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2026年7月14日更新
本研究は、直接的にSDGsの3(すべての人に健康と福祉を)、4(質の高い教育をみんなに)10(人や国の不平等をなくそう)に直接関わり、長期的には13(気候変動に具体的な対策を)も関係する。
3の「すべての人」において、障害者の運動実践の機会は極めて少ない。これは健康と福祉の関連から10の「不平等」とも考えられる。また障害者教育において、体育は障碍の個人差を考慮すると実践が容易ではないと予想される。本研究による障害者の運動機会の増加は、4の質の高い教育の実現にも繋がる。また身体活動の促進は、化石燃料を利用する交通機関での移動の減少に繋がり、包括的には13(気候変動に具体的な対策を)も関係する。
身体活動は「1に運動、2に食事、3に禁煙、最後にクスリ」と言われるように、健康保持増進の観点から最も重要視されるが、障害者にとって、ルールや施設に制限のあるスポーツは実践に困難さが伴う。その点、ダンスは、音楽をかけて自由に踊ることで身体活動量を増やすだけでなく、身体表現に伴う心理社会的影響から近年注目されるウェルビーングの改善効果も期待できる。
本研究での目的は、知的障碍者を対象に、知的障碍者の身体特性を考慮したダンスプログラムを開発することを目的とする。本研究では、知的障碍者が行う柔道(ID柔道)のウォーミングアップとして導入可能なダンスプログラムを想定してプログラム開発を行った。
第一に知的障害者を対象に、身体組成(体脂肪量、筋量)、運動機能(開眼および閉眼での足圧中心動揺の総軌跡長および矩形面積、視覚刺激による全身反応時間、長座体前屈による柔軟性評価)を計測し、知的障碍者の運動機能の特徴を検討した。その結果、柔軟性指標は健常者レベルであったが、立位姿勢の足圧中心動揺は有意に大きく、閉眼での立位姿勢には困難のある者が散見された。全身反応時間は健常者に比べて有意に長く、視覚による刺激は障害の程度によっては判別が難しいことも明らかになった。
次に、ID柔道指導者とのディスカッションを3回行い、知的障碍者の実施困難な動作や運動指導上の困難さを質問し回答を得た。その結果、知的障害者が全般に前屈みの立位姿勢で相手と対峙することが難しいこと、重心を低くする基本姿勢の保持が難しいこと、柔道で言う「へそを合わせる」という相手の位置に直面する身体意識がわかりづらいことなどが挙げられた。そこで、ダンスプログラムにおいては、動作を実施する能力だけでなく、自分の身体への意識を促すような教示や動きを取り入れることにより、知的障害者の動作実施が促される工夫を行なった。
次に、運動実践が困難なパーキンソン病患者向けのダンスプログラムの指導の体系的な研修が受けられるアメリカのマークモリスダンスグループの実践事例の視察と指導研修を受講し、知的障害者のダンスプログラム開発に活用できる実践事例や留意事項に関する資料を得た。特に、実施する運動をどのように伝えるかという口頭の指示や動作の順序などについて安全性に加えて運動学習の効率性を考えたプログラム事例として、有益な情報を得た。
以上を踏まえて、5〜8分間の動画を5種類作成した。作成した動画を、ID柔道全日本選手権に参加した選手達に大会の最初にウォーミングアップとして実施してもらった(下記画像)。多くのID柔道家は、ダンスプログラム開発の意図に合った動きを実施することができたことから、このダンスを行うことにより、運動パフォーマンスに必要な基礎的な運動能力が発達する可能性が示唆された。

なお本研究の成果の一部は、昨年9月に開催された第78回日本体力医学会シンポジウム「ダンスと体力〜Dance for All」において発表された。なお本年度は、研究協力者が得られず、三次元動作解析および介入研究を実施することができなかったが、すでに完成しているダンスプログラムを用いて、今後その有効性を科学的に検証する調査を継続する予定である。
【SDGs推進研究所 事務局より】
2025年6月18日(水)に行われたSDGs研究助成 成果報告会では、水村先生より、知的障碍者が実施可能かつ運動効果が期待されるダンスプログラムの開発と現場での活用の試みについてお話いただき、ダンスプログラムの動画を交えてご発表いただきました。

水村真由美先生
水村先生の研究はSDGsの次のゴールに関わっています。

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R7年度SDGs研究助成成果報告会(第2回)(PDF形式 1,818キロバイト)
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