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2023年4月26日更新
研究代表者(所属) |
藤山 真美子(文理融合AI・データサイエンスセンター) |
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研究分担者(所属) |
長澤 夏子(基幹研究院 自然科学系) |
研究期間 | 2022年度 |
SDGs目標番号 | 5(ジェンダー:ジェンダー平等を実現しよう) 11(都市:住み続けられるまちづくりを) |
トイレ空間は、長年、生物学的男女に分けた利用者数を基に、排泄回数上、適切な衛生器具数を満たしているかという建築計画学基準を参考に設計が行われてきた。このため、発生頻度の低いジェンダー課題(小さな子供を連れた性別の異なる親子での利用、性自認の問題で従来の男女別トイレに抵抗がある人の利用、異性による介助を受けている人の利用など)について、空間的配慮が行われることは少なく、社会的少数者の努力等によってやり過ごされてきた点が指摘できる。近年、これらジェンダー配慮も含めた多様性への対応の一つとして、広く普及している一般トイレ以外に、完全個室型トイレやオールジェンダートイレとよばれるような、性別を問わずに利用できる一般トイレの検討が進み始めている。一方で、従来の男女別のトイレ空間に慣れ親しんだユーザからは、トイレ空間が男女共用化することへ不安の声もあり、トイレ空間に対する個人の捉え方の違いを、特にジェンダーごとの立場から把握する必要がある。そこで、本研究では、ジェンダード・イノベーションの観点からのインクルーシブなトイレ環境に関わる諸課題と空間構成の関係を明らかにすることを目指している。
本研究は、体格や身体の構造と機能の違い、加齢に伴う変化、 社会的・文化的影響など、性差の視点を考慮した研究・開発の考え方である「ジェンダード・イノベーション」を、 建築空間に適応するモデルケースとして、公共トイレを対象に包摂的なトイレ空間の可能性を検証するものである。
今年度は、公共トイレ空間における環境心理・行動面での差異に注目し、心理的な受容の差を明らかにすることを目的に研究を進めた。また、日本における男女共用トイレに関する利用実態や、心理と行動について、web調査を実施した。さらに生物学的性差やジェンダーに関係して、共用トイレに対する環境心理的な評価構造に違いがあるかについて、評価グリッド法による質的調査を用いて検証した。