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第20回グローバルリーダーシップ研究所オンラインセミナー 「幸せなリーダーになるために —自分のポテンシャルを解き放とう!」開催報告

2022年3月1日更新

2022年2月22日(火)16:30より第20回グローバルリーダーシップ研究所セミナーを開催しました。講演者は増山美佳氏(増山&Company合同会社 代表)であり、「幸せなリーダーになるために —自分のポテンシャルを解き放とう!」のタイトルでお話しいただきました。

グローバルリーダーシップ研究所 研究所長の小林 誠 教授による開催挨拶の後、講演はスタートしました。初めに、増山氏は時代背景とともにご自身のキャリア変遷についてお話しされました。

増山氏

増山氏は、大学卒業後の初職(日本銀行)において、日本の社会や世の中の構造を学んだ後、INSEAD へ留学しMBAを取得されました。資格取得後はヨーロッパで働く想いを強め、日本人がまだ海外でビザを取ることが難しい状況においてもあきらめずに就職活動を行い、欧州最大のIT企業に就職されました。バブル崩壊後に帰国し、スイスに本社を置くコンサルティング会社に就職され、日本の企業をどう立て直すか、組織や人をどう変えるか、などの業務に携わりました。これらの業務は増山氏の得意分野であり、興味を持って取り組んだとのお話がなされました。そして2016年に独立し、成長企業を手助けする活動を始められました。これらの活動を行いつつ、大学院における社会人教育、上場企業の取締役を務めるなど、時代の変化を読みつつご自身の想いと強みを生かして幅広く活動されている様子をうかがい知ることができました。

講演では「1.多様性(女性活躍)について、実態を把握しよう」、「2.幸せなリーダーとして活躍できるヒント」の2つについてお話しいただきました。

「1.多様性(女性活躍)について、実態を把握しよう」では、日本のジェンダーギャップについてお話しいただきました。日本のジェンダーギャップ順位は156か国中120位で年々下降していること、教育や健康においてはジェンダーギャップが小さいのに政治参画や経済参画ではジェンダーギャップが大きく、これが全体の順位を引き下げる理由となっていることを説明されました。そして、学校教育の場ではジェンダーギャップが小さいのに、社会人になるとそのジェンダーギャップが大きくなるのはなぜか、この部分を明らかにし、解決する必要性があることを様々なデータを示しながら説明されました。

なぜ今女性活躍が改めて脚光を浴びているのでしょうか。増山氏は、将来を見通すことが困難で、正解のない時代、すなわちVUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity)の時代が差し迫っているからである、と説明されました。様々な変化に立ち向かい、不測の事態を乗り切るためにも、スピード感をもって経営改革としての人材戦略を行うこと、質の高い時代に合ったリーダーを準備することが大切である。このようなリーダーを準備するためには、従来の同質性の高い人材戦略を変革する必要があります。増山氏は、性別や国籍、世代やスキル、キャリアなどが多様な人材を採用し、起用する、すなわち「多様性」を実現することで経営戦略に大きな影響を与え、企業の価値を高めることにつながる、と説明されました。つまり、「女性の活躍促進」はVUCAの時代を乗り切るために必要不可欠であり、だからこそ今改めて脚光を浴びているのだということを理解できました。

増山氏は、多くの企業が女性管理職や役員を増やすことについて「重要」と認識する一方、「女性の意識」と「男性管理職の意識」に課題があり、これには無意識の偏見ともいわれるアンコンシャスバイアス(Unconscious Bias)が影響していると説明されました。これらの課題にどう取り組むのか、自分にできることとは何であるのか、と参加者に問いかけ、次のテーマに移りました。

「2.幸せなリーダーとして活躍できるヒント」の初めに、増山氏からスピード感をもって問題を解決できる、主体性を持つリーダーがVUCAの時代には求められる、との説明がなされました。前述した「女性の意識」における課題では、女性自身が「こうなりたい」という理想像を描くことが大切であり、そのうえで現状を見つめ、自身にとって何が課題なのかを考えることが重要である、と増山氏はお話しされました。さらに、「あきらめない、壁をつくらない、誰かのせいにしない」こと、「自分の強みや弱みを把握する」ことも重要と説明されました。

最後に増山氏は「自分の将来」をつくるためには、自分らしいインパクトを出し、自分の環境を整え、効果的なサポートを得ることが大切であることを説明され、個人の生活と仕事を楽しく両立させる7つのヒントを紹介して講演は終了しました。

  • 小林先生
  • 内藤先生

講演終了後には、高校生や大学生、働く女性から多様な質問・感想が途切れることなく寄せられ、大いに盛り上がりました。講演会終了後のアンケートでは「非常に良かった」の感想が大半を占め、「女性が働き続けていくうえで重要なポイントについて、経験を交えてお話しいただき非常に参考になりました。」、「四月から社会人になる上でどういったことを意識していけば良いのか考える貴重な機会となりました。」、「人生の岐路に立った時に、改めて、人とのつながりを大切にして、好奇心と志の灯を絶やさずに、歩んでいこうと励まされました。」などの感想をいただきました。

このたびのセミナーはオンライン会議ツールZoom Webinarを用いてのオンライン開催となりましたが、本学学生・教職員、高校生、一般を含め63名にご参加いただきました。セミナーにご参加いただきました皆様に心よりお礼を申し上げます。

講演者である増山氏には、ご自身のキャリアや経験、そして経験に基づいた幸せなリーダーになるための7つのヒントをお話しいただき、VUCAの時代をこれから乗り越えていく女性たちに勇気と希望を与えていただきました。このセミナーをきっかけに、現状をしっかり見つめ、自身にとって何が課題なのかを考え、才能を磨いて「強み」を作り、自分で責任をもって思考力や行動力を発揮し、自分で描いた理想や夢を実現する女性が一人でも多く増えますことを心から期待しています。

文責 内藤 章江(グローバルリーダーシップ研究所 特任講師、セミナー司会)

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