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令和5年度研究助成:「大学等における持続可能な女性研究者支援:交差性と支援者のキャリアに着目して」脇田彩先生(生活科学部人間生活学科生活社会科学講座)

2026年7月15日更新

「大学等における持続可能な女性研究者支援:交差性と支援者のキャリアに着目して」脇田彩先生(生活科学部人間生活学科生活社会科学講座)

大学等における女性研究者支援や、それに関わるジェンダー関連専門職の活躍は、女子の高等教育・女性研究者の育成はもちろん、ジェンダー研究・教育を社会全体でのSDGs推進に活用するために重要であり、SDGs推進研究所の趣旨に合致する。SDGs GoalsのうちGender Equalityはもちろん、多様な人々を包摂する教育・研究を実現するという点でQuality Education、支援者のキャリアについてはDecent Work and Economic Growthにも関わる。本研究は、大学等における女性研究者支援について、(a)交差性および(b) 支援者のキャリアという視点から、(1) 支援をする/される教職員・研究者から見た女性研究者支援の成果と課題および(2) 大学等の組織から見た女性研究者支援の成果と課題を明らかにし、持続可能な女性研究者支援のために必要な条件を解明した。

当初、(1) 支援をする/される教職員・研究者から見た女性研究者支援については主に後述のインタビュー・観察、(2) 大学等の組織から見た女性研究者支援については主に大学における女性研究者支援関連の部署に対する調査票調査を行うことを計画した。しかし、予備的調査により、各大学等の関係組織、実務担当者の位置づけなどが非常に多様であり、また組織の変遷があった大学が多いことが分かり、一律の調査票調査は難しいと判断し、共同研究者からの助言も得て、多くの大学等が採択された「女性研究者研究活動支援事業」の報告書について、文部科学省に対して行政文書開示請求を行った。

(1) 支援をする/される教職員・研究者から見た女性研究者支援については、女性研究者支援の実務に長く携わってきた研究者など4名に対する予備的調査を経て、下表に示す対象者に対するインタビュー調査を行った。また3つの大学・センターにおいて職場環境の観察を行った。

R5研究助成_脇田先生_図1

インタビュー調査によって、実際に行った業務、支援者から見た成果と課題、在職中の支援事業についての考え、職場環境、待遇、支援事業や組織の運営、支援者自身のキャリアと今後の見通し、支援される女性研究者の様子、他大学の実務担当者とのつながりなどが、大学等によってかなり多様であることが明らかになった。

(a) ジェンダー以外の属性との交差性という視点から、支援する実務担当者の多様性について述べると、いわゆるコーディネイターとして中心的に女性研究者支援事業の実務を担当する教職員の職位や待遇、これまでのキャリアは少数のインタビューにもかかわらず多様であり、大学の性質(設置者や学部構成など)や大学における女性研究者支援事業の位置づけによって異なることが見えてきた。他方、共通点としては、(1) 少なくとも入職当初は実務担当者の雇用が不安定であること、(2) 全体を把握し、ほぼ全ての実務に関わる実務担当者の大きな使命感・熱意と実務負担、大学当局等への積極的な働きかけによって女性研究者支援事業が持続していること、(3)常勤教員の中に女性研究者支援事業に積極的なキーパーソンがいる事例が多いこと、(4) 文部科学省の女性研究者支援事業終了後に組織がかなり縮小し危機を迎えることが挙げられる。

また、(b) 支援者のキャリアという視点から、インタビュー対象者自身の経歴とインタビューで語られたことを整理すると、まず、女性研究者支援事業におけるコーディネイターには研究者としてのキャリアとアイデンティティを持つ人が多く、コーディネイターの指揮のもと働くスタッフのキャリアは多様である。コーディネイターの研究者としてのキャリアは、自然科学系で長く常勤の研究者/教員として働いてきた人、ジェンダー関連の研究を行うかたわらコーディネイターの仕事をしてきた人、常勤の研究者/教員として働く前の人(いわゆるポスドク)など、かなりの幅がある。コーディネイターやスタッフは女性がほとんどである。また、コーディネイターは入職当初、任期付きなど不安定な形で雇用されており、女性ばかりの周縁的な学術専門職だと考えられる。ただし、女性研究者支援事業を存続させるためにコーディネイター1名を安定的に雇用したり、複数名の実務担当者を抱える組織を作ったりと、とくに近年、大学が組織や雇用を見直すケースも見られる。

(2) 大学等の組織から見た女性研究者支援について、文部科学省に対して大学等の中間評価・最終評価報告書の行政文書開示請求を行ったものの、手続きに時間を要し、開示決定等の期限の特例を適用され、開示が大幅に遅れた。2024年4月30日現在、4機関の中間評価報告書のみ開示されている。他文書が開示され次第文書の分析を行うが、4機関の報告書からも実務担当者の雇用や実施事業が多様であることが分かる。

女性研究者支援事業は大学による差異が大きく、これらを類型化し、共通点を明確にするためには、上記行政文書の分析のほか、さらに多くのインタビュー調査が必要だ。しかし、現時点でも、持続可能な女性研究者支援のためには、コーディネイターの継続的・安定的雇用、大学内での事業関連組織の確かな位置づけが必要であること、そのために当面、大学トップの明確な方針や常勤教員の支援、女性研究者支援の必要性についての全学的な理解が必要であることが見えてきた。大学におけるダイバーシティや女性研究者の育成・支援が再び強調される時代にあって、文部科学省による女性研究者支援事業採択機関のこれまでの成果と課題を最大限活用すべきである。


【SDGs推進研究所 事務局より】
2024年6月12日に開催したSDGs研究助成・教育助成 成果報告会では、脇田先生より、様々な大学でのインタビュー調査と行政文書の検討を通し、女性研究者の経歴や待遇の多様性、そうした教職員への支援の実態についてお話がありました。

第二報告脇田先生
脇田彩先生

脇田先生の研究は、SDGsの次のゴールに関わっています。
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» R6ポスター:R5_SDGs研究報告会(PDF形式 760キロバイト)

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»令和6年度第1回SDGs研究助成・教育助成 成果報告会を開催しました

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