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イベントレポート 特別講義「中村鶴松×お茶大生」

2021年10月13日更新

中村鶴松さん
学内の会議室よりオンラインでお話いただきました
中村鶴松さん
中村鶴松さん

2021年6月26日(土)に歌舞伎俳優の中村鶴松さんを講師にお迎えして大学生・大学院生40名を対象にした特別講義をおこないました。特別講義は今回で三回目の開催となりますが、この度も第一線でご活躍の演者の方から歌舞伎を中心に様々なお話をうかがう、大変貴重な機会となりました。

鶴松さんは松本大歌舞伎「夏祭浪花鑑」の千秋楽直後でしたが、お疲れの様子を見せることなく、気さくに、そして大変真摯に学生と向き合っていただきました。そのお話は26才の若者らしい瑞々しい感性と、幼い頃からの豊富な舞台経験にもとづく深い知見を併せ持つものでした。また鶴松さんご自身が数年前まで大学生だったということもあり、鶴松さんから学生に、学生から鶴松さんにと、双方向に質問を投げかけ活発に意見を交わし合う場面も見られました。

鶴松さんのお言葉の端々に、歌舞伎の担い手としての熱い想いと師匠である18代目中村勘三郎さんへの尊敬と憧れがほとばしっているのが印象的でした。そのお話を通じて、学生たちが直接見ることが叶わなかった勘三郎さんの芸と人柄を追体験する機会にもなり、胸が熱くなりました。学生たちは鶴松さんの情熱に感銘を受けると共に、実に多くの刺激を受けたようです。ここでは受講者3名によるイベントレポートをご紹介します。


執筆者の所属・学年は開催当時

 今回「中村屋×お茶大生」の第三弾として、中村鶴松さんにお話を伺いました。中村勘九郎さんと中村七之助さんと共に中村屋を背負う存在でありながら、一般家庭出身かつ大学で歌舞伎を学ばれた経験のある鶴松さんのお話は、今までとはまた違った視点で大変興味深かったです。
 短い時間の中、幸運なことに私の質問にもお答えいただきました。「ドラマやミュージカルなど歌舞伎以外のフィールドに興味はありますか?」という旨の質問に対し、鶴松さんの答えはYESでした。近年、歌舞伎俳優の方々の様々なメディアでの活躍が目覚ましいことは周知の事実であると思います。そのことに対して鶴松さんはどう捉えていらっしゃるのか、ということが私の疑問でした。鶴松さんは、現在テレビ等でも活躍されている市川猿之助さんとのお話を交えながら「歌舞伎に興味を持ってもらえるのであれば、そのチャンスを生かしたい」とおっしゃっていました。自分のステップアップばかりを考えるのではなく、歌舞伎全体のことを一番に考えるからこそ、それ以外の活動をしてみたい、という考え方が印象に残りました。歌舞伎の入り口は古典でなくても良い、歌舞伎自体でなくても良い、というような考えが演じている方にあることに驚きました。
 他にも様々なお話を伺い、その節々から、敷居が高いと思われがちな歌舞伎に興味を持ってもらうにはどうするべきか、という課題に鶴松さんが真摯に向き合っていらっしゃることが伝わってきました。そこには、これから歌舞伎界の中心になっていくという覚悟はもちろんのこと、いわゆる歌舞伎役者のスタンダードとは違った道を歩まれてきた鶴松さんならではの視点が生かされているのではないかと感じます。そのようなバックグラウンドによって生まれた歌舞伎界を俯瞰する力が、今後の発展において重要なものになっていくのではないかと思った時間でした。また一ファンとしては、これからの鶴松さんの歌舞伎に留まらないご活躍が大変楽しみになりました。
 最後になりますが、歌舞伎役者の方に実際にお話を伺う貴重な経験をさせていただけたことに感謝申し上げます。今後も「伝統芸能×未来」プロジェクトに参加し、日本の伝統芸能に対する見識を深めていきたいと思います。

文教育学部 芸術・表現行動学科 舞踊教育学コース4年 鯨井千咲


 中村鶴松さんは、今後の歌舞伎界を担う若手のホープ的存在の歌舞伎役者です。歌舞伎界の外と内をよく知る鶴松さんから見た「歌舞伎」について、貴重なお話を伺うことができました。 
 この講義を通して感じられたのは、鶴松さんの溢れんばかりの歌舞伎への情熱。歌舞伎が好きだという思いが鶴松さんの原動力です。その一心で、大学では歌舞伎をはじめ世界の演劇を様々な視点から学問的に学んだそうです。私自身も音楽が好きだという一心で、大学では音楽にしっかり向き合いたいと思い、音楽を多角的に学ぶことのできるお茶大の音楽科に進学することを決めました。そのため今回のお話には共感できることがたくさんありました。演劇も音楽も、人間の生活に深く根ざした芸術なので、奥が深く、学べば学ぶほど新しいことと出会えます。大学で演劇を幅広く学んだ上で歌舞伎界で活躍するというのは、強い意志がなくてはできないことだと思います。今後の鶴松さんの活躍を心から応援したいです。 
 そんな鶴松さんは何度も「若い世代に歌舞伎を観てほしい」と強調されていました。最近では若者でも興味を持ちやすい題材や新しい演出の歌舞伎も続々登場しています。新しい作品と出会うことで歌舞伎をもっと身近に感じて、さらには伝統的な演目とも出会い、歌舞伎の魅力にぜひ出会ってほしいという強い思いがパソコンの画面越しでもよく伝わってきました。現代では敷居が高いと思われがちですが、本来の歌舞伎は大衆のための演劇です。若いうちから歌舞伎に触れる機会があると、親しみを感じられるようになり、観劇がより身近になるかもしれません。学生のうちから学校教育の中で歌舞伎をはじめとした日本の伝統芸能や音楽を、さらに魅力的に伝える工夫の模索の必要性を改めて感じました。 
 また、鶴松さんは三味線や箏の実技を学生に学んでほしいとも仰っていました。自分で体験することで日本の音楽の美しさや特徴を感じ取ると、記憶にも残りやすく、将来の生活の中に音楽が取り入れられ、より彩りのある人生になるためのきっかけともなります。私たちとほぼ同世代の鶴松さんから発される言葉の数々には説得力があり、私自身も若い世代が日本の伝統芸能や音楽に関心を持ち続けられるには何ができるのか、考え続けたいと思いました。
 鶴松さんは中村家の三人目の息子として、今後の歌舞伎界を担い、盛り上げていくことでしょう。恥ずかしながら私はまだ鶴松さんの舞台姿を劇場で拝見したことがないのですが、8月末に中村勘九郎さん、中村七之助さんと一緒に歌舞伎座に出演される公演には伺う予定です。今からとても楽しみです。

文教育学部 芸術・表現行動学科 音楽表現コース4年 高塚結子


 昨年7月の『中村勘九郎 中村七之助 歌舞伎生配信特別公演』で初めて歌舞伎を鑑賞し、その際に中村鶴松さんのお芝居も拝見しておりました。以来、それまでは馴染みのなかった歌舞伎座にも毎月足を運ぶようになりました。お茶大生のために特別講義も開いていただき、個人的に中村屋さんにはご縁を感じるとともに、歌舞伎の魅力を教えていただいたことに感謝の気持ちでいっぱいです。 
 もともと演劇が大好きでしたが、役者さん、特に長い歴史を受け継いでいらっしゃる歌舞伎役者さんは憧れでありながらもとても遠い存在のようにも感じていました。ですが、鶴松さんは私たちと年齢が近く、大学時代のことも交えながらお話しいただいたこともあり、自分と近い感覚をお持ちなのだな、と少し身近に感じました。同時に、同年代である鶴松さんがこんなにも熱量高く、愛情深く、そしてご自身に厳しく歌舞伎と向き合われている姿がとてもかっこいいなと思い、刺激を受けました。 
 「鶴松さんの思う歌舞伎の魅力」について質問をさせていただいた際には、様々な角度からお話いただきました。「口伝で400年以上も受け継がれてきたとても歴史があるもの。でも、江戸時代には”ファッションショー"や"新聞"のような役割を持っていて、世の流れについていくために人々にとって欠かせないものであり、気軽に楽しめるものだった」というお話が特に印象に残っています。そのお話を受け、これまでは一人で観劇に行っていたのですが、是非私も周りの人と楽しみを共有したい!と思い、8月の花形歌舞伎には友人をたくさん誘って皆で観に行くことにしました。声をかけてみると、興味はあったけれどなかなか勇気が出なかったという友人が何人もおりました!微力ではありますが私も歌舞伎の魅力をもっともっと周囲に発信していきます。 
 また、鶴松さんの師匠である18代目中村勘三郎さんへの想いを何度もお話しいただいたこともとても印象深かったです。役者さんたちの思いや芸事が脈々と受け継がれていく様子を間近で見ることができるのも歌舞伎の一つの魅力であるのだなと感じながら、お話を伺っておりました。改めて、勘三郎さんの映像を拝見したいと思いました。 
 この度は、貴重な機会を設けていただき、本当にありがとうございました。鶴松さんの更なるご活躍を楽しみに、これからもたくさん歌舞伎を観てまいります!

文教育学部 人文科学科 倫理学コース4年 星野果南

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