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2026年4月30日更新
お茶の水女子大学「未来へつなぐ伝統芸能プロジェクト」では、これまで若い世代が伝統芸能に触れる多様な機会を育んできました。第一線で活躍する演者や関係者を講師に迎えたセミナーの実施、日本芸術文化振興会(以下「芸文振」)との包括協定のもとでの科目「日本の伝統芸能」の開講、さらに附属校と連携したワークショップなど、学内外で学びの場を広げてきました。
こうした取り組みを重ねる中で、世代によって伝統芸能の魅力の感じ方や理解の深まり方に違いがあることが明らかになってきました。また、伝統芸能は義務教育において科目をまたいでわずかに扱われるのみで、実際の鑑賞や継続的な学びは家庭環境に左右されやすいという、従来から指摘されてきた課題にも改めて向き合う必要があると感じました。
これらの状況を踏まえ、子どもから大学生まで、それぞれの発達に応じてどのように伝統芸能の魅力を伝え、学びへとつなげていくかを体系的に検討するため、2025年度より附属校と芸文振とともにコンピテンシー育成開発研究所比較日本学教育研究部門の研究プロジェクトとして「世代別伝統芸能普及方法の研究」を立ち上げました。現在は、それぞれの教育現場での実践と検討を通して、新たな普及のあり方を探っています。
以下に、2025年度に実施した活動をご紹介します。
埋忠美沙(お茶の水女子大学准教授、研究代表者)
小沼律子(附属小学校教諭)
向田瑞喜(附属中学校教諭)
吉田梨乃(本学大学院生、附属中学校教諭)
日本芸術文化振興会
附属小学校では、芸文振(国立劇場)との共同授業として、10月に図画工作科において歌舞伎の幕を題材にした「まくがあいたら」という学習を実施しました。対象は小学二年生です。児童が自ら幕をデザインする造形活動を通して、伝統文化への理解を深めることを目指しました。
授業は、幕の種類や役割を学ぶ事前学習から始まり、児童一人ひとりが幕を制作し、完成後にはその振り返りを行いました。
授業レポートと制作した幕は芸文振(国立劇場)制作の「国立劇場こどもサイト」において発信して、教材としての活用を促しました。大変充実した内容になっていますので、ぜひご覧ください。
その内容はPRTIMEにおいても紹介されました。

附属中学校では、音楽科において10月に、中学二年生を対象とした歌舞伎の創作過程を体験する授業「オリジナル附帳をつくろう」を実施しました。
4月に実施した歌舞伎俳優・市川笑也さんによるワークショップを踏まえ、その学びを発展させた取り組みです。
授業では、歌舞伎脚本家・演出家の戸部和久さん(本校卒業生)と、日本舞踊家・歌舞伎舞踊振付師の藤間勘十郎さんをゲスト講師としてお迎えし、創作の各段階で助言をいただきました。
生徒たちはまず、戸部さんが本授業のために書き下ろした3本の台本をもとにグループで台本を制作し、その内容にあわせて黒御簾音楽を選んで附帳を作りました。
これらの準備を経て、生徒たちは自分たちの作品を上演し、プロの視点からアドバイスを受ける貴重な機会となりました。
