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「異性介護」に伴う問題解決に向けた課題抽出とアンメットニーズ調査

2023年5月12日更新

研究概要
研究成果

研究概要

研究代表者(所属)

太田 裕治 (基幹研究院自然科学系)
研究分担者(所属)

斎藤 悦子(ジェンダード・イノベーション研究所)
長澤 夏子(基幹研究院自然科学系)
尾﨑 章子(東北大学)
田谷 紀彦(東北大学)
本名 靖(社会福祉法人 本庄ひまわり福祉会)

研究期間 2022年度
SDGs目標番号 3(保健:すべての人に健康と福祉を)
5(ジェンダー:ジェンダー平等を実現しよう)
8(成長・雇用:働きがいも経済成長も)

研究内容

要介護・要支援にある被介護者に対する「異性介護」に伴う問題は、介護現場において長年放置されている深刻な課題である。特に女性被介護者が男性から介護を受ける異性介護のケースでは、被介護者にとって身体を触られることによるセンシティブな問題をはらみ、介護現場における慢性的課題となっている。とりわけ「排泄場面」はデリケートであり、精神的苦痛を回避するために水分摂取を我慢することでさらなる健康状態の悪化の可能性を招くことも介護現場では指摘されている。また、男性介護者にとっても、女性を介護する場面において、多くの精神的配慮を行う必要があり、介護側にとっても負担となっている。もちろん、逆に、女性が男性を介護する場会も同様の問題が存在する。この「異性介護」は、昨今、解決が焦眉の急となっているヤングケアラーに代表される家庭内介護においても例外ではない。特に「排泄」は、つとめてプライベートな場面であり、できるだけ他人の介助なしに、技術で解決することが本来望ましく、喫緊の課題である。本研究ではまずはこの課題の現状把握を目的に、インタビュー調査ならびにアンケート調査を実施するものである。

研究成果

全国600の施設(特別養護老人ホーム、知的障がい者支援施設、身体障がい者支援施設)に対し、各施設の施設長・現場マネージャー・現場スタッフを対象に、WEB回答方式で、異性介助に対する課題意識・取組について調査を実施した。回答数者全数は123であった。また、施設へのインタビューを国内2施設に対して実施した。以下、WEBアンケート調査で明らかになったファクトから、重要と思われるポイントを列挙する。

〇6割以上の支援者が異性介助を経験し、その5割が異性介助場面にストレスを感じた経験がある。
〇支援者が異性介助でストレスを感じる場面の上位は、「入浴」「排泄」「生理用品交換」である。
〇男性支援者、女性支援者のいずれも、対象利用者の年代があがるほど、ストレスを感じることが多い。
〇利用者が異性介助でストレスを感じる場面の上位は、「入浴」「排泄」そして「着替え」である。
〇男性よりも女性の利用者のほうがストレスを抱く傾向にある。また、年代が高い利用者ほどストレスを抱く傾向にある。 
〇利用者の同性介助希望を確認する施設は7割だが、課題解決のための具体的取組を行う施設は5割に留まる。

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