のような近い世代が教育・研究をアシストすることで教育の質を向上するためのシステム構築を実現したい。
【SDGs推進研究所 事務局より】
2026年6月15日(月)に開催したSDGs研究助成 成果報告会では、 嶌田先生より、マリモの保全研究と附属学校園間の連携による科学教育の実践についてお話がありました。北海道の阿寒湖など限られた環境でのみ生育する大型球状マリモについて、形成過程や増殖メカニズムの解明に向けて実験をなさっていることが報告されました。また、附属学校園での科学教育においては、仮設立案と検証を取り入れた活動が児童の探求意欲の向上に寄与することが報告されました。当日は嶌田先生が大きな球状のマリモを持参してくださり、参加者も間近でマリモを見て、触る機会にも恵まれました。

嶌田智先生
嶌田先生の研究はSDGsの次のゴールに関わっています。

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令和8年度 第2回 SDGs研究助成 成果報告会ポスター(PDF形式 937キロバイト)
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