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令和6年度研究助成:「『食』の体験を通した持続可能性のための幼児教育実践研究:『食』の未来を考える素材としての『雑穀米』の可能性」刑部育子先生(生活科学部人間生活学科)

2026年7月15日更新

「『食』の体験を通した持続可能性のための幼児教育実践研究:『食』の未来を考える素材としての『雑穀米』の可能性」(刑部育子先生 ;生活科学部人間生活学科)

雑穀※は、環境適応力が高いため、世界の食糧危機を救うと期待されており、国連が2023年を「国連雑穀年」として設けるなど、SDGsを推進する作物として注目されている。日本でも古来穀物として多様な雑穀が栽培されてきた。そこで本研究では、持続可能な社会づくりに貢献する乳幼児教育における素材として、雑穀にどのような可能性があるかを明らかにすることを目的とした。具体的には次の三つ活動を行った。【①】様々な種類の穀物に興味をもち、よく見たり味わったりする、【②】雑穀を体験したり調べたりすることで、食をめぐる文化と自然の多様性に対する興味を広げる、【③】「食」の問題を自分ごととして捉える。これらの活動を通して、雑穀を多様な視点から体験することで、園児・保育関係者・地域の人々が、どのように持続可能な食の未来を共に考えるようになったか、その過程をお茶大こども園の食の教育実践を通して、明らかにすることとした。

※日本雑穀協会の定義によると、「雑穀(Millet)」とは「日本人が主食(白米)以外に利用している穀物の総称」のことであり、例えばアワ・ヒエ・キビ・ハトムギ・オオムギ・ソバ・アマランサス・キノア・ゴマ、さらに大豆や小豆などの豆類、玄米や発芽玄米など、幅広い穀物が含まれる。

R6研究助成_刑部先生_図1

園において次の活動を実施した。

①【教育実践1】雑穀米を炊いて食べ、味わいを感じる実践1(10月)をお茶大こども園で行った。雑穀米を作っていらっしゃる株式会社ベストアメニティのご協力のもと、園児たちと雑穀米入りのおにぎりを作る実践を行った。その後、雑穀の特徴等や穀物の多様性についての話を聞き、園児たちも積極的な質問をするなど、対話的で深い学びの機会を得た。

②【教育実践2】専門家の指導(株式会社ベストアメニティおよびお茶大こども園管理栄養士)による雑穀米麹を使った味噌作りを園児が体験する実践2(2月)をお茶大こども園で行った

③【教育実践成果報告書の作成】雑穀が日本の食文化や地域の自然の多様性とどう結びついてきたのかについて専門家の話を聞き、「食」をめぐる問題の理解を深めた成果として、教育実践過程の記録をまとめ、『雑穀米:文京区立お茶の水女子大学こどもうれしい*おいしいプロジェクト』を編集、デザインし、冊子を作成した(園児・保護者、保育関係者、研究者、食育に関心のある人など広く対象)。

本研究は、以下のグローバルな視点とローカルな視点を結びつけることでSDGsを推進する研究として実施した。

■グローバルな観点
雑穀は、高い栄養価や機能性などの利点、広い環境適応能力を有することから、持続可能な作物として、世界の食料安全保障と飢餓の解消に大きな役割を果たすことが期待されている。このことから、SDGsの目標2「飢餓をゼロに」、目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標13「気候変動に具体的な対策を」の達成に貢献する作物である。園児・保育関係者・保護者が雑穀について知ったり考える過程で、これらの地球的課題の学びにもつなげられた。

■ローカルな観点
日本では古来多様な雑穀が栽培されてきており、日本の食・文化・自然の多様性を支えてきた。雑穀を多面的に「体験」することで自然の多様性に気づいていくことにより、目標15「陸の豊かさも守ろう」の達成にも貢献する。特に、日本において雑穀栽培が急速に衰退しているなかで、雑穀を体験に基づいて見直していくことで、自分自身の食の問題として文化・自然の多様性に関心を向けていく機会を提供することができた。

以上から本研究は、目標4「質の高い教育をみんなに」のターゲット4.7「全ての学習者が、持続可能な開発を促進するために必要な知識及び技能を習得できるようにする」にも資する実践となった。

本研究の社会的意義
乳幼児期の持続可能性のための教育は、国内ではまだ実践的研究が少なく、どのように子どもが持続可能な社会づくりに参加していけるかという議論は萌芽期にある。本研究において、雑穀という素材を活用しながら持続可能性の問題に多面的に貢献できる教育実践を開発することによって、食を通したSDGsの幼児教育実践への先駆的事例としての発信を広く行うため、『雑穀米−うれしい*おいしいプロジェクト−文京区立お茶の水女子大学こども園の実践』を作成した。特に、乳児から誰もが楽しく学べる体験を用意することで、幅広く保育・幼児教育施設への導入の可能性が開かれることになる。このように、園での学びを地域社会に還元していくことで、より広範に持続可能性に向けた社会変容を引き起こす効果が期待される。今後、本研究の成果については論文にまとめて国内外の学会や学術雑誌に投稿するほか、本研究の知見を保育研修や実践研究会の場でも広く発信することとしたい。


【SDGs推進研究所 事務局より】
2025年6月25日(水)に開催したSDGs研究助成 成果報告会では、刑部先生より、SDGsを推進する作物として注目されている雑穀米を用いたお茶大こども園での食の教育実践研究についてお話がありました。

刑部先生
刑部育子先生

刑部先生の研究はSDGsの次のゴールに関わっています。  
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関連ファイル / Related Files

» R7年度SDGs研究助成成果報告会(第3回)(PDF形式 1,738キロバイト)

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»令和7年度第3回SDGs研究助成 成果報告会を開催しました

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