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2023年4月26日更新
研究代表者(所属) |
伊藤 貴之 (基幹研究院自然科学系) |
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研究分担者(所属) |
長澤 夏子(基幹研究院自然科学系) |
研究期間 | 2022年度 |
SDGs目標番号 | 5(ジェンダー:ジェンダー平等を実現しよう) |
ジェンダーバイアスの発見にはデータサイエンスにもとづく数理的な手法が必要不可欠である。それに加えて、ジェンダーバイアスの定性的な発見に情報可視化が有用であると考えられる。情報可視化は専門業務や日常生活の多様なデータを視覚表現し、その中に潜む重要な現象や問題を定性的に発見するための有用なツールである。本研究ではデータサイエンスと情報可視化を用いたジェンダーバイアスの発見手法を開発する。
具体的には、調査参加者の男女別の統計結果をさまざまな属性に沿って比較することを目的とした可視化手法を開発することで、多様なデータ中の特定の属性に潜む男女差を発見しやすくする。事例として2022年度には、空調への温感に関するオープンデータから、建物、季節、服装、体質などのいくつかの属性の組み合わせによって局所的な男女差が見られることを示した。
ジェンダーバイアスは日常生活や企業業務の多様なデータに潜んでおり、その発見と解釈は必ずしも容易ではない。本研究はデータ中に潜むジェンダーバイアスを情報可視化によって解明するものである。情報可視化は日常生活や企業業務などのデータを効果的に画面表示することで、データから興味深い現象や課題を発見し、現象の活用や課題の解決のための意思決定のツールとして有効な技術である。
2022年度はジェンダーバイアスの発見のための研究事例として、まず映画推薦結果に見られるバイアスの可視化に取り組み、元データの中で少数派に属する女性のほうが推薦結果に大きな偏りが見られることを示した。また空調の温感に関する男女差の可視化に取り組み、季節・体質・服装・建物種別・空調種別などの複雑な組み合わせによって温感に男女差が生じることを示した。