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2026年7月14日更新
強相関電子系の研究の発展は、安全で効率的なエネルギー変換材料や電子デバイスの開発において、その基盤を大きく担っています。また、これにより、持続可能なエネルギー供給やクリーンテクノロジーの実現が進みます。現在、この分野で盛んに行われている具体的な研究例として、「クリーンエネルギーへの転換やインフラ整備に貢献し、量子コンピュータの開発にも関連する超伝導技術の研究」や、「低電流密度での磁気情報操作デバイス技術の実現に期待が寄せられているスキルミオンの物性解明」などが挙げられます。令和6年度、我々は2つの実験を計画しました。そのうち、空間反転対称性の破れた超伝導に予言された新しいネマティック相の存在実証に関する研究を推進することができましたので、これについて報告します。
空間反転対称性の破れとは、結晶構造がミラー対称性を持たないことを意味します。結晶がイオンから成り立っている場合、空間反転対称性が破れた系では、原子の非対称的な配位に起因する局所電場が発生し、運動量空間内で電子系のフェルミ面が分裂します。そして、そのような系が超伝導になる場合、その局所電場に対して垂直な磁場をかけることで、新しいタイプのネマティック相であるヘリカル磁束相が出現すると理論的に予言されています。しかし、これまでに現実の物質でヘリカル磁束相の観測例はありませんでした。
我々は、フランスのラウエ・ランジュバン研究所に設置されている世界最高性能の中性子小角散乱装置D33を用いてヘリカル磁束相の検証実験を行いました。用いた試料はLaNiC₂です。その結果、ヘリカル磁束相の存在実証に成功しました。これは、世界初の検証成功例となりました。また、ここで観測された歪みが印加磁場を大きくするのに伴い拡大していくことがわかりました。

我々は、今後もヘリカル磁束相の特性解明に向けた研究を続けますが、本研究により、未だ謎として残されている超伝導の理解を飛躍的に発展させることが期待されます。
本研究で対象とした超伝導体は、電力ロスの少ない送電やエネルギー変換デバイスへの応用が期待されており、クリーンエネルギーの実用化に貢献します。特に、SDGs 7(クリーンエネルギー)、SDGs 9(産業・イノベーション)、SDGs 13(気候変動対 策)、SDGs 17(パートナーシップ)といった広範なSDGsの達成に寄与し、その中でも持続可能なエネルギー供給やクリーンテクノロジーの実現に最も大きく貢献することが期待されています。
本学が推進する「生活者起点のSDGs研究」の観点から見ても、本研究は、科学技術の革新を通じて持続可能な社会の土台を築くという明確な貢献を果たしています。安全で効率的なエネルギー利用の実現は、私たちの生活環境を大きく改善し、将来的なエネルギー危機への対応にもつながります。基礎科学の深化と応用技術の開発が連動する本研究は、生活者の視点を持つSDGs推進の重要な一例といえます。
【SDGs推進研究所 事務局より】
2025年6月18日(水)に開催したSDGs研究助成 成果報告会では、古川先生より、基礎科学と応用科学の関係性についてご説明いただき、理論的に予言されていた新しい「ヘリカル磁束相」を世界で初めて実証することに成功された研究の成果についてお話しいただきました。

古川はづき先生
古川先生の研究はSDGsの次のゴールに関わっています。

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R7年度SDGs研究助成成果報告会(第2回)(PDF形式 1,818キロバイト)
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