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緑内障予防・治療のための行動変容:心理学的エビデンスにもとづくイネーブラー技術の実装

2023年5月18日更新

研究概要
研究成果

研究概要

研究代表者(所属)

大森 美香 (基幹研究院人間科学系)
研究分担者(所属)

合澤 典子(グローバルリーダーシップ研究所)
嘉陽 彩乃(基幹研究院研究員)
中澤 徹(東北大学)
檜森 紀子(東北大学)
矢花 武史(東北大学)
牛久 祥孝(オムロン サイニックエックス株式会社)
曾根 周作(オムロン サイニックエックス株式会社)

研究期間 2022年度
SDGs目標番号 3(保健:すべての人に健康と福祉を)

研究内容

行動変容は、生活習慣病など疾病予防において重要とされているが、知識があっても適切な健康行動が実践できない実態がある。行動変容促進のためには、行動促進/阻害要因の心理学的解明と、日常生活下で実践できる介入方法の開発が必要とされている。
本研究では、緑内障予防・治療のための行動変容サポートのシステム構築を目的とし、以下の研究内容を実施する:1)緑内障治療アドヒアランスに関連する心理的プロセスの解明、2)緑内障治療・予防アドヒアランスをサポートするイネーブラー技術の開発と実証、3)性差に配慮した緑内障予防・治療の開発の検討。
緑内障は、本邦の失明原因の28%を占め、現在も失明患者が増加している。失明予防のためには早期発見と治療遵守が鍵となるが、知識の普及だけでは行動変容につながらず、行動変容をサポートのシステム開発が期待されている。特に、女性においては、家事や介護による早期発見の遅れ、女性ホルモン類似物質の重症度への影響、点眼治療による目の充血や目の上にくぼみが入る現象から、治療脱落が生じやすいとされ、性差に配慮したイネーブラー技術が求められている。
本研究は、健康心理学、眼科学、医工学、AI・ロボティクス・IoTの技術開発の専門家が集結し、治療アドヒアランスに関わる要因の解明および、チャットボットを応用したモバイル上での医師−患者コミュニケーションを行うイネーブラー・システムの効果検証と実証への検討を行う。

研究成果

研究成果の概要

緑内障治療アドヒアランスの予測要因および性差を検討するため、オンライン調査調査を実施した。参加者は、緑内障初期・中期患者2400名(男女各1200名、年齢40-69歳)。調査では、属性、緑内障や治療に関する情報、個人特性、治療や疾病に関する知識・脅威・障壁、副作用、治療アドヒアランスを尋ねた。今回の調査は縦断調査の第1波として実施しており、約6ヶ月後に第2波のデータ収集を行う。性差に関する予備的解析の結果、女性のほうが、副作用の外見上の懸念が高い一方、治療アドヒアランスは高いことが明らかになった。2波調査終了後、変数間の関連や治療アドヒアランスの予測因の検討を行う。
眼底疾患の疑いのある者をサポートするVirtual Enabler開発をめざし、システム構築と簡易評価を行なった。自然言語処理、Human Computer Interaction (HCI)を応用し、知識・症状・悩みを聴取し共感するAvatar@AIと、ユーザーの感情認識とAvatarの感情表出を行うWizard of OZ (WOZ)を試作した。試作システムの応答性・感情表出・信頼性について、成人8名に評価を求めた。すべての項目について、AIシステムよりもWOZのほうが評価が高いことが明らかとなった。特に、「会話の感情」「応答のタイミング」の差が大きいことが明らかになった。音声や表情のアバター転写の精緻化やアバターによる視覚的影響の検討の必要性が示唆された。

研究成果

学会発表
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