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令和5年度教育助成:「保育・教育実践におけるSDGs×STEAM教育研究」刑部育子先生(生活科学部人間生活学科生活文化学講座)

2026年7月28日更新

「保育・教育実践におけるSDGs×STEAM教育研究」刑部育子先生(生活科学部人間生活学科生活文化学講座)

本研究では、SDGs(持続可能な開発目標)の目標4に焦点をあて、特にSTEAMのA(ArtアートやAesthetics審美性)に関わるところに着目した実践的研究を行った。お茶大こども園における未就学児に対する探究ワークショップとお茶大附属小学校1年生のアートの授業を対象とし、園と小学校の接続カリキュラムに関わるSTEAM教育を通した参加的創造性について研究を行った。SDGs目標4は、すべての人々への、包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進することである。

具体的には、お茶大こども園における未就学児を対象とした探究ワークショップの実施及び附属小学校のアートの実験的授業の実施、およびその記録の収集によって、乳幼児期、および乳幼児期に続く小学校1年次の多様な素材や自然現象への関わり方と参加的創造性を明らかにし、STEAM教育の可能性を探ることを目的とした。

その結果以下のことが明らかになった。(1)としてお茶大こども園における実践の結果、(2)としてお茶小1年生授業実践における結果を示す。以下では生活者起点でのSDGsの17の目標とSTEAM教育に関連づけて結果を示すこととする。

(1)お茶大こども園における乳幼児の実践
本研究におけるワークショップでは生涯学習の根源となる探究の芽生えを育み、科学的な現象をじっと見て観察し、自ら関わった発見を他者と共有する子どもの姿が観察された。具体的には、子どもたちは風を体感する装置(図1)により、装置に入れる素材の色、材質、形状を配慮し、特に風力と掛け合わせた時に、どのような動きになるか、どのような色が知覚されるかをよく観察し、素材の飛ばし方を創造した。また、子どもたちの間で探究行動が非言語によって伝播し、他の子どもたちにも共有されていたことが記録から明らかになった。このような生涯学習の土台となる探究の学びは、乳幼児期から育まれ、保育者や他の子どもたちとの社会的な関係の中で学びがさらに深まり促されることが明らかになった。以上の結果はSDGs目標4「すべての人々への、包括的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」に関わり、特に4.2「2030年までに、すべての子どもが、幼稚園や保育園に通ったりして、小学校にあがるための準備ができるようにする」に貢献している。

また、本研究では、男女の性差なく、こどもたちがワークショップに参加し、誰もが自分の好む色の素材を手に持って参加することができるよう、研究を計画した。ワークショップを主導した研究者および、参加した保育者はジェンダーバイアスに囚われることなく、子どもたち一人一人が好む色の素材で自由に取り組めるよう素材を準備し、声がけをし、関わった。子どもたちはジェンダーに関わらず、自分が好む色のスカーフで探究活動に没頭し、風力、重力の学びを、体験を通して学ぶことができた。色のジェンダーバイアスは、アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み、偏った意見)として保育、幼児教育現場では、男女が使うものの色分けが存在することがある。本研究のような探究活動においては特に、誰もが自分が好む色や素材を通して没頭することができる環境を整えることが重要であることも明らかになった。以上の結果は、4.5「2030年までに、教育のなかでの男女の差別をなくす」に貢献している。

R5研究助成_刑部先生_図1
風を体感する装置

(2)お茶小1年生の授業実践
(1)の実践の続きとなるような授業における探究活動を実践し記録した。SDGs(持続可能な開発目標)の目標4に焦点をあて、特にSTEAMのA(ArtアートやAesthetics審美性)に関わるところに着目した実践的研究を行った。

本研究では、 小学校1年生における図画工作科でSTEAMに関わる音の探究に関わる教育実践を行った(目標4)。SDGsに関わる廃材やエコロジカルな材料を活用し、教科横断的な図画工作の授業が構想された。教科横断というのがSTEAMに関わっている。

その結果、ある児童は「良い音がする」と自分が思いもしなかった予想外の音を発見し、他の児童にもその行為が広がったことから、教師は音の探究と、音のデザインの題材化を試みた。その後、この児童は赤い毛糸と竹ひごや土に還る廃材で作ったストローを使った「音の探知機」を作成した。特にこの児童は「赤」という色にこだわったところから探究が進んだ。色は児童のアイデンティティを示し、教師はこの児童が選ぶ色に着目してこの児童の学びを支援した。色のジェンダーバイアスはよく見られるが、教師はその子供自身の好きな色を大事にして実践を進めた(4.5「2030年までに、教育のなかでの男女の差別をなくす」)。図工を専門とする教師ならではの色への着目は、STEAMのA(ArtアートやAesthetics審美性)が探究のプロセスに効果を発揮した好事例である。

本研究では、子どもの生活から教科横断的にデザインした題材開発である。また、扱った材料には廃材や土に還る材料等自然を選ぶなど、ゴミの発生を抑制したり、自然を持続可能な形で活用したりするなど、12(つくる責任、つかう責任)や15(陸の豊かさも守ろう)に寄与すると考えられた。

以上の教育実践研究による成果の一部は質的心理学会2023「『伏線回収的リフレクション』で生み出される物語 -小学校低学年の図画工作の記録行為から-」で発表した。

以上、本研究では、(1)、(2)により、乳幼児から小学校に至る探究に関わる教育実践を行い、保育・教育実践におけるSDGs×STEAM教育の連続性を明らかにした。

【SDGs推進研究所 事務局より】
2024年6月12日に開催したSDGs研究助成・教育助成 成果報告会では、刑部先生ならびに共同研究者の方々により、STEAM教育のA(ArtアートやAesthetics審美性)に着目した実践的研究をご発表いただきました。実践を通して、子供の参加型創造性が育まれていった様子をご発表いただきました。

第一報告研究代表者の刑部先生
(研究代表者:刑部育子先生  
共同研究者:土谷香菜子氏、小沼律子附属小教諭)

刑部先生方の研究はSDGsの次のゴールに関わっています。
SDGsGoal4 SDGsGoal5

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» 令和6年度 第1回 SDGs研究助成・教育助成 成果報告会ポスター(PDF形式 760キロバイト)

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»令和6年度第1回SDGs研究助成・教育助成 成果報告会を開催しました

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