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2026年7月14日更新
[目的]
緑藻マリモは、環境省レッドリストでは絶滅危惧I類に指定され、そのうち阿寒湖のマリモは国の特別天然記念物に指定されている。しかし、阿寒湖の一部調査地点で、大型球状マリモの激減が確認され、大型球状マリモを復活させ保全するために、大型球状化プロセスの解明と、それを指標としたマリモ個体群の健全性診断システムの構築が急務となった。また、科学探究活動やSDGs活動は大学や高校SSHなどで進められているが、「やらされている」感も強く、探究活動に意欲的な生徒を増やし、SDGsを自分ごととして捉えてもらうために小中学生の頃からの研究意欲の向上が求められている。
そこで本研究では、阿寒湖の大型球状マリモがどのように形成されているのかを明らかにするため、小型マリモから大型マリモに成長する際に位置する水深別・層別のマリモの光合成特性を解析し、光環境への適応を調査した(図1)。また、連続的でスムーズな科学研究教育システムの構築を目指し、お茶大附属中学校生徒へのマリモを用いた仮説の立案と検証に関する実習を行い、事前・事後アンケートと半構造化面接により、科学研究への意欲やSDGsの自分ごと感が向上したか調査した(図1)。

図1 本研究課題
[方法・結果]
1. 保全研究北海道阿寒湖チュウルイ湾で、上側をマークしてマリモを採集し、各部位の光合成活性をImaging-PAMを用いて測定し、個体の平均を比較した。その結果、ETRは水深による差が見られ、1.5 mより2 mが高かった(図2)。マリモ断面をヨウ素染色し、ImageJによってデンプン部位を確定して面積を比較した。その結果、下面で上面よりデンプンがやや蓄積している傾向があった(図3)。

図2 水深別・層別の光合成活性

図3 デンプン部位のヨウ素染色
2. 附属中学校生徒へのマリモ実習の効果検証
附属中学校の生徒12名に、マリモに関する実習を行い、心理測定尺度集を考慮した1-5段階で回答できるような16の質問項目による質問紙調査と、応募に答えてくれた3名に質問項目を決めたインタビューガイドにより対面での個別半構造化面接というインタビュー調査を行った。
その結果、「理系に進学したいと思った割合」は17→50%、「将来科学に関する仕事をしたい」は8→25%と上昇した。「理系への関心が高まった」92%、「SDGsの関心が強くなった」92%、「もっと探求活動に取り組みたくなった」100%などと、おおむね高評価となった。しかし、「文系への関心が高まった」は17%にとどまり、社会科学としての側面を助長するには至らなかった。
インタビュー解析では、お母さんの声がけで参加を決めたり、一緒に参加したり、家に帰ってからお母さんにクイズをだしたりなど、母親の協力・関与が中学生には重要なファクターであることが伺えた。また、実物にふれることができたこと、周りと相談しながら仮説を立てて実験して検証する科学プロセスが楽しかったようである。さらに、資料やワークシートは、その場の理解を促すとともに、それを持ち帰ることで家族との会話が弾んだなど、重要な小道具であることが示唆された。
[今後の課題]
昨年度は、お茶高生との紅藻カギケノリの牛メタン減少研究で、共同研究における教員とTAの仕事の役割に関する知見を習得できた。今年度は、お茶中生とのマリモ実習で、探究活動に意欲的な生徒を増やし、SDGsを自分ごととして捉えてもらうためのテーマ設定や資料作成の重要性が理解できた。
将来的には、お茶小生との科学体験で、小学生の科学的関心を高める安全安心な体験イベントを実施したい。さらに、附属学校園が揃う本校ならではの、大学生が高校生に、高校生が中学生に、中学生が小学生に、小学生が幼稚園児に、のような近い世代が教育・研究をアシストすることで教育の質を向上するためのシステム構築を実現したい。
2025年6月18日(水)に開催されたSDGs研究助成 成果報告会では、嶌田先生より、環境省レッドリストでは絶滅危惧 I 類に、文化庁からは国の特別天然記念物に指定されている緑藻マリモについて、実際に緑藻マリモを見せていただき、その保全研究と中学生にとって効果的な実習内容の調査に関しご報告いただきました。

嶌田智先生
嶌田先生の研究はSDGsの次のゴールに関わっています。

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R7年度SDGs研究助成成果報告会(第2回)(PDF形式 1,818キロバイト)
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