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イベントレポート「歌舞伎Kidsワークショップ2024」

2025年4月4日更新

「歌舞伎Kidsワークショップ2024」概要
日にち 2024年7月28日(日)
対象 小学生(本学附属校以外の児童も含む)
講師

中村梅乃(歌舞伎俳優)

山﨑徹(歌舞伎附け打ち)

藤浪小道具株式会社

主催 伝統芸能×未来プロジェクト
協力 お茶の水女子大学附属小学校

中村梅乃さんによる演技のレクチャー 
中村梅乃さんによる演技のレクチャー

藤浪小道具の皆さまによる箔押しのレクチャー
藤浪小道具の皆さんによる箔押しのレクチャー

歌舞伎公演で使用されている小道具を触る時間も設けました
歌舞伎公演で使用する小道具を触る時間も設けました

「歌舞伎Kidsワークショップ2024 」イベントレポート

アカデミックアシスタント 庄司理花子

お茶の水女子大学「伝統芸能×未来」プロジェクトでは、子どもたちが日本の伝統芸能を親しむ場として、毎年夏休みに小学生の児童を対象とした伝統芸能のワークショップを開催しています。今年度は、歌舞伎をテーマに、歌舞伎俳優の中村梅乃さんと附け打ちの山﨑徹さん、そして藤浪小道具株式会社の皆さまを講師に迎えて演技体験と小道具制作体験を実施しました。第一線でご活躍されている講師の方々をお迎えした本イベントは、毎年多くの申し込みをいただいており、今年度も満員御礼となりました。

最初に講師の皆さんによる技芸のお披露目を行いました。歌舞伎に触れるのが初めての子どもたちも多くいましたが、梅乃さんの立ち振る舞いや表現力、それを際立たせる山﨑さんの生き生きとした附けに、会場全体が惹き込まれました。

続いて「暫チーム」と「連獅子チーム」の2つのチームに分かれて、ワークショップを行いました。チーム名の「暫」と「連獅子」は歌舞伎演目に由来しており、歌舞伎を身近に感じてもらうための運営スタッフのこだわりポイントでもあります。
演技体験では、人前で演技することに子どもたちは緊張していたようでした。しかし、講師の皆さんによる笑いを交えた指導によって次第に緊張もほぐれ、伸び伸びと楽しそうに演技をする姿が見られました。実際に「見立て」などの所作を体験することによって、歌舞伎の舞台で披露される技芸がいかに洗練されたものであるかを実感することができました。
小道具製作体験では、藤浪小道具の皆さまの指導のもと、鍔の箔押しを行いました。繊細な作業に、子どもたちは夢中になって取り組んでいました。自分で作った鍔が完成した時の達成感は大きな喜びとなり、製作を見守っていた保護者の方も自然と笑顔になっていました。製作した鍔にはストラップをつけて、子どもたちは嬉しそうに持ち帰っていました。

終了後の参加者アンケートに寄せられた感想では、本ワークショップを通して親子ともに日本の伝統芸能の奥深さに触れる貴重な体験ができ、実際に歌舞伎に足を運んでみたいという声を多くいただきました。その内容を一部抜粋して掲載いたします。

  • ワークショップで習った歌舞伎の動作を家でもやっていて、関心を持つことができました。
  • 子どもと一緒に日本の伝統芸能について考える時間ができ、子どもの興味・関心の幅を広げる良いきっかけとなりました。
  • 歌舞伎にふれることが初めてで、とても興味深く参加しました。歌舞伎はハードルが高いと感じていましたが、もっと気軽に見にいっていいのだと思いました。

私は前年度の「寄席芸能Kidsワークショップ2023」に続いて、今回も運営スタッフとしてイベントに携わりました。私自身も「伝統芸能×未来」プロジェクトに関わる以前は、日本の伝統芸能に対して人並みの知識と関心はあったものの、実際に舞台に足を運んで鑑賞することはなかなかできませんでした。様々な娯楽に溢れ、伝統芸能との出会いの場が少なくなっていると感じる今、本イベントが多くの子どもたちと保護者にその機会を提供できていることを非常に嬉しく思います。

当日参加した子どもたちは、最初は緊張していたり慣れない作業に苦戦する様子も見られましたが、楽しみながら夢中になって取り組んでいました。また、講師の方々も子どもたちの関心を引き出すために、工夫をしながら技芸の魅力を伝えてくださいました。本イベントを通して、このような体験活動が伝統芸能の技術や文化の継承の一端を担っているということ、そして、こうしたプログラムを継続することの意義について考えさせられました。
実際に本プロジェクトの一環である本学の授業科目「日本と伝統芸能」においても、「伝統芸能の保護と継承」に関して、その重要性と難しさの両面について様々な意見が交わされています。そこでの学びを経て、伝統芸能の未来を考える上で、これから文化を担う子どもたちと伝統芸能の接点を創り続けることが大切だということに気づきました。そのような点を踏まえて、こうした「伝統芸能との出会いの場」となる体験型ワークショップの必要性を改めて感じる機会となりました。

「伝統芸能×未来」プロジェクトでは、「Kidsワークショップ」をはじめとした様々なイベントを今後も企画予定です。次回の開催も期待いただけますと幸いです。

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