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第33回IGLセミナー「地域とグローバルをつなげる多様なリーダーシップ ―杉並区の女性エンパワーメントの連鎖を解読しよう」開催報告

2023年9月8日更新

岸本氏
 

本セミナーでは、国際政治の場で奮闘されてきた杉並区長の岸本聡子氏をお迎えしました。岸本氏は20代で渡欧後、アムステルダムを本拠地とする政策シンクタンク「トランスナショナル研究所(TNI)」に所属。新自由主義や市場原理主義に対抗する公共政策、水道政策のリサーチおよび世界の市民運動と自治体をつなぐコーディネートに従事され、2022年に杉並区長選挙に立候補、同区初の女性区長となられています。本セミナーでは、多くの著書もある岸本氏に、地域とグローバルをつなげるためのリーダーシップについてお話をうかがいました。

岸本氏はまず、地方自治体を意味する municipality から来ているミュニシパリズムは、自由や市民権を公的空間で拡大しようとする新しい政治、社会運動であると定義します。これまで政治に関心のなかった女性たちも参加してアイデアを出し合うなど、普通の人が地域政治に直接参加することで市民として力を取り戻し、合理的な未来を検討するこうしたミュニシパリズムの動きが杉並区ではじまっていることを指摘しました。講演では、動画資料などもふんだんに紹介され、杉並区発の共感の輪のひろがりが概観されました。環境的・社会的正義、参加型民主主義、政治のフェミナイゼーション、国際主義、気候危機の緊急性、ケアする人をケアする、マイノリティーの人権擁護、地域のことは地域で決める、恐れぬ自治体といったことの他、海外の例についても言及があり、岸本氏が様々な地平を見据えていることが確認され、講演は盛会のうちに終了しました。質疑応答では、オンライン参加者のみならず対面参加者からも次々と手が挙がり、各々について岸本氏から丁寧な回答が得られました。セミナー終了後は、「非常に勇気づけられた」、「政治への参画に対して、これまでの認識をかえるもの」、「民主主義の原点にある対話の重要性に改めて気づくことができた」など、多くの感想が寄せられました。

セミナー風景

文責:洲崎圭子 (グローバルリーダーシップ研究所 研究協力員)

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